9月 | 2015 | 矯正歯科コラム

矯正歯科コラム

矯正装置の種類とその使用法(Orthodontic appliances)6

[1] 固定式装置(Fixed appliance)

1.唇側舌側弧線装置

1.唇側歯槽部弧線装置・釘管装置

2.釘管装置(Pin and tube appliance)

1)主線

通常0.5mmぐらいの弾力線を使用し、主線の弾力が矯正力として用いられます。
主線には嬌正力の調節を容易にする目的で、垂直ループを使用するものが多くあります。主線の大部分は歯面に接して用いられますが、一部ループの形状に従って歯肉部分に接することもあります。一般的には、ピンを鑞着し、主線の維持連結を行いますが、主線の遊離端をピンとして用いることもあります。

2)帯環

本装置の原型においては、固定歯帯環と被移動歯帯環に区別されていましたが、現在のように局所的な応用として用いられるようになってからは、相反固定を目的とするものが多く、それぞれが固定歯および被移動歯としての役割を果たすので、とくにその両者を区別することはありません。

通常、帯環の唇頼面に、ほぼ歯軸の方向に一致したチューブが鑞着され、十分な歯根移動を行うため、チューブには長さを必要とするので、帯環は4mm以上の幅をもつものを使用します。

3)維持装置

主線と帯環の連結維持は、主線に鑞着されたピンと、帯環に鑞着されたチューブが直接連結されます。したがって結紮などは行いません。ピンとチューブは、相互に適合の良いことが条件で、ピンは通常0.5~0.8mmの太さで、長さは約4mm以上を必要とし、チューブはこれに適合するものを使用します。チューブの位置は、歯冠の近遠心ほば中央に歯軸方向と一致して鑞着しますが、歯に捻転を伴うときは、チューブの位置を若千近心、あるいは遠心に位置することにより歯牙移動の効果は増大します(図17-6)。

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また主線の遊離端および、その一部を用いてロック・ワイヤーとしての働きがが与えられ、装置の脱落を防止しています。

本装置は、その構成上の主線に付着するピン(小釘)と、帯環に付着するチューブ(管)とが直接装置の連結維持の役目を果たすので、釘管装置と名づけられました。現在では、その原型はもとより、局所的な応用についても、その使用頻度は非常に少なくなりましたが、歯の移動に際して、歯根の移動を考慮したものとしてその名が残されています。

2015年9月24日


矯正装置の種類とその使用法(Orthodontic appliances)5

[1] 固定式装置(Fixed appliance)

1.唇側舌側弧線装置

1.唇側歯槽部弧線装置・釘管装置

2.釘管装置(Pin and tube appliance)

釘管装置は、Angle,E.H.(1912)が、初期の歯弓拡大弧線装置の欠点を補う目的で考案した唇側弧線装置です。歯弓拡大弧線は、単に歯の傾斜移動のみが可能であったのに対し、釘管装置では図174に示すように、主線に鑞着されたピンが、帯環に鑞着されたチューブに適合することによって、歯根の移動を可能にするように改良されたものです。

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この装置は、その後Youngによって主線にループを組みこむことにより、調節は多少簡単になりましたが、矯正力のコントロールはとても大変な作業でした。1916年にAngleが新しい紐状弧線装置(ribbon arch)を発表してからは、ほとんど使用されることもなくなり、今日では本装置が原型のままで使用されることは全くありません。現在用いられているものは、ほとんど局所的な歯の小移動を目的としたもので、その最も典型的な応用例は、左右上顎中切歯の正中離開の矯正に用いられるものです(図17-5)。

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釘管装置は、主線、帯環、維持装置からなり、主線の有する弾力が、主線に鑞着したピンと、帯環に鑞着したチューブを直接連絡法により連結したとき、矯正力を発現します。

2015年9月17日


矯正装置の種類とその使用法(Orthodontic appliances)4

[1] 固定式装置(Fixed appliance)

1.唇側舌側弧線装置

1.唇側歯槽部弧線装置・釘管装置

1.唇側歯槽部弧線装置(High Lbial arch appliance)

3)補助弾線

また、本装置のもつ機能的な特性については次のようなことが挙げられます。

1)補助弾線を使用することにより、個々の歯に対して、それぞれに適当な力と、移動方向を与えることができる

2)被移動歯の自由運動を妨げない。すなわち、ほとんど帯環を使用しないので、歯が装置による束縛を受けない。このことはとくに萌出中の歯に対しても使用することが可能である

3)細い補助弾線を使用するため、被移動歯に温和な持続的矯正力がえられる。したがって、生理的な組織変化を期待することができる

4)固定歯に対する力学的な負担が少ない。補助弾線に比べて、太い強固な主線を使用するため、補助弾線による矯正力の反動は、主線に吸収されて最小限の反応による変化にとどめることができる。とくに矯正力の調節を行ったのちに、固定歯に加わる力の方向に変化が少ないことは、歯根膜や、歯槽骨の細胞の機能に対して、生理的に好結果をもたらす。
固定歯に大きな力を負担させるようなおそれのある場合は、さらに舌側弧線装置の併用によって軽減することができる

以上のような特徴から、唇側歯槽部弧線装置は、個々の歯の移動にあたっては、現在でも非常に優れた嬌正装置であるということができます。しかし、これは上顎歯列弓に用いる場合であって、下顎の歯列弓に使用された例はほとんど見られません。主として、上顎前歯の舌側移動、あるいは近遠心的な移動を行う場合に用いるのが最も適当でしょう。

2015年9月10日


矯正装置の種類とその使用法(Orthodontic appliances)3

[1] 固定式装置(Fixed appliance)

1.唇側舌側弧線装置

1.唇側歯槽部弧線装置・釘管装置

1.唇側歯槽部弧線装置(High Lbial arch appliance)

3)補助弾線

単純な弾力線を垂直的な方向で使用する場合は、唇側からの圧迫により歯冠部を舌側へ移動し(図173A)、比較的単純な形で彎曲し、歯の隣接面まで延長した補助弾線は、歯冠部の近遠心的な移動のときに用いられます(図17-3B)。水平な方向に屈曲したループをもち、その遊離端が隣接面に達するものは、歯軸を中心とした歯の捻転にたいして、これをコントロールすることに役立ちます(図17-3C)。

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また、この水平ループを利用し、その遊離端を歯の切端まで延長して、かつフックとして切端を覆う場合には、捻転および歯冠の唇側移動のほかに、歯を歯軸方向で挺出することの予防および圧下を行うことができます(図17-3D)。

このように補助弾線は、その形態によって歯をいろいろな方向に移動することができますが、とくに歯冠部の舌側移動、および近遠心移動に有効です。

唇側歯槽部弧線は、考案者の命名によるhigh labial archからするならば、高位唇側線と呼ぶべきですが、主線の走行する位置からみれば、低位唇側線と呼ぶ方が正しいでしょう。そこで現在まで主線の走行位置が歯槽部にあることから、唇側歯槽部弧線と呼んでいます。

この装置の特徴は、一般的には、帯環がほとんど使用されないこと、補助弾線が歯の接触点を越えぬように使用できることなどから、装置の大部分は口唇の蔭にかくれて外観にふれることが少ないです。あるいは、帯環の使用が少ないので、口腔内の清掃も行いやすく、常に衛生的である、などの理由により、審美的、衛生的に優れています。

2015年9月3日



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