矯正歯科コラム

矯正歯科コラム

矯正装置の種類とその使用法(Orthodontic appliances)18

[1] 固定式装置(Fixed appliance)

3.双線弧線装置(Twin-wire appliance)

2.双線弧線装置の構造

この装置は構造的には全帯環装置に類似していますが、大きく分けると次のようになります。

1)双線弧線(Twin-wire)
2)エンドチューブ(End-tube)
3)頬面管(Buccal tube)
4)ブラケット(Bracket)
5)舌側弧線装置(Lingual appliance)
6)コイルスプリング(Coil spring)
7)その他

1)双線弧線(Twin-wire)(図17-39B)

この装置の主線であり、その名の示すように、0.20~ 0.25mmの弾性の強いワイヤーで、一般に2本のstainless‐steel wtteが使用されます(図17-34)。この2本のワイヤーは次に述べるエンドチューブによって左右を保持され、1本の主線を構成します。ワイヤー自体は直線でエンドチューブが頬面管にそう入され弧状の形態をとります。

双線弧線は結紮あるいはカバーによって不正状態に歪み、この歪みが元へ復元しようとするとき、弾性力が生じこれが矯正力となって歯牙移動が行われます(図17-33、34)。

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2)エンドチューブ(End-tube)(図17-35B)

2本の主線を保持するもので、内径0.5mm、外径0.9mmのチューブで、長さ25~30mmあります。これには顎間、顎内ゴムなどの使用目的でフックが鑞着されたり、コイルスプリングなどが入れられることもあります(図17-35B、D)。
主線の保持の方法としてストレッチャーを使用します(図17-39B)。

2015年12月17日


矯正装置の種類とその使用法(Orthodontic appliances)17

[1] 固定式装置(Fixed appliance)

3.双線弧線装置(Twin-wire appliance)

1.双線弧線装置の特徴

歯牙移動においては主線とブラケットを結紮するとワイヤーの弾性力が歯に伝達し、歯冠と歯根とが同時に自動的に移動します。また2本の主線が作りだす弧状形態に歯は自動的に排列され、形態によって多少歯列弓は変化しますが、正常歯列弓と非常に類似しています。

現在、使用頻度の多い全帯環装置の歯牙移動の力と比較してみると、患者には比較的不快感を与えず、また組織に対して為害作用が少ないと言われています。これらの点が緩和な力にもかかわらず、持続的でしかも生理的な歯牙移動を行うことができます。

次に欠点としては歯牙移動にはバンドが必要であり、このことが全帯環装置と同様に審美的な面での欠点であり、齲蝕の問題をおこしやすいといえます。しかしこの矯正装置の最大の欠点は唇舌側弧線装置と同様に、歯牙移動時に傾斜移動をおこしやすく、歯根の移動が伴わない点で、とくに抜歯症例における空隙閉鎖の問題です。

Johnsonが発表したfriction type(図17-36A)、また溝(slot)がエッジを形成しているタイプのものではフラットワイヤーがある程度この問題を解決していますが、現在のわが国で使用されているタイプ(図17-36B)のものではあまり効果がありません。このことが適応症例に限界をつくり、とくに抜歯症例(第1小臼歯の4本抜歯の場合)における犬歯の遠心傾斜、第2小臼歯、第1大臼歯の近心傾斜をおこし、また前歯部の舌側移動時には過蓋咬合をおこし、咬合挙上が実際には十分行えません。さらに排列された歯列の状態が前歯部でフラットな状態をおこし、上顎の中切歯と側切歯の唇面の差、あるいは歯列弓で犬歯部の彎曲の状態を作りだせないのです。

2015年12月10日


矯正装置の種類とその使用法(Orthodontic appliances)16

[1] 固定式装置(Fixed appliance)

3.双線弧線装置(Twin-wire appliance)

1.双線弧線装置の特徴

矯正治療を行うにあたり主線であるアーチワイヤーが発現する力を十分、最大に利用するには、やはり矯正用のワイヤーの物理的特性を知らなければなりません。

ワイヤーは直径と長さの変化によって次のような性質が変化します。力、荷重、弾性限の3つが変化をおこし、Johnsonが従来の太い1本の主線に代わり、細い2本の主線を使用するように至ったのは、実はこの直径と長さにおける変化と、その効果を考えてのことであると思われます。

一般にワイヤーの直径が変化し長さが一定の場合は図17-32① のように、また長さが変化し直径が一定の場合は②のように変化することが知られています。

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次に歯軸に変化を与える歯体移動やトルクの可能性はJohnson自身の意図に反してほとんど不可能で、この目的のためにはフラットワイヤー(flat wire)を使用するか、全帯環装置とくに角線の使用を考えた方が良いと思われます。

製作や調節の面では他の装置とくに全帯環装置に比して製作が容易で、しかも調節が簡単です。

2015年12月3日


矯正装置の種類とその使用法(Orthodontic appliances)15

[1] 固定式装置(Fixed appliance)

3.双線弧線装置(Twin-wire appliance)

戦後この双線弧線装置がわが国に紹介されると、従来の装置の単独使用ではむずかしかった歯牙移動も比較的容易に行うことができ、しかも製作、調整が簡単なことから急速に広まり、やがて一時はわが国の主流を占める矯正装置となりました。

しかしその後Begg法、Jaraback法やedgewise法が紹介されるに及んで、双線弧線装置はこれらの全帯環装置にとってかわられる傾向があります。

しかしこのような矯正学の時代背景の中で、一つの時代を築いたこの双線弧線装置も、緩和な力,持続的な力、しかも自動性を有する調節、このような点で現在でも高い評価を受け、広く臨床家の中で使用されています。

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そこでこの装置の概要を述べ、臨床的、学問的評価を考えてみましょう(図17-31)。

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1.双線弧線装置の特徴

この装置は多くのバンドを使用し、大臼歯を不動の固定歯としており、多くの場合舌側弧線装置と併用されます。またその名の示すように、2本のきわめて細いラウンド・ワイヤー(直径0.25mm)を主線として使用するところに独創性があります。

Johnsonによれば, 2本の細い主線を用いる利点として、

1)太いワイヤーより弾性(resiliency)がある
2)細い2本のフイヤーは元の形にもどる弾性が十分あり、これが歯牙移動に必要な弾性力となる
3)2本のフイヤーを使用することにより、歯体移動(bodily movement)やトルク(torque)が可能

以上をあげています。

2015年11月26日


矯正装置の種類とその使用法(Orthodontic appliances)14

[1] 固定式装置(Fixed appliance)

3.双線弧線装置(Twin-wire appliance)

1932年、Joseph E.Johnsonによって考案、発表されたtwin-wire applianceはその後、Johnson、weber、Maddenらによって数多くの症例が報告されました。以来すでに40数年を経た歴史の長い矯正装置と言えます(図17-30、31)。

この装置は2本の細い主線を使用し、その弾性力によって矯正治療を行うのが特徴です。
わが国には1949年、榎によって初めて紹介され,、双線装置”と名づけられました。その後、竹ノ谷、滝口らによって症例の報告と材料の改良が行われ、現在のようなtwin-tie channel bracket形式になってからは神山、曾根、瀬端、清水らによって広範な症例の報告と装置の応用法が考えられてきました。以来一般臨床家にも広く使用され、やがて“双線弧線装置”と呼ばれるようになりました。

当時の米国では、全帯環装置としてedgewise装置があり、また唇・舌側弧線装置などが多くの臨床家に使用されていました。一方わが国では戦前から、ごく一部の臨床家の中にedgewise装置が使用されていましたが、多くは唇舌側弧線装置、舌側弧線装置、機能的矯正装置、床矯正装置などがすべてでした。

2015年11月19日



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