矯正治療と組織変化 2.歯の移動と組織変化 -7 | 矯正歯科コラム

矯正歯科コラム

2.歯の移動と組織変化

2.矯正力の特性と組織変化との関係

4)力の作用方向(Direction force)

歯の移動には、力の作用方向によって、近遠心方向、唇(頬)舌方向、歯の萌出方向(挺出)、この逆の方向(圧下)、歯軸に沿った回転の5種類があります。

(1)近遠心方向への移動(Mesial or distal movement)
力の方向に応じて、近心あるいは遠心側の歯根膜に圧迫帯あるいは牽引帯ができ、歯槽壁の吸収と添加によって、歯は近心あるいは遠心へ歯槽弓に沿って移動します。

(2)唇(頬)舌方向への移動(Labial,buccal or lingual movement)
原理的には、近遠心方向への移動と同じですが、歯槽突起の唇(頬)舌面には緻密な皮質があって、歯根が移動してこれに当ると根の吸収がおこってくるといわれています。なお、唇側あるいは舌側方向への傾斜移動は、「後もどり」をおこしやすく、歯は徐々に牽引側にもどっていきます。これに対処するには、正しい位置に必要と思われる距離以上に、歯を傾斜させて線維束を過度に延ばすことによって、ある程度補償させることができます。

(3)挺 出(Elongation)
歯が歯槽から抜け出る方向に引っぱられると歯槽底は牽引帯となり、ここに骨添加が生じます。このとき、わずかですが歯槽頂にも新生骨の添加がみられます(図13-14)。

p239_01 (4)圧 下(Depression)
挺出の場合と逆に歯を軸方向に圧下する場合には、歯根膜線維の斜走線維に打ち勝ち、intermediate plexus をほどかなければならないために、実際には強い力が必要になります。さいわいに歯根は円錐状をしているため、根尖へのfull force を防いでいますが、挺出の場合と逆に歯槽底がとくに強い圧迫帯となって、ここの歯槽骨が吸収します。この際、根尖の吸収がおこりやすく、歯槽縁にも吸収が生じます(図13-15)。

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(5)回 転(Rotation)
単根歯の場合でも、歯根の横断面は円形ではないために、回転により歯根膜には部分的に圧迫帯と牽引帯が生じ、ここに骨の吸収と添加が生じます。このほかにも、歯根膜内での変化以外に歯肉の線維も歯の回転方向に引っ張られ、その状態が歯根膜線維の緊張状態が消失します(約1ヵ月したのちにも残存することが知られています)。これが回転歯を逆に回転させる(後もどり)ことに関連しているとされています。

2014年12月13日



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