矯正治療と組織変化 2.歯の移動と組織変化 -4 | 矯正歯科コラム

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2.歯の移動と組織変化

2.矯正力の特性と組織変化との関係

1)力の大きさ

(2)最適な矯正力(Optimal orthodontic force)
最適な矯正力について、0ppenheimとSchwarzは、毛細血管の血圧20~26g/cm2以下の
力が、歯根膜の血行障害をおこさず、最も生物学的に好ましい歯の移動を可能にするものだとしています。これに対して、近藤は80g/cm2というかなり大きい値を示しています。

StoreyとSmithは、第1小臼歯の抜去後その抜歯空隙に向かって犬歯を牽引する必要の
ある患者の、一側にlight force(175~300g)、他側にheavy force(400~600g)の力を与えました。
その結果、light force が使用された側では、犬歯は最少load level に到達するまで動きませんでした(B-level)(図13-9)。
p236_01

荷重のA-B範囲では、圧追側において歯根膜は圧迫されているものの骨の吸収は始まっていない状態にあります。
B-level以上の荷重では骨吸収をおこし、C-levelに到達するまで、犬歯を速かに動かしました。
荷重がこのlevelを越えると歯の移動が全く止まることから、C-levelが犬歯牽引に対するoptimal force であるとしています。

一方、heavy force が使用された側では、初期には犬歯がほとんど移動しないか、ほんの少ししか移動しませんでした。しかし、anchor units (第1大臼歯と第2小臼歯)は近心に動かされました。

力が200~300 g のleve1に減少したときには(anchor unitsの移動に起因)、anchor unitsの移動は止まり、犬歯はlight force に記述されているように遠心に動かされました。このことは、歯を動かすのに必要な根面積に対するoptimal load が、ほぼ同じであって、差は全根面積に起因していると述べ、矯正力として最適な力が使われた場合の歯槽骨の吸収の割合は、1日当りほぼ0.1mmであるとしています。

そのほか、歯の移動に最適な矯正力については、種々の考え方があるが、それは歯の移動速度が最大のときの力で、しかも歯の移動に伴う歯周組織の改造が最も効果的に現れるときの力であるといえよう。

臨床的に、矯正力が適当であるときには、以下の状態であるとされています。

1)矯正力の働いている歯に自覚的疼痛がない
2)打診に対して著しい反応がない
3)歯の弛緩動揺が著しくない
4)歯および顎の位置が、治療方針に従って変化する有様が明瞭にわかる
5)X線診査の結果、歯根膜、その他周囲組織に病的な変化が認められない

2014年12月7日



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