矯正治療に必要な器具および材料-24 | 矯正歯科コラム

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矯正治療に必要な器具および材料-24

3.ゴムリングの力学

ゴムリングのような高分子材料とワイヤーを比較すると、図16-14のようになります。ゴムリングでは、一定荷重当たりのたわみが極端に大きく、また、弾性限度までのたわみが非常に大きいので、弾性の領域が極めて広いという特徴があります。そこで、ゴムの内部に蓄えられる弾性エネルギーは当然大きく、このような理由により、ゴムリングはよく伸び、十分な弾力性を有した高弾性の特性を備えているといえます。

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また、ワイヤーでは、たわみが少し減ると荷重量が大きく減少しますが、ゴムリングではワイヤーと比べると荷重の低下が少なくなっています。したがって、歯が移動しても比較的一定の矯正力を作用させることができます。

しかしながら、ゴムの望ましくない性質として、ゴムを伸ばして行っていひずみを与えておくと、時間の経過に従い応力が減少して、矯正力が低下する現象、すなわち応力緩和が起こります。しかも、弾性限度内の荷重を加えても、長時間の間にはゴムリングに永久変形が生じ、荷重を除いても元の長さには戻りません。

従来用いられているようなラテックスという天然のゴムリングは、特に口腔内において劣化が激しく、弾力性の経時的低下が著しいという欠点があります。そこで、臨床上は、ゴムリングを毎日交換することで、先に述べたような、ゴムの特性を歯の移動に利用しています。

近年、これらの欠点を除くような研究が進められ、ポリウレタン系の合成ゴムが開発されました。図16-15に示すように、このゴムは応用緩和の現象が少なく、口腔内でも耐疲労性がよいので、ゴムの劣化が減少しました。したがって、ゴムの特性を十分に発揮して、口腔内で安定した弱い持続的な矯正力を発現できるようになってきました。

2015年8月6日



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