小児矯正

子供の床矯正とは?いつまで出来る?

子供の床矯正とは?いつまで出来る?

 子供の床矯正とは何か、いつまでできる治療法なのか、保護者の方は気になる点でしょう。子供が行う床矯正(しょうきょうせい)について詳しくご紹介いたします。

子供の矯正はなぜ必要?

子供にとって歯列矯正はなぜ必要なのか、理由として挙げられるのは下記のとおりです。

  • 歯並びが悪いと見た目のコンプレックスにつながる
  • 噛んだりすりつぶす咀嚼機能が行いにくい
  • 明瞭に発音がしにくい
  • 顎(あご)の小ささから歯磨きしにくく虫歯になりやすい
  • 真ん中より顎がいずれかにずれている
  • 下顎(かがく)が前方や下方へ発達しそう

機能面への影響

歯の大きさは変わらないのに顎は小さいという子供が現代は多いため、歯並びの問題(不正咬合)が起きやすいです。歯並びの悪さを放置すると、将来的な歯の健康に関わったり、顎の成長に悪影響を及ぼす可能性があります。正しい噛み合わせであれば、発音の明瞭さや正しい嚥下(えんげ)という機能面も問題ありませんが、悪い噛み合わせであればうまく噛めず、栄養素が通常より摂取できなかったり、顎関節に負担を掛けるため、将来顎感染症になるリスクが上がります。

なぜ子供の時期にやる必要があるのか?

審美性のみではなく機能性もというのは先述しましたが、すべて永久歯に生え変わる前に行う歯列矯正が大切な理由をご説明します。乳歯期(6ヶ月~3歳)や混合歯列期(6歳~12歳)の子供は、顎の発達を上手にコントロールしてスペースを作れるため、永久歯に生え変わって矯正治療を行う場合でも、スペースを作るための抜歯が必要ない確率が高くなるというのが大きなポイントです。顎の成長が見込めない大人は個人差はありますが、抜歯処置が必要になることがあります。

床矯正は?いつまでできる?

床矯正ができる年齢については、混合歯列期の年齢である5~7歳頃が一般的です。床矯正の装置はワイヤーと小さなプレートで出来ている入れ歯のような矯正装置です。10歳を過ぎてしまうと永久歯が多く生えてきて、顎の発達が少なくなるため、この時期に行うことが大切です。床矯正の装置については、上顎や下顎いずれにも使用できます。

子供の床矯正を詳しく

子供の床矯正は、寝る前に装着することができる取り外しが可能な装置です。専門用語で可撤式(かてつしき)と呼び、真ん中にネジがあるタイプと、ワイヤーの横に少しだけプレートが付いているネジなしの矯正器具があります。ネジがあるタイプは一日一回しっかりと大人が回して顎を横に拡大しなければなりませんし、ネジがないタイプはしっかりと歯列にはまっているか、奥歯の部分やプレートが浮いていないか等の確認をしなければなりません。治療期間としては約2年位です。

床矯正のメリット・デメリット

メリットとしては就寝時を中心に装着するため、食事や歯磨きの際は通常通りです。見た目を気にする子供でも納得して治療を行えます。また、固定式矯正装置と比べて、虫歯のリスクが減ります。デメリットとしては、きちんと装着時間を守らなければ、固定式の矯正器具よりも効果は出にくくなります。

床矯正と急速拡大装置との違い

急速拡大装置は固定式で患者さん自身で取り外しが出来ず、上顎のみにしか使用できません。上顎にずっとつけた状態となるため効果的に顎を拡大することは出来ますが、強い力をかけて動かしていくため、違和感を感じる方もおられます。短期間で顎を大きく出来るという効果があります。

急速拡大装置のメリット・デメリット

メリットは固定式であるため、床矯正より短期間で顎が広がり効果を実感できます。デメリットは可撤式の装置に比べて、違和感や痛みが出ること、しっかり丁寧な歯磨きを行わないと虫歯のリスクが上がるということです。急速拡大装置について詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。

床矯正を行うまでの流れ

ポイントとしては、乳歯の前歯が抜けて永久歯の前歯が生えたタイミングで床矯正を行うのがベストです。床矯正を行うまでどのような流れかをご説明いたします。

  1. 歯科医院で矯正の初診カウンセリング
  2. 必要に応じてレントゲンを撮影
  3. 精密検査を希望されれば口の写真や歯の型を採取する
  4. 検査結果が分かり次第結果に基づき治療計画について説明を受ける
  5. 歯並びを改善しないとどのような口腔内になるかという予測
  6. 矯正治療でどのような器具を使用するとどう変わるか
  7. 通院はどれくらいの間隔なのか
  8. 料金の支払い方法(デンタルローン、現金で分割、カード払い)などのご案内
  9. 治療法や費用についてすべて納得できる内容
  10. 矯正治療を開始する

床矯正の不安

顎を広げるという処置に対して子供のお顔が横へ横へと大きくなってしまうのではと心配される保護者の方は多いです。床矯正で広げるのはあごの骨を数ミリだけ広げる治療なので、お顔の幅に影響が出そうな頬の骨ではありません。定期通院で顎の骨の状態を担当医がしっかり確認しつつ行う治療法ですので、心配されるようなことが起きるリスクは低いです。また、顎のゆがみがある方が正常な顎になることでお口周りの筋肉が偏りなく発達し、お顔立ちが引き締まるという良い可能性も考えられます。

まとめ

子供の歯並びを見て、いずれ矯正治療を行った方が良いでしょうと言われたら、症例経験の多い矯正歯科で相談されることをおすすめします。治療計画や治療方法、費用や治療期間を明確に説明してくれ、質問に必ず回答してくれる信頼のおける医院で治療を検討することが大切です。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

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