矯正治療に必要な器具および材料-21 | 矯正歯科コラム

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矯正治療に必要な器具および材料-21

3. 矯正治療に必要な力学

4) 弾性エネルギー

臨床的には、ワイヤーに蓄えられた弾性エネルギーの放出により、ワイヤーがもとに戻ろうとする弾力性が矯正力として利用されています。したがって、弾性エネルギーが大きいと弾力性は増加します。その結果、長期間にわたって持続的な矯正力が発現できるようになります。

図 16-6に示すように、弾性限度の高低で弾性エネルギーを比較すると、△OABと△OA′B′のように、弾性限度の高い後者のほうが弾性エネルギーは大き くなります。このことから、熱処理前後のワイヤーでは、熱処理後のほうが、弾性エネルギーは増大することがわかります。

5)強 度

図 16-7で示すとおり、弾性限度を越えてさらに荷重を大きくするとたわみが著しく増加し、最大応力を越えると、ついには内部に破壊応力が生じてワイヤーは 破折してしまいます。弾性限度を越えない荷重でも、その荷重が繰り返して加わると、ワイヤーには疲れ現象が起きて破折することがあります。このことは、ワ イヤーを屈曲する場合に、同一部位で曲げたり仲ばしたりを繰り返すと破折してしまうことは、誰でも経験していると思います。

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臨 床上、ワイヤーに生ずる応力としては、矯正力の発現のほかにも、ループなどに屈曲したあとにル―プ内部に残る残留応力、ブラケットヘの装着時に生じる曲げ とねじりの応力、咀嚼中口腔周囲筋の運動に伴う繰り返し応力などがあります。そのようなことで、治療中ワイヤーに加わる荷重は、弾性限度よりも小さい許容 応力以内に留めておく必要があります。

2015年7月16日



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