小児矯正

インビザラインファーストにデメリットはある?始める前に知っておきたいポイント

インビザラインファーストにデメリットはある?

大阪矯正歯科グループ 歯科医師 松本 正洋

「インビザラインファーストって、子どもにも使えるマウスピース矯正って聞いたけど、デメリットはないの?」

そんな疑問をお持ちの親御さんも多いのではないでしょうか。今回は、インビザラインファーストのデメリットに焦点を当て、治療を始める前に知っておきたいポイントを詳しく解説します。

インビザラインファーストの主なデメリット

1. 装着時間の自己管理が必要

インビザラインファーストは、1日22時間以上の装着が推奨されています。しかし、自己管理が難しい年齢の子供にとって、自主的に長時間の装着を継続することは難しいことが考えられます。装着時間が不足すると、治療効果が得られにくくなります。

対策:

  • 親が毎日の装着状況を確認してサポートする。
  • 学校や外出先でも装着を続けられるるように習慣づける。

2. マウスピースの紛失・破損のリスク

取り外しが可能なマウスピースは、紛失や破損のリスクがあります。特に学校や外出先での取り扱いには注意が必要です。紛失や破損が発生すると、再作製に時間と費用がかかります。

対策:

  • 専用のケースを持たせて、外した時には必ずケースに入れる習慣をつける。
  • 取り扱いの注意点について子供と話し、丁寧に扱うように言う。

3. 適応できない症例がある

インビザラインファーストは、すべての不正咬合に対応できるわけではありません。重度の出っ歯や受け口、骨格的な問題がある場合は、他の矯正方法が適していることがあります。

対策:

  • 治療を始める前に、歯科医師による検査・診断を受ける。
  • 必要に応じて、他の矯正方法との併用を検討する。


4. マウスピースの清掃が必要

マウスピースは、食事や歯磨きの際に取り外す必要があります。食後にマウスピースを洗ってから装着しないと、虫歯や歯周病のリスクが高まります。

対策:

  • マウスピースの清掃方法を子供と一緒に学んでやってみる。
  • 子供が一人で洗えるように練習する。
  • 定期的に歯科医院で口腔内のチェックを受ける。

5. 治療費用が高額になる可能性

インビザラインファーストは自由診療となるため、治療費用が高額になることがあります。また、治療途中でマウスピースを作り直したり、追加の治療が必要になると、費用の総額が更に増える場合もあります。

対策:

  • 治療開始前に、費用の詳細や追加費用について歯科医院に確認する。
  • 複数の歯科医院でカウンセリングを受けて、比較検討する。

インビザラインファーストは、目立ちにくく、取り外しが可能な矯正方法として、多くの親御さんに注目されています。しかし、上記のようなデメリットも存在するため、治療を始める前にしっかりと理解し、準備を整えることが大切です。

子どもの性格や生活習慣、口腔内の状態を考慮し、歯科医師と十分に相談した上で、最適な矯正方法を選択しましょう。

インビザラインファーストは子供のマウスピース矯正

インビザラインファースト

「インビザライン=大人の矯正」というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。でも実は、子供のためのインビザライン矯正もあるんです。それが「インビザラインファースト」。

対象は「混合歯列期」の子供たち

「インビザラインファースト」は、乳歯と永久歯が混ざっている時期、いわゆる混合歯列期(だいたい6〜10歳頃)の子どもを対象とした矯正治療です。

この時期に矯正を始めると…

顎の成長をコントロールしやすい

将来的な不正咬合のリスクを減らせる

永久歯がきれいに並ぶスペースを確保できる

といった大きなメリットが期待できます。

「マウスピース矯正」ならではの特徴

インビザラインファースト

インビザラインファーストは、従来のワイヤー矯正とは違い、透明なマウスピースを使って少しずつ歯を動かす矯正方法です。

以下のような特徴があります。

取り外しができる → 歯磨きや食事のときに外せるので衛生的です

目立ちにくい → 装着していてもほとんど目立たないため、見た目を気にせずに済みます

痛みが少ない → 段階的に少しずつ歯を動かすため、ワイヤー矯正に比べて痛みがマイルドです

成長段階に合わせた特別設計

「ファースト」は、ただの小型インビザラインではありません。子どもの成長に合わせて設計された専用のプログラムになっており、

顎の拡大(顎の成長を促す)

歯並びの誘導(永久歯が生えるスペースを確保)

悪習癖の改善(指しゃぶりや舌癖の影響をコントロール)

といった、多面的なアプローチができるのがポイントです。

成長期をチャンスに変える矯正方法

つまり「インビザラインファースト」は、ただ歯を動かすだけの矯正ではなく、成長期ならではの可能性を活かす矯正。見た目が気になる子でも始めやすく、生活への負担も少なめなので、親御さんからの注目度も高い治療法です。

気になった方は、ぜひ「今のタイミングがベストかどうか」も含めて、歯科医院で相談してみてくださいね!

インビザラインファーストは乳歯の生え代わりにどんな風に対応するの?

「乳歯がまだ残ってるけど、矯正ってできるの?」「生え代わりの途中なのに、マウスピースって使えるの?」
そんなふうに思った親御さん、正直多いはず。
でも、ご安心ください。インビザラインファーストは、乳歯と永久歯が混ざっている“今このタイミング”のための矯正なんです。

混合歯列期にぴったりな理由

子どもの歯は、6歳頃から12歳くらいまでの間に、少しずつ乳歯から永久歯へと入れ替わっていきます。この時期は「混合歯列期」と呼ばれ、矯正にとって大事な期間です。

インビザラインファーストは、この時期特有の特徴にしっかり対応できるように設計されています。

具体的にはこんなふうに対応してくれる

永久歯が生えるスペースを先に確保しておく
 → 顎の拡大や歯列誘導を行うことで、将来的に歯がガタガタにならないようにサポートします。

生え変わりを前提にした柔軟な設計
 → マウスピースは定期的に交換していくため、新しい永久歯が出てきてもすぐに対応できます。

乳歯が残っていても問題なし
 → 歯の移動量や形に合わせて作られているので、乳歯があってもきちんと治療を進められます。

必要に応じて新しいマウスピースを再設計できる
 → 成長に合わせて治療計画をアップデート可能。これって地味にすごいポイントです。

乳歯が抜けると、マウスピースはどうなるの?

「え、乳歯が抜けたらマウスピース合わなくなるんじゃ…?」と気になりますよね。

結論から言うと…合わなくなったら作り直します!(ちゃんとその想定込みで治療費に含まれていることも多いです)

つまり、インビザラインファーストは最初から生え変わりがある前提で動いてくれる設計になっているので、
「乳歯が抜けてしまったら治療中断!」なんてことにはなりません。

変化が多い時期だからこそ、柔軟に対応できるのが強み!

乳歯が抜けたり、永久歯が生えてきたり…まさにお口の中は「にぎやかな引っ越し中」みたいな状態。そんなタイミングで矯正するなら、柔軟に対応できるインビザラインファーストが相性抜群です。

「矯正治療をするなら全部永久歯になってから…」と思ってる方もおられますが、むしろ今の時期をうまく活かせるのがこの治療なんです。

知らずに始めると後悔するかも…?見落としがちな注意点

インビザラインファーストは魅力もたくさんありますが、デメリットもゼロではありません。以下の点に注意が必要です。

装着時間を守らないと効果が出にくい
→ 1日20時間以上の装着が基本ですが、自己管理が難しい年齢では不十分になりやすいです。

取り外し式ゆえに紛失のリスクがある
→ 学校や外出先で外して、そのままなくしてしまうケースも。

複雑な不正咬合には向いていないことがある
→ 骨格的なズレや難症例はワイヤー矯正のほうが適している場合もあります。

マウスピースの着脱に親のサポートが必要
→ 特に低学年の場合、きちんと装着・管理するためには親御さんの協力が欠かせません。

費用がやや高めに設定されることがある
→ 通常の矯正よりも料金が上がることもあり、家計面で検討が必要です。

これらのデメリットは、あらかじめ知っておくことで対策も立てやすくなります。決して「やらない方がいい」わけではなく、「正しい知識で選ぶこと」が大切なのです。

インビザラインファーストがぴったりなケースとは?

すべての子どもに向いているわけではないですが、以下のようなお子さんにはおすすめです。

マウスピースの管理ができる性格の子

軽度〜中等度の不正咬合(出っ歯・すきっ歯など)の子

金属の矯正装置に抵抗が強い子

見た目を気にしやすい年齢の子

このようなお子さんの場合、ワイヤー矯正よりもストレスが少なく、モチベーションを保ちやすいのが特徴です。

納得して選ぶために、まずは相談から

デメリットが気になる方も多いかもしれませんが、それは「ちゃんと選びたい」という気持ちのあらわれでもあります。

お子さんの性格や生活スタイル

不正咬合の種類や程度

ご家族のサポート体制

ご予算の範囲

こういった要素を総合的に判断するには、やっぱり専門の歯科医師によるカウンセリングが欠かせません。

まとめ

デメリットを知ることで、安心してスタートできる

インビザラインファーストにはメリットも多くありますが、今回紹介したようなデメリットもあるのが事実です。とはいえ、そのデメリットを正しく理解し、対策をとることで、矯正治療はスムーズに進められます。

「うちの子には合っているのかな?」と感じたら、まずは一度相談してみるのがベストです。焦らず、でも前向きに、ベストな選択をしていきましょう!

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

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