矯正治療に必要な器具および材料 | 矯正歯科コラム

矯正歯科コラム

矯正治療に必要な器具および材料-19

3. 矯正治療に必要な力学

2) 弾性限度と熱処理

治療計画に従って、1本のワイヤーを屈曲して、種々な形態のループを形成することが多くあります。

この場合、術者が曲げやすいためには、弾性限度は低いほうがよいとされます。弾性限度が低いと、屈曲の際に術者がワイヤーに加える力は比較的小さくても、弾性限度を容易に越えて永久変形の領域に入りやすく、屈曲後も永久変形が残るため、ループ状の形態がくずれません。

一方、歯の移動に際して長期間にわたってワイヤーから合理的な矯正力を得るには、弾性限度は逆に高いほうが望ましいとされています。すなわち、弾性の範囲が広くなると、ワイヤーの弾力性が増大します。

さらに治療途中、咀嚼や会話などによって,、ワイヤーには種々な外力が加わり変形する機会が多くなります。このような変形に対する抵抗を増す意味からも、弾性限度は高いほうがよいといえます。

このように、ワイヤーの屈曲時と矯正力の発現時とでは、弾性限度の高低に対する必要条件が全く逆の関係になります。そこで、矯正用ワイヤーとしては、同一ワイヤーで弾性限度を自由に変えられるものが望まれます。

臨床上、このことは熱処理により解決できます。elgiloyやresilient wireでは、屈曲時に比較的柔らかく、種々の形態のループを形成しやすいものが、熱処理によって硬くなり、弾性限度が上昇するため、弾性の範囲が拡大し、矯正力の発現には、極めて都合のよい状態になります。

2015年7月2日


矯正治療に必要な器具および材料-18

3. 矯正治療に必要な力学

このときのA点を比例限度(比例限)といいます。A点をわずかに越えたB点までは、荷重を除くとたわみも同時に0にもどり、ワイヤーはもとの状態に完全に復元します。

このような性質を弾性といい、B点を弾性限度(弾性限)といいます。実際には比例限度と弾性限度の間には、ほとんど差がなありません。

歯の移動の際には、このような弾性限度内の矯正力を歯に加えると、ワイヤーの復元力が十分に活用できるため、ワイヤーの弾力によって,、歯を能率よく移動できます。

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しかし、荷重がB点を越えてさらに増大すると、たわみは著しく増加して曲線状になります。この部分まで荷重を加えると、荷重を除いても、もはやワイヤーはもとにもどらず、変形した状態になります。これを永久変形といいます。

ここで、図16-3の縦軸における荷重の代わりに応力σ(荷重/もとの断面積)をとり、横軸のたわみに代えてひずみε(たわみ/もとの長さ)をとると、図16-4のような応カーひずみ線図が得られます。この場合、両線図は同一ワイヤーではほぼ同じになると考えてさしつかえありません。

これらの線図をもとに、さらに矯正治療途上生じる種々の問題について考えてみましょう。

2015年6月30日


矯正治療に必要な器具および材料-17

3. 矯正治療に必要な力学

1.ワイヤーの力学

フイヤーやループの荷重とたわみの関係を知るのに、たとえば舌側弧線装置の補助弾線による矯正力の発現機構について考えてみましょう。

図16-1のように、補助弾線の一端は舌側弧線の主線に鑞着され、他の歯に接する部分には、術者が力を加えてたわみを与えます。そうすると、弾線には復元力が生じます。このとき、弾線をループ状に形成しておくと、単線の場合より弾線の弾力性はよくなり、弱い持続的な矯正力が得られます。

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このようなワイヤーやループの荷重とたわみの関係を理解しやすくするために、図16-2に示すとおり、単純化して、1本のワイヤーの曲げ試験を行ったものとして、ワイヤーの力学的諸問題について検討しましょう。

1) 荷重とたわみ、応力とひずみの関係

ワイヤーの一端を固定し、他端に荷重Pを加えると、ワイヤーは曲がってたわみλが生じます。

このときの荷重とたわみをそれぞれ測定して図に表すと、図16-3のような荷重―たわみ線図が得られます。

荷重が0から徐々に増加すると、しばらくの間たわみは荷重に比例して増大します。荷重がA点に達するまでのOAの間は、荷重とたわみとは比例関係にあるので、直線になります。

2015年6月23日


矯正治療に必要な器具および材料-16

3. 矯正治療に必要な力学

矯正治療には、症例に応じて多種多様の装置が使用されています。それらの装置により歯を動かすには、ワイヤーやループのような金属材料、およびゴムリングのような高分子材料などの弾力性が広く利用されています。

これらの材料の力学的な特性は、材料の一端を固定し、他端に荷重を加えたときに生じるたわみの関係を、荷重―たわみ線図に表して、その線図の全体的な型、その線図に描記される諸点、ならびに特に直線の勾配などから知ることができます。

実際の矯正力には、通常弱い持続的な力、すなわち“light continuous force”が要求されます。ワイヤーの場合、単線の弾力性を利用することもありますが、普通ループ状やコイルスプリング状に形成して、力の緩和を行うと同時に、持続的な力が得られるような工夫がなされています。

一方、ゴムリングは高分子材料の特性として、伸びやすく良好な弾力性を有していることから、矯正力の発現には適しています。

矯正治療に際して、歯に的確な矯正力を適用するには,、このような金属材料および高分子材料の力学的な特性を明確にしておく必要があります。

ここでは、まずワイヤーの荷重-たわみ線図を調べ、矯正治療に必要な力学的諸問題について検討します。そののち、ループやコイルスプリング、さらにゴムリングの力学について、ワイヤーの力学との関係を比較しながら説明していきます。

2015年6月16日


矯正治療に必要な器具および材料-15

2. 矯正用材料(Orthodonic materials)

7.その他の補助的な矯正用材料

矯正用材料はinch(ィンチ)とmmとを混同して使用するのでこれの換算表を表16-1に示します。

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11)エィラスティク(Alastic)
矯正用材料学の進歩にともない、有機合成分子材料も広く応用されるようになりました。従来のゴムと同様の目的で使用したり、同じく結紮用として用いられるものにAlastic(Unitek社製)、およびPOWer hnks,Power chain(Ormco社製)などがあります。

12)ダイレクト・ボンディング(Direct bonding)
最近、矯正用アタッチメント(bracket、buccal tube、lingual button、lingual bar、など)をバンドを介在することなく、歯面に直接接着させて治療する方法(direct bonding)が種々発表されています。接着材はアルキルボランを触媒としたMMA系即硬性レジンです。

アタッチメントはプラスチック製(アクリル、ポリカーボネイト)と金属製のものとがあり、前者は接着材と化学的に結合して、レジン・アタッチメントが一体構造になるものであり、後者は物理的にのみ接合するため、接着効果を高めるためには網目状の金属ベースを必要とするものです。

2015年6月9日



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