インビザライン

子ども矯正治療 インビザライン・ファーストとは?

子どものマウスピース矯正インビザライン・ファーストについて教えて

大阪矯正歯科グループ 歯科医師 松本 正洋

インビザライン・ファーストは、乳歯が永久歯に生え変わる途中の混合歯列期に使用する、子供専用のマウスピース型矯正装置です。

これまでのインビザラインは、永久歯が生え揃ってからの矯正治療(第2期治療)、または大人の矯正治療に使用されてきましたが、インビザライン・ファーストの開発によって、混合歯列期の子どもに対してもインビザラインが使えるようになりました。

インビザライン・ファーストとは?

インビザライン・ファーストは、子供を対象とした矯正治療法で、透明なマウスピースを使用して歯を少しずつ動かして歯並びを整える方法です。

この治療法は、従来の金属製ブラケットやワイヤーを使った矯正とは異なり、目立たず、取り外しが可能で、痛みが少ないという特長があります。適用年齢は大きく個人差がありますが、一般的には6歳から11歳頃の子供が対象です。

インビザライン・ファーストの特徴

インビザラインファースト

萌出タブ・萌出スペース

萌出タブ永久歯が生え始めた部分や、まだこれから生えてくる部分には、歯が生えてくるスペースを確保するための「萌出タブ」が設定できます。

また、過剰な萌出に関しても、萌出タブを設定することで対応が可能です。

コンプライアンス・インジケータ

コンプライアンス・インジケータインビザライン・ファーストはアライナー(マウスピース)にコンプライアンス・インジケータというものがついています。これはアライナーの装着時間に応じて色が変わるようになっており、お子さんがどの程度アライナーをきちんと装着出来ているかが一目でわかります。

インビザライン・ファーストを使用するための条件

インビザライン・ファーストの適応条件は?

乳歯列
  1. 第一大臼歯が萌出している
  2. 切歯のうち少なくとも2歯が2/3以上萌出している
  3. 少なくとも3/4顎に乳歯(C、D、E)または未萌出の永久歯 (3、4、5)が2歯以上ある

この条件を満たしているかどうか、ご両親ではわかりづらいと思います。お子さんと来院して頂いてインビザラインの担当医が診断いたします。

インビザラインファーストの適応年齢は?

第一大臼歯を有し、切歯(乳歯もしくは永久歯)の少なくとも2歯が2/3以上萌出していること。

また、少なくとも3/4顎に乳歯(C、D、E)または未萌出の永久歯(3、4、5)を2歯以上有していることが必要です。

1日22時間のアライナー装着

 時計

インビザラインの装着時間は1日20時間以上としている歯科医院が多いですが、当院では1日22時間はめていただけるようにお願いしております。

アライナーの付け忘れが頻繁に起こると、歯が動きにくくなったり後戻りが起こり、矯正治療期間が延びたり、アライナーに歯が入らなくなる可能性もあります。

インビザライン・ファーストと従来の小児矯正の違いは?

インビザラインファースト

 

インビザライン・ファーストは小児矯正専門のマウスピース型矯正装置ですが、大人の矯正と子共の矯正の違いは、成長途中の年令の子どもは、顎や骨の発育をコントロールできるため、顎が理想的な大きさになるように成長を促進しながら歯並びを整えることが可能だという点です。

今までは、顎の大きさを整えるため床矯正と呼ばれる取り外し式の矯正装置を使い(一期治療)、その後歯列をきれいにするためにワイヤー矯正を行う(二期治療)という二段階の治療が、小児矯正の一般的なやり方でした。

小児矯正用の装置

6~12歳の混合歯列期では、乳歯から永久歯への歯の生え変わりが起こるため、子どもの歯にワイヤーを装着するのは困難で、一期治療が終わってから数年は経過観察に留め、二期治療の開始は13歳位からになるケースが多かったのです。

インビザライン・ファーストの場合は、一期治療を一年半程度で完了し、その後はリテーナーでの保定期間となりますが、マウスピースのみで矯正治療をすることが出来ます。また、必要に応じて二期治療を行うことも出来ます。

インビザラインファーストでは混合歯列期の治療が可能なの?

乳歯の生え変わりのレントゲン写真

インビザラインファーストでは、マウスピースの、永久歯が生えてくる予定の場所に、あらかじめ空間を作っておくことが出来ます。これは「萌出タブ」と呼ばれ、永久歯がまだ生えてきていない、あるいは生えてくる途中である場合に、設計の時点で「萌出スペース」を確保しておくということです。

そして理想的な顎の大きさへと成長促進させながら、歯の位置がきれいに並ぶように誘導していきます。

このような仕組みにより、従来の一期治療、二期治療と比べると治療が早く完了するようになりました。

インビザライン・ファーストの治療期間

子どものイメージ

小児矯正では乳歯から永久歯に生え変わり中の咬合歯列期の第一期治療と、永久歯が生え揃ってからの第二期治療に分かれます。

インビザライン・ファーストでは一期治療を1年半以内に完了して、その後、永久歯が完全に生え揃うまでの間はリテーナー用のアライナーをつけて頂き、経過観察を行います。歯列に問題がなければ、二期治療の必要はありません。

※リテーナーとは、 矯正治療で移動した歯が元の位置に戻らないように安定させるために装着する装置です。インビザライン治療でのリテーナーは、アライナーと同じ透明なマウスピースとなります。

インビザラインはどういうマウスピース?

インビザライン一式

インビザラインは1997年にアメリカに本社があるアラインテクノロジー社で開発されたマウスピース型ウスピース型カスタムメイド矯正装置のひとつです。

透明なマウスピースを使った矯正は、目立ちにくい、ワイヤー矯正と比べて痛くない、食事の時には取り外せる等の特徴を持ち、世界的に人気の矯正治療法となりました。インビザラインは全世界で700万人以上の実績があります。(2019年1月現在)

アライン社が提供するインビザライン以外にも、現在では様々な名前のマウスピース型矯正システムがありますが、前歯から奥歯まで全体を動かすことが出来るのはインビザラインだけです。

元々インビザラインは大人向けのマウスピース型矯正装置だったのですが、マウスピース型矯正装置の大きな流行に伴い、小児矯正向けのインビザライン・ファーストが開発されました。

小児矯正のステップ

子供の矯正0期 → 乳歯列期

開始年齢の目安:3~5歳くらい

治療の目的:お口周りの筋肉のバランスや骨格を整え、きれいな歯並びのための土台を作る

主な矯正装置:プレオルソ

子供の矯正1期 → 混合歯列期

開始年齢の目安:6~11歳くらい

治療の目的:骨格を整えながら(永久歯が並ぶように、歯列を拡大する)、歯並びを整えていく

主な矯正装置:インビザライン・ファースト

子供の矯正2期 → 永久歯列期

開始年齢の目安:12歳くらい~

治療の目的:歯を動かし、理想的な歯並びをつくる治療を行う

主な矯正装置:ワイヤー矯正、マウスピース矯正など(大人の矯正と同じ)

 

子どものマウスピース矯正インビザライン・ファーストに関するQ&A

Q

インビザライン・ファーストと従来の小児矯正の違いは何ですか?

A

インビザライン・ファーストは、成長途中の子どもの顎の発育を促進しながら歯並びを整える小児矯正専門のマウスピース型矯正装置です。従来の方法では床矯正とワイヤー矯正が2段階で行われましたが、インビザライン・ファーストでは一段階での治療が可能です。

Q

インビザライン・ファーストの治療期間はどれくらいですか?

A

インビザライン・ファーストの治療期間は通常1年半以内で完了します。治療後はリテーナーを装着し、歯の位置を安定させるための経過観察が行われます。歯列に問題がなければ、二期治療は必要ありません。

まとめ

インビザライン・ファーストでの一期治療についてご説明しました。子どもの歯並びには遺伝の他、生活習慣や癖などの要因があります。早めにご相談いただくことで、お子さんの将来の歯並びに悪い影響を与えている癖などがないか調べ、矯正治療の開始時期を決定します。まずはお気軽にご相談下さい。

 

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

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