矯正治療と組織変化 2.歯の移動と組織変化 -6 | 矯正歯科コラム

矯正歯科コラム

2.歯の移動と組織変化

2.矯正力の特性と組織変化との関係

3)傾斜移動(Tipping movement)と歯体移動(Bodily movement)

歯冠に近遠心あるいは頬舌方向の力を加えると、一般に歯根の根尖側1/3を支点として歯は傾斜します。(この欠点は、矯正力がより弱ければ根尖に近くなり、強ければ歯頸部に近くなります)。このような移動様式を傾斜移動といいます。この場合、移動方向の歯頸部歯根膜と、反対方向の根尖部歯根膜に圧迫帯が生じ、これとちょうど逆の部位に牽引帯が生じます(図13-11)。

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一方、歯体移動(bodily movement)とは、歯根が歯槽の内側骨面に平行に移動することを意味します。この場合、移動方向の歯根膜には歯根全長にわたる圧迫帯ができ、その反対側の歯根膜には、同じように全長にわたる牽引帯ができます。しかし臨床的にみたときに歯体移動にもかかわらず、組織学的には、歯はその新しい位置に向かって、「wigglingあるいは、jiggling」によってbodilyに動くだろう、すなわち、同一面上に吸収と添加の両方が発生しているということになります。

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傾斜移動の場合には、弱い力でも移動方向の歯頸部圧迫帯に部分的に強い力がかかりやすいため、歯根膜に硝子様変性ができやすいという特性があります。歯体移動の場合には、歯根の全長にわたって力が分布するために全体としての力は弱められます。

臨床的には、弱い力で容易に歯を動かすことができるという理由で傾斜移動を推す歯科医師と、逆に強い力を加えても歯根に与える為害作用が少ないという理由で歯体移動を推す歯科医師とがいます。

このように、効率よく歯を動かすために歯科医師による様々な研究がなされています。

2014年12月11日



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