矯正治療の開始時期 | 矯正歯科コラム

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矯正治療の開始時期
(Age factor in orthodontic treatment)

矯正治療をいつ始めたらよいかという問題は、抜歯をするかどうかという問題と同じように、今日でもまだ歯科医師の間ではっきりと意見の一致をみていません。

治療を始める時期という、患者さんにとって大切な問題に関して、何故歯科医師の意見が分かれるのでしょうか。その理由はいろいろありますが、その一つは次のような考え方の違いがあるからです。

治療をできるだけ早く始めるべきだと考えている歯科医師は、不正咬合を一般の疾患と同じようにとらえています。つまり、「出来るだけ早く治療をすることが必要で、一番良いのは予防ができることである」という考え方です。一方、矯正治療を早く始めることに反対する歯科医師もおり、彼らは「顔や顎がどのように成長していくのか予測がむずかしいために、一人ひとりの顔や顎の個性的な成長がわかりやすい思春期や前思春期に治療した方がよい」という考え方です。

この二つの意見は真逆のように思われるかもしれませんが、患者さんの成長発育を考慮して結論を導き出しているという点では一致しています。

できるだけ早く始めるという意見の歯科医師は幼児期の活発な成長を重視しており、思春期成長を考慮して治療しようとする歯科医師は、その時期の成長を重く見ているということになります。

「いつ始めるか」ということだけに注目すると、このように意見が全くかみ合わないということが起こります。しかし、具体的な症例について話し合うと、「このような状態ならば治療は今すぐ始めず、成長を待った方が良い」「このような状態ならば、治療はなるべく早く始めた方が良い」と、かなり共通した意見が出てくるようになります。

従って、矯正治療を「いつ始める」ということだけを取り上げず、「このような不正咬合の場合はいつ治療を始めたらよいか」というように、具体的に取り上げることによって開始時期の決定が可能になります。

しかし、顎の成長をどの程度抑制あるいは促進できるかという問題については、開始時期ということ以外に、基本的な考え方の違いがあります。乳歯咬合期の初期に整形外科的な力を加えることで顎の成長を抑制したり、成長方向をコントロールできるという考え方の歯科医師がいる一方で、遺伝的な成長に関してコントロールするのは、そう容易いことではないと考える歯科医師もいます。

この両者の考え方をやや歩み寄らせた考え方が存在します。不正咬合の治療はそのような二者択一的なものではなく、乳幼児期から成人までの長い期間において、その時その時の不正状態についてしかるべき手をうつのが良いという考え方です。現在ではこれが最も妥当な意見とされています。

このように矯正治療においては顔や顎の成長発育が大きく関係しています。そのため、いつから治療を始めるかを決めるためにも、矯正治療の必要を感じたらすぐに矯正歯科を受診することをお勧めいたします。矯正歯科を専門的に行っている歯科医師は、様々な不正咬合の治療を経験してきていますので、実際に患者さんの歯を見ることと、必要ならばレントゲン撮影を行うことで、大まかな治療の道筋をご説明することができます。

 

2014年11月21日



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