10月 | 2015 | 矯正歯科コラム

矯正歯科コラム

矯正装置の種類とその使用法(Orthodontic appliances)11

[1] 固定式装置(Fixed appliance)

2.舌側弧線装置 (Lingual arch appliance)

4.装置の製作順序

2)維持装置の維持管の鑞着

維持管を維持帯環の舌側に鑞着します。その位置と方向は,維持帯環の舌側で歯頸部寄りに、かつ臼歯列と平行に、咬合平面に対し可及的に直角に鑞着されます(図17-19)。

3)モデリング印象

維持帯環を固定歯に適合してから、モデリング印象またはアルギン酸印象を行います。アルギン酸印象では、印象材自体に弾力があるため維持帯環を印象面に正確に適合することがむずかしいこと、あるいは石膏注入時に動きやすいことから、原則的にはモデリング印象が望ましいとされます。

印象に際しては、舌側歯頸部は明確に印記されていなければなりませんが、頬側はアンダーカットができないように浅くとることが必要です。次に、維持帯環を印象内に正確にうつし、維持管の部分と維持帯環の頬舌側面内面にバラフィンワックスを流します(図17-20)。

こうすることにより、パンドは印象内にしっかりと固定され、その後の鑞着操作を容易にし、正確な装置を作ることができます。

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4)作業模型の製作

石膏注入後、のちの操作の妨げになるような余分な石膏は削除し、作業模型を完成します(図17-21)。

2015年10月29日


矯正装置の種類とその使用法(Orthodontic appliances)10

[1] 固定式装置(Fixed appliance)

2.舌側弧線装置 (Lingual arch appliance)

3. 装置の適応症と応用

1)適応症

この装置の構造上、歯の唇側あるいは頬側移動に適しているので、いわゆる1・2歯の反対咬合とか、歯列弓の軽度の拡大に用いられます。また、近遠心移動も行えるので、萌出中の歯の咬合誘導や萌出余地の獲得にも適しています。

2)応 用

本装置は応用として、次のような場合によく用いられます。

1)顎間固定の固定源として(図17-16):顎間固定装置で,、顎間ゴムリングによる岡定歯の
近心移動や回転などの不快事項を防止するのに有効です。

2)顎内固定の加強固定として(図17-17):しばしば双線弧線装置に併用されます。

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3)保隙装置あるいは保定装置として:混合歯列弓期に未萌出歯のための保隙のため、あるいは移動後の保定装置として有効です。

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4.装置の製作順序

現在広く用いられている維持装置の1つであるS・T・ロックのタイプを使用した可撤式装置の製作順序について述べます。

1)維持帯環の製作

維持帯環を製作する前に歯間離開を行うことが必要です。この操作が十分になされないと、正確なバンドの製作はむずかしくなります。歯間離開が完了したのち、通法に従って固定歯によく適合した正確なバンドを製作します(図17-18)。このバンド製作が不備であると治療経過中にバンドが離脱したり、齲蝕の誘因などの不快事項が生じますので注意が必要です。現在ではかなり適合性のよい既製のバンドが市販されているので、それを使用してもよいでしょう。

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2015年10月22日


矯正装置の種類とその使用法(Orthodontic appliances)9

[1] 固定式装置(Fixed appliance)

2.舌側弧線装置 (Lingual arch appliance)

1.装置の構造

4)補助弾線

補助弾線には主として、太さ0.5mmの矯正用弾線が用いられます。これは主線に鑞着屈曲され、移動に必要な矯正力が得られ歯の移動を可能にします。屈曲される形態により、次の種類のものがあります。

(1)単式弾線

主として、唇側移動に用いられます(図17-11)。

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(2)複式弾線

弾線の遊離端が二重に屈曲されているもので、主として前歯の唇側移動(図17-12)や小臼歯の頬側移動に用いられます。弾線を長くすることができるので、より弱く持続性の矯正力が得られるという利点があります。

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(3)指様弾線

図17-13に示すような弾線は、とくに指様弾線と呼ばれ、前歯や小臼歯の近遠心移動にしばしば用いられます。

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2.装置の種類

装置の種類は、主線が維持装置によって口腔内から必要に応じて着脱できる可撤式のものと、維持装置を有しない固定式とに分けられます。

1)可撤式

主線の末端は維持装置の主線の末端と所定の位置(通常は第1小日歯と第2小臼歯の中間)で鑢着されますが、この主線は維持帯環に鑢着された維持管にそう入され、維持弾線によって維持されます。着脱は,、この維持弾線を小形スケーラーで引きおこしたり、圧接することによってなされます(図17-14)。したがって、主線に鑢着された補助弾線の調節が容易であるという利点はありますが、維持装置が対咬関係によって破損したり、鑞着部分の破折がおこりやすいのが欠点です。

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2)固定式
主線の末端は維持帯環の舌面部に直接鑢着されています(図17-15)。このため装置は強固であり破損することが少ない、あるいは固定歯の萌出が不十分の場合でも比較的利用できる、などの利点があります。しかし、補助弾線の調節は装置を撤去して行わなければならない欠点があります。

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この固定式は,策定の目的や対顎の歯牙移動をするための顎間固定の固定源として使用することができます。この固定式のものをホールディング・アーチ(holding arch)と呼ぶこともあります。

2015年10月15日


矯正装置の種類とその使用法(Orthodontic appliances)8

[1] 固定式装置(Fixed appliance)

2.舌側弧線装置 (Lingual arch appliance)

1.装置の構造

本装置は図17-7に示すように維持帯環、主線、維持装置、補助弾線の4つの部分から構成されています。

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1)維持帯環

通常は第1大臼歯に装着されますが、第1大臼歯の萌出が不十分でバンド製作がむずかしいような場合には、第2乳臼歯に作られることもあります。

2)主 線(図17-8)

主として、太さ0.9mmの矯正用弾線が用いられます。主線は原則として移動する以外の各歯の舌側歯頸部に軽く接し、かつ粘膜面に接するように滑らかに屈曲されます(図17-8A)。決してBのような屈曲をしてはなりません。

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3)維持装置(図17-9)

維持装置は維持管、維持弾線、脚部から構成されています。維持管は維持帯環に鑞着されており、脚部は維持管にそう入され、維持装置の主線の末端は主線の末端と接合部で鑞着されます。したがって、維持装置によって主線は確実に口腔内に保持され、維持管を介して補助弾線の調節時にはずすことができます。

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これまでに各種の維持装置が考案されていますが、図17-10は現在日本で広く用いられているダブル・チューブ型のものです。図17-10Aは高橋の考案によるS・T・ロックと呼ばれるもので、Bは半円管と半円線によるタイプのものです。

2015年10月8日


矯正装置の種類とその使用法(Orthodontic appliances)7

[1] 固定式装置(Fixed appliance)

2.舌側弧線装置 (Lingual arch appliance)

本装置は、Mershon,J.V.によって1918年に考案発表されたものです。その後、種々の改良が加えられ、現在も広く用いられている基本的な装置の1つです。また、Oliver,O.A.などによって唇側弧線装置と併用することによってさらに用途がひろめられ、今日唇側舌側弧線装置(labio-lingual system)として一つの体系をつくっています。

本装置による歯の移動は主として傾斜移動ですが、萌出中の歯に弱い持続的な矯正力を用いることによって歯体移動を期待することもできます。回転なども被移動歯にバンドを装着することによって行うこともできるが能率的ではありません。

また、本装置は維持歯を除いてあまリバンドを用いず、かつ移動のための矯正力は比較的太さの細い弾線(直径0.5mm内外)によってもたらされることから、その矯正力は比較的弱くまた持続性です。本装置は舌側に位置するため装置によるカリエス罹患性の増大などがなく、幼弱な患者に長期にわたって使用することができます。

2015年10月1日



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