2月 | 2015 | 矯正歯科コラム

矯正歯科コラム

矯正治療に必要な器具および材料-5

1.矯正用器具(Orthodontic pliers and instruments)

2.線屈曲のための鉗子類

(1)Young’s pliers

一般的に用いられる線屈曲鉗子である。beakの一端は平担な内面を持っており、他端は頭部1/2が円柱状で太さが3段階に分かれている。それぞれの内面には溝が刻まれている。特徴のある先端部は、とくに補助弾線やAdamsのクラスプのアロー・ヘッド(arrow-head)部などの細かい屈曲に適している。

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(2)Peeso’s pliers

やはり一般的な線屈曲鉗子である。beakはやや細長く、一方は内面が平坦、他方は軽度に凸彎しておりやや短い。あらゆる線の屈曲に応用される。

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(3)斎藤式wire bending pliers

おのおの形の異なった太くて短い嘴状のbeakを持っている。beakの一方がやや細長く形が小さくなっているために、線を把持する位置をずらすことにより、きわめて自由に線を屈曲することができる。

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(4)Tweed arch bending pliers

Beakは扁平かつ同型であり、内面は平面で約1mmの幅を持つ。beak部で線を把持したとき,それぞれの内面は平行になり、ワイヤー全面に均等な力を加えることができる。主としてedgewise法に用いられる。とくに角線の屈曲やトルク(torque)をつける際に欠くことのできないプライヤーである。

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(5)Tweed loop bending pliers

Beakの一方の先端1/3は円錐状で3段階に細くなっていて、他方はそれを受け入れるように陥凹している.小さなループとくにオメガループ(omega-loop)を屈曲するのに便利にできている。

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(6)Bird beak pliers

Beakは小型で、円錐型(cone型)と四角錐型(pyramid型)とでできている。主にedgewise法における細い線の屈曲や各種ループの形成に適している。

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(7)Nance closing loop pliers

Beakは板状で、幅が4段階になっている。各段階を利用して、一定の大きさと高さを持ったループを形成するのに便利である。

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(8)Jarabak pliers

一方のbeakの頭部は円錐形、体部は角錐形で、内面に3本の溝が刻まれている。他のbeakは内面が平らで1本の溝がある。beak全体は細長く、繊細な形をしていて、おもにlight wire法に使用される。

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(9)Three jaw wire bending pliers

Beakは特殊な形態をしており、一方の先が2つに分かれていて、他方の先がその間にはまり込むようになっている。左右のbeakとも内面は丸くなっておりこれは線を傷つけない様にするためである。head-gearやクラスプなどを急角度に屈曲するのに適しており、その他edgewise bracketにカーブを与えることもできる。

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線屈曲用プライヤー使用時の注意事項

1)そのプライヤーがどのような弾線(その物理的性状とサイズ)をどのよう(方向と度合いなど)に屈曲するのに適しているかを知ることと、使用にあたっては目的にかなった使用法を厳守することが大切です。例をあげると細い弾線を徴妙に屈曲するのに適したbird beak pliersで太い弾線を無理に屈曲した場合、プライヤーの性能を破壊してしまうため注意が必要です。

2)屈曲用プライヤーは特殊の場合を除いては弾線を曲げるためのものではなく、弾線を正しい形で把持するために使用します。直接屈曲するのは左手指であるという基本的な技術を身につけることが大切です。また必要以上に強い力を加えると弾線の理工学的性状を損じることもありますので注意します。

2015年2月26日


矯正治療に必要な器具および材料-4

1.矯正用器具(Orthodontic pliers and instruments)

1.帯環製作のための鉗子類

3)帯環追進器

(1)Band pusher

バンドの適合および結紮線切断端の折り返しに使用する。先端は口腔内で使用しやすいように屈曲していて細かいすべり止めの溝が刻まれている。

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(2)Molar band seater

大臼歯のバンドを圧抵する際に用いられる。先端はプラスチックの板であり、そのほぼ中央に円柱状または三角形状の金属の突起が固定されている。突起部をバンドの縁に適合し、手指または咬合圧によってバンドを押し込むことができる。

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(3)斎藤式バンド追進器

この追進器は両端を目的に応じて使いわけることができる。一端は“く”の字状に曲がっていてその先端に溝を有しており、他端は断面が半円形で先端にいくに従ってしだいに細くなり、全体にやすり状の細かい溝がはいっている。

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“く”の字状の一端の溝はバンドの辺緑にあてがい、これを圧入するのに用いられ、“く”の字の屈曲部の凸部は前歯舌面の凹彎にバソドを圧接するのに用いられる。やすり状の一端は、その平坦部、凸彎部および隅角部を自在に活用してバソドを圧接適合することができる。

4)帯環撤去鉗子(Band removing pliers)

バンド試適時、あるいは治療後のバンドの撤去に用いる。

(1)Anterior band removing pliers

前歯のバンドの撤去に使用する。長さの異なった2つの先端を持ち、長い方を歯の切端にあてがい、短い方の溝をバソドの歯頚部側辺縁にかけてバンドを取りはずす。

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(2)Posterior band removing pliers

臼歯部のバンド撤去に用いられる。長い方の先端は咬合面に適合しやすい形態をしており、短い方の一端をバンドの歯頸部側辺縁にかけてバンドを撤去する。
なお咬合面に適合させる部分はアルミニウム製で交換可能である。
前歯用、臼歯用ともにバンド撤去時に注意すべきことは、プライヤーの乱暴な操作を避けることであり、歯を傷つけたり、破折させないように徐々に操作することが大切である。

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2015年2月20日


矯正治療に必要な器具および材料-3

1.矯正用器具(Orthodontic pliers and instruments)

1.帯環製作のための鉗子類

2)帯環賦形鉗子(Band contouring pliers)

口腔内でのバンド試適時に、直胴であるバンドの細部を賦形調整したり、膨隆彎曲をつけたりして、歯面への適合をよくする目的のために使用する。

(1) Band contouring pliers

一方が凸彎し、他方がこれを受け入れるように凹彎している。これでバンドに膨隆を与えたり、バンド辺緑をしぼって、歯面への適合を密にする。主として前歯、小臼歯用である。

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(2)De La Rosa pliers

Beakの形が大きく彎曲が強いので、大臼歯用に適している。線屈曲の際、前歯部のアーチを形成するのにも応用できる。

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(3) Mershon’s band contouring pliers

バンドの一部に開大、または膨隆を与える際に用いられるプライヤーである。beakがに用いられるプライヤーである。beakがとくに短く、歯冠の各部分にバンドを適合させるのに便利である。

(4)Anterior band stretcher

前歯用バンドが歯より小さい場合、これを拡大するための器具である。先端は前歯の外形にあわせて長楕円形をなしていて、大きさに応じて3段階に分かれている。柄のついたネジを回すことによって先が開きバンドが拡大される。

(5)Seamless molar band stretcher

臼歯用バンドが歯より小さい場合、これを拡大するための器具である。歯の外形に応じて上顎用と下顎用がある。

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2015年2月12日


矯正治療に必要な器具および材料-2

1.矯正用器具(Orthodontic pliers and instruments)

1.帯環製作のための鉗子類

1)帯環形成鉗子(Band forming pliers)
バンドの製作には直接法(口腔内で実際に製作する)、間接法(模型上で製作する)、既製帯環(pre-formed or prefabricated band)の使用などがあります。ここでは直接法の場合について説明します。

直接法では口腔内での操作上、唇・頬・舌側と種々の方向から、バンド形成をするため、多くのプライヤーが使用されます。1本のプライヤーですべての操作をすることは逆に作業をしにくくするため、2~3本のプライヤーを併用します。

この種のプライヤーは、体部が長くモノ・アングル(mono-angle)で、左右の頭部が対称的でバンド材料をしぼる面をもっているという特徴があります。
使用に際してはバンド材料を歯面に直接適合し、牽引緊張(pinch)します。

(1)Angle’s band forming pliers

Beakはなだらかなカーブをしていて、バンド材料を歯固におしつけるようにしてしぼる。beak全体は長く口腔内到達範囲が広い。頭部先端は上下顎前歯、犬歯、上顎臼歯舌面、下顎臼歯頬面に適合することができる。

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(2)Pullen’s band forming pliers

Beak 1/3 の部分で屈曲していて、ことに屈曲した頭部の外側面、内側面が歯面の外形に合うように設計されている。歯面への適合面はAngleのものと全く異なるが、応用範囲はほぼ同様と考えられる。

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(3)Double beak band forming pliers (前歯用、臼歯用)

プライヤーの先端はバンド保持部と歯面適合部に分かれていて、前歯用では適合部が歯面にあうように凸彎しており、臼歯用では凹彎している。あらかじめバンド材料の両端を熔接し、ループを作る、さらにこの熔接部から約5mmの所を再び熔接し、大小2つのループを作っておく。操作法は、まず保持部を小ループに入れ、適合部にある溝に大小ループの交差部を入れる。そして大ループで歯を取りまき、プライヤーをしぼることによりバンドは歯面によく適合されることになる(左;前歯用、右;臼歯用)。

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(4)Betta型band forming pliers

バンド両端をプライヤー頭部についている釘で穿孔してループを作り、このループで歯をとりかこみしぼる。

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(5)Peak molar band pinching pliers

バンド材料でループを作ってこれで歯をとりまき、ループの一端をプライヤーの先でくわえながらバンドをしぼって適合させる。下顎左、上顎右側臼歯用と、下顎右、上顎左側臼歯用の2種類がある。

注)(3)(4)(5)のいずれのプライヤーも、舌側より適合させるものであるから、バンド材料にあらかじめブラケットや頬面管を熔接しておけば、いっそう便利である。

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(6)斎藤式バンド形成鉗子

Angle’s band forming pliers の改良型で頭部はやや小型にできていて、の外側、内側部の長さは等しく、いずれも直線上をなす。とくに下顎臼歯の頬側、および上顎臼歯の舌側部をしぼるのに便利である。

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2015年2月6日



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