1月 | 2015 | 矯正歯科コラム

矯正歯科コラム

矯正治療に必要な器具および材料

1.矯正用器具(Orthodontic pliers and instruments)

矯正治療に使用される器具類は、取り扱いようによってはかなり広い範囲のものまで含まれることになります。ここでは最も基礎的なテクニックに必要な器具類、とくに鉗子類(プライヤー)について記載します。

治療における基礎的な作業は帯環調整および装置の製作(主として線屈曲)です。最近では複雑な装置が用いられるようになったため、特殊なプライヤー類が増え、複雑な操作を要求されるようになりました。そのため帯環製作、線屈曲、調節等においてより良い操作をするためにはプライヤーの性質と使用方法を理解する必要があります。

プライヤーの各部の名称については呼称はまちまちであるため、便宜上、関節部を中心にして把柄部、他端を左右のピーク(beak)と呼び、ピークをさらに体部(関節から先端に移行する部分)と頭部(先端部で、そのプライヤーの主な性質を有する部分)に分けて説明します。

プライヤーの種類とその他の器具

1)帯環製作のための銀子類
① 帯環形成鉗子(Band forming pliers)  ③ 帯環追進器 (Band pusher)
② 帯環賦形鉗子(Band contouring pliers) ④ 帯環撤去鉗子(Band removing pliers)

2)線屈曲のための鉗子類(Wire bending pliers)

3)結紫、世間離間用鉗子類

4)線切断用鉗子類(Wire cutting pliers)

5)その他の器具

実際の矯正治療に使われている鉗子には様々な種類があり、それぞれ特徴的な形状をしていて線屈曲や調節の操作に適しています。実際に実習しながらどの場面でどの鉗子を使用するかを経験から身につけることが大切です。

2015年1月29日


6.X線診査

〔付〕ブラッシング(tooth brushing)指導

(1)ブラシの形および種類
ブラシの形の種類はたくさんありますが、前述した状況および年齢も考慮して適切なものを選択しましょう。
ブラシ部の基本としては、植毛部の大きさや形、毛の種類が挙げられるが、特に大きさは最も大切な条件の一つである。

a. 大 き さ
最後臼歯の遠心部や舌側部、特に下顎前歯部の舌側にも十分に入っていけるような大きさを選ぶことが必要です。

b.形
代表的な形としては次のようなものがあります。

1.直線型 2.中凹み型 3.凸型 4.ロ-リング型

c. 植毛状態

植毛の列では2~4列、毛束では5 -12 毛束とさまざまですが、あまり密なものは装置などには不向きのようです。bの形と合わせて選ぶと良いです。硬さは,一般に,Soft、medium、hardとなっています。

(2)みがき方

(1)水平法(横みがき)    (2)垂直法(縦みがき)
(3)Fones法          (4)Bass法
(5)回転法(Rolling法)   (6)Stillman原法
(7)Stillman改良法      (8)Charters法
(9)生理的ブラッシング法

以上のような代表的な方法がありますが、おのおのの長所を組合わせ工夫することが大切です。

■矯正患者さんが効果的なブラッシングが出来るようになるためのアドバイス

1.動機づけ

主としてう蝕および歯肉炎の危険性をしっかりとご説明します。図15-13のような矯正装置によってひき起こされた歯の脱灰のカラー写真をみせることも一方法です。

 

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2.教 育

模聖上でブラッシング法を教えるだけではなく、患者さんにブラシをもってきていただき、ご自分できれいに歯みがきする技術を確実にマスターできるようにします。

3. 口腔内の衛生状態の検査

歯の表面を歯肉に沿って診査し、歯垢とその質的変化の存在を算定します。

4,再教育

受診の度に、歯ブラシを持参するように指示します。これにより、ブラッシングがうまくできているか否かがチェックできます。特に重要なのは歯ブラシが届きにくい部分をどうみがくかで、これを徹底することで効果をあげることができます。

5,通知,通告

口腔衛生状態について、患者さんおよび保護者の方に伝えます。もし衛生状態が良くない場合は、歯科衛生士が目的や方法をしっかり説明し、歯みがきのトレーニングを併用するなどして、ご自身で出来るようになっていただきます。

歯みがきをしっかりしていれば絶対に虫歯や歯周病にならないというわけではありませんが、かなりなりにくくなるというのは事実です。自分の歯の中で特に歯垢がたまりやすい場所を知り、その部分がいつもきれいに磨けているかのチェックを行うことは、虫歯や歯周病の予防に大変役立ちます。

2015年1月22日


6.X線診査

3)その他のX線写真

口腔内のX縮写真と頭部X線規格写真のほかに、症例に応じてより精密な診査をするためにつぎのようなX縮写真を撮影することがあります。

(1)顎関節のX線写真

顎関節癒着症(ankylosis)、顎のhyperplasiaやhypoPlasia、その他の顎関節症の場合は、パルマ法やシュラー氏法などにより顎関節のX線写真を撮影し、その形態、安定位置、動きなどを把握します。

(2)断層X線写真

埋伏歯などの位置や方向の確認、顎関節の形態を精密に検査したい場合に撮影します。像はやや不鮮明ですが、前歯部にある過剰塊状歯が唇側に存在するのか舌側に存在するのか不明な場合などには有効です。

(3)手根骨のX線写真(図15-11)

個体の生理的な成長発育を調べる一つの有効な手段は、骨の形成状態を調べることです。最も一般的なのは、手根骨(wrist bone)のX線写真によって、骨核の出現、大きさ、形態を調べる方法です。

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拇指尺側種子骨(通常sesamoid bone と呼ぶ)は、Bjorkによれば全身的な成長のスパートより約1年早く出現するといわれます。また、基準平均値と比較検討して症例の骨年齢(骨成熟年齢)を知り、下顎骨が長管骨と同等の発育をするといわれているので下顎骨の形成状態と今後の発育量を予測します。

(4)その他

下顎骨や舌の動きを知るためのX線16mm映画など。

〔付〕ブラッシング(tooth brushing)指導

矯正治療を行うにあたっての前準備の段階で、とくにbrushingについては、術者は患者
および保護者にその知識を十分に伝え、正しく指導することが必要です(図15-12)。
brushingの目的は、歯ブラシおよび歯みがき剤で歯の表面を清掃し、食物残渣や世話を除去し、かつ歯肉にも適度の機械的刺激を加えて両者を健全に保つことですが、矯正患者に対しては次のような事項を考慮に入れて最も好ましいbrushing法を工夫しましょう。

1)歯列の不正配列の状態を十分に観察すること。

2)混合歯列期の矯正処置が多いため乳歯の環境に注意すること。

3)永久歯についても萌出直後のもの、または数年経過していても未だエナメル質が多
孔性であるためう蝕に陥りやすいことに注意すること。

4)矯正装置を使用することになるが、固定式の装置の場合複雑になるので、とくに舌側や口蓋側に装置されるものにはブラシの形態をよく選び、場合によっては多少改良を加えることも必要であり、可撒式の装置を使用しているものでも長期使用のものはクラスプの接触部位などに注意すること。

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歯垢染色によって、磨き残しの生じやすい場所や、左側は磨けているが右側は磨けていないなど、歯磨きのときの癖が鮮明にわかります。

また、どの程度みがけばほぼ歯垢が取れるのかの目安にもなります。

歯垢染色を何度か行うことで、歯垢が取れ安い磨き方が経験としてわかってきますので、自分でしっかりわかるまで、何度でも行ってください。

2015年1月21日


6.X線診査

矯正診断にかかせないのがX線による診査です。矯正治療は1歯2歯の改善にとどまらずに全顎について行う必要があるため、X線診査も顎骨を含めて全歯について行わなくてはなりません。

1)口腔内のX線写真

すべての初診患者について、歯列弓にあわせて全顎のデンタルX線写真とパノラマX線写真を撮影します。さらに必要に応じてオクルーザルX線写真などを追加撮影することもあります。

(1)デンタルX線写真(図15-7)

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歯列弓の大きさによって撮影する枚数は変わりますが、どのような場合でも全顎について行う必要があります。一般には、乳歯列弓6枚、混合歯列弓10枚、永久歯列弓14枚の撮影を行います。

観察の要点

1)歯数の過不足(過剰歯、欠知歯の有無)
2)混合歯列弓期の交換の様相
後継永久歯の萌出状況と歯根の形成状態、乳歯歯根の吸収状態など
3)末萌出歯の埋伏状態(方向や位置)
4)歯根の形態、吸収像の有無
5)硬組織疾患の既往歴、処置の判読
6)歯槽骨の状態
吸収像の有無、緻密性
7)歯根膜腔の肥厚状態、アンキロージスの有無

(2)パノラマX線写真

この写真には,パソトモ型とパノレックス型の2種類があります。両者とも撮影は口外法であり、パソトモ型(図15-8)は原理的に断層撮影のため像はやや不鮮明なところがあります。パノレックス型は、左右2枚の写真を中央で合わせてあるので前歯部がやや不明瞭です。しかし、上下顎のすべての歯、歯槽骨、顎骨の形状、さらには上顎洞、鼻腔、顎関節の状態までも1枚のフィルム上で診査観察できるという大きな利点がり、過剰歯、欠如歯、埋伏歯の有無、第3大臼歯の存在、あるいは混合歯列弓期における後継永久歯の位置確認にはとても便利です。

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(3)オクルーザルX線写真(図15-9)

前歯から臼歯にいたる片顎の歯、歯列弓を1枚のフィルム上に撮影したもので、過剰歯や埋伏歯の位置付け、口蓋裂患者、急速拡大法にて治療する場合などには非常に便利であり、かかせないX線写真です。

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2)頭部X線規格写真(Roentogenographic cephalogram)

頭部X線規格写真とは、幾何学的に一定の条件のもとで撮影された頭部のX線写真のことです(図15-10)。このX線写真をもとにして、症例の頭蓋、顎顔面の骨組織の形態学的実体と歯との関係を把握するために、一定の基準に従って計測し、種々の分析を行います。

診査の要点は,つぎの9点です。

1)脳頭蓋の形態
2)頭蓋底部を基準として顎骨の位置関係
3)頭蓋底部を基準として歯の位置および傾斜
4)上下顎骨の形態および相互関係
5)顎骨を基準として歯の位置および傾斜
6)上下歯の相互関係
7)顎顔面の軟組織および口唇の形態
8)鼻咽腔の疾患および気道の狭窄状態
9)顎骨と舌骨および脊柱との位置的関係

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2015年1月19日


5.口腔模型観察の要点

製作した模型より歯の幅径、歯列弓の長短径、歯槽弓の長短径を計測し模型分析を行います。

つぎに以下のような点について観察し、カルテに記載します。

1)上下歯列弓の咬合関係

2)側方歯群の近遠心的、頬舌的、垂直的咬合関係

3)犬歯の近遠心的位置関係

4)上下歯列弓の正中線の関係

5)上下前歯の被蓋
Overjet、overbiteの量

6)スピーの彎曲の程度(咬合平面)

7)歯列弓の形態と口蓋の深さ

8)個々の歯の植立位置と傾斜

9)歯数、形態ならびに歯の交換の様相、乳歯のカリエスなど

10)歯列弓内における歯冠幅径の量、歯間空隙の存否、叢生の有無

11)混合歯列弓期における永久歯の萌出余地の有無

12)咬耗の存在部位および状態

13)舌小帯、上唇小帯、頬小帯などの付着状態

 

美しい歯並びと正しい咬合のためには、チェック項目がたくさんあります。咬み合わせはとても緻密に出来ているため、これらのチェック項目の中で一つでもおかしい部分があると、全体の咬み合わせに影響が出ます。

歯列矯正の治療に1~2年か、場合によってはそれ以上かかるのは、歯を少しずつ動かしながら、同時に咬み合わせも整えていくためです。

2015年1月17日



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