矯正治療の前準備-3 | 矯正歯科コラム

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4.口腔模型製作

矯正治療を行う前準備の一つとして、きわめて重要なことは、患者の正確な口腔模型をつくることです。これは、症例の分析、正確な診断、治療方針の決定、治療の経過、予後の判定などに必要な資料となるからです。

一般に、矯正診断で用いられる口腔内模型には、顎態模型と普通模型(平行模型)とがあります(図15-4)。顎態模型についての詳細な説明は他項にゆずることにし、ここでは普通模型の作り方について述べます。

(1)患者の体位および頭の位置

印象を採得する前に、術者のひじの高さと患者の口の位置をほぼ一致させます。頭の位置は上顎の印象の場合はややうつむきの状態に、下顎の場合はややあおかけにすします。

(2)口腔内の清掃

(3)トレーの試適

全顎印象用トレーの種類(図15-5)には,網トレー(林)、アルミニウム製で穴あきトレー(三金)、アルミニウム製で全く穴のないY.S.トレー(山浦)、プラスチック製のD.D.アルギン酸トレー(松風)などがあります。トレーが浅かったり、わずかに小さい場合には、ユーティリティワックスを利用するとよいでしょう。

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(4)印象材の練和

印象材には、シリコンの精密印象材からモデリング印象材にいたるまで種々ありますが、矯正では一般にアルギン酸印象材が使用されています。この種の印象材には、粉末状のアルジエース(Algiace 三金)、ハイ・テクニコール(Hi-Technicol 而至化学)、D・P社のKey to Alginates(松風)、アルジックス(Algix.S 藤森)などがあり、ペースト状のものにはAlgipaste(而至化学)などがあります。

矯正用の模型においては、印象材はやや硬目に練和するのがよく、また硬目の方が嘔吐をふせぐためにもよいとされています。印象面を精密にするためには、印象材をラバーボールにおしつけ十分に練和することが大切です。

(5) トレーのそう入

練和した印象材は、トレーの辺縁よりやや多目に盛りましょう。ただし、あまり多いと後縁から流れ出て嘔吐の原因になったり、あまり少ないと十分に流入しないことになりやすいため気をつけます。
そう人するときには口唇を緊張させないように患者さんをリラックスさせ、鼻呼吸をさせるよう注意します。

1)上顎の印象は、トレーの前方辺縁より約10~15mm離れた所に中切歯切縁をおき、徐
徐に後上方へ加圧します。つぎに上唇を前上方へ伸張し、印象材の流入を確かめます。
トレーは印象材が十分に硬化するまで保持しなくてはなりません。

2)下顎の印象は、まずトレーを歯列上に置いて少し加圧します。つぎに舌を上げてトレー上におかせ、さらに加圧して舌下部へ印象材を流入させます。また下唇を前下方へ伸張し、印象材の流入を確かめます。

3)印象採得時の嘔吐の予防について

① 印象をとる姿勢を正しくします。治療椅子の背盤をおこしてやや前方にうつむかせます。
② 嘔吐をするのは上顎の採得時が多いため、下顎から先に印象するのも良いでしょう。
③ 患者さんの不安感を取り除くため、肩の力をぬいて大きく深呼吸してもらうのも良いでしょう。
④ 軟口蓋部にあまり多くの印象材が流れ出ないように注意します。
⑤ 舌を後下方に引き、あまり動かさないように指示します。
⑥ 嘔吐が始まっても、ラバーボールか膿盆などで汚物をうけ、印象採得はできるかぎり途中でやめない方がよいでしょう。

2015年1月13日



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