矯正治療と組織変化 2.歯の移動と組織変化 -3 | 矯正歯科コラム

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矯正治療と組織変化 2.歯の移動と組織変化 -3

2.歯の移動と組織変化

2.矯正力の特性と組織変化との関係

生理的な歯の移動と矯正学的な歯の移動とにみられる組織反応には、根本的には大きな違いはありませんが、矯正治療では歯はより早く大きく動くため、その結果として、矯正力によって誘発される組織変化は、より著明で広範囲にわたります。

一般的に歯に加えられる矯正力の性質が異なると、それによって生ずる組織変化も異なってきます。矯正力が有する特性としてStonerは4つあげています。すなわち、
力の大きさ(Degree of force)
作用期間(Duration of force)
作用方向(Direction of force)
作用分布(Distribution of force)

それぞれの特性と組織変化との関係を以下に述べます。

1)力の大きさ

(1)強い力(Heavy force)と弱い力(light force)

力の強弱により圧迫側、歯根膜の圧縮度が異なり弱いときには僅かに圧縮されますが、強いときには歯根膜は強く圧縮されます。極端に力が強い場合には歯根と歯槽骨が接触することもあります。圧縮の度合いが少ないときには、歯根膜はわずかな充血をきたし、これに接している歯槽壁に破骨機転が生じます。これを、直接性吸収(direct resorption)といいます(図13-7)。

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これに対して圧縮の度合いが強いときには、圧の中心近くの歯根膜は貧血をきたし、程度が強ければ、歯根膜は硝子様変性に陥り(図13-8)、これに接した歯槽壁からは吸収機転はおこらずに、圧の中心部を少し離れた所や近接の歯槽骨髄に骨の吸収機転が始まり、圧の中心部の歯槽壁へ側面あるいは背面から吸収が進行します。

この型の吸収を穿下性吸収(undermining resorp-tion)、またはindirect resorptionといいます。穿下性吸収をとると歯根にも吸収機転が生じやすいという特徴があります。

牽引側では骨の添加の活性は増加しますが、それが一定の水準に到達するのは、圧追側の骨が取り除かれてからになります。そして、束状骨(bundled bone)と呼ばれる新しい骨が歯槽骨表面に形成されます。

なお、歯根膜の圧縮の度合いと組織変化との間には、上に述べたような関連がありますが、歯根膜の圧縮は必ずしも力の大きさと直接的に結びついているものではありません。歯根の形態、歯槽骨の状態、歯根膜の形態、力の加え方などにより異なるために、何グラム以下がlight force であるとかそれ以上がheavy force であるとか決めることのできるものではありません。

また、組織の感受性は、同じ量の矯正力を与えたとしても、個体によって、また同一個体においても年齢、性差によって違います。たとえばReitanは、若年者では、組織変化は30~40時間後に現れ(ときには10~20時間後に現れることもある)、成人の場合には、若年者の場合の約4倍の時間が必要になるとしています。

2014年12月5日



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