矯正治療中にロキソニンは使っていい?痛みとの付き合い方と安全な痛み止めの選び方

矯正治療中はさまざまなタイミングで痛みが出ることがあり、つらいときにはロキソニンなどの鎮痛薬を飲みたくなる場面もあります。とはいえ、矯正による痛みは病気が原因ではないため、痛み止めを服用しても問題ないのかと迷う方も少なくありません。そこで本記事では、治療前に押さえておきたい矯正時の痛みの主な原因と、具体的な対処法についてわかりやすく解説します。

矯正治療で感じる痛みの仕組み

マウスピース矯正でもワイヤー矯正でも、治療の過程で痛みを感じることがあります。特に、矯正開始直後や、ワイヤー調整後の最初の数日間は、痛みや圧迫感が強くなることが多いです。この痛みは虫歯の激痛とは違い、鈍い圧迫感、筋肉痛に似た痛みとして感じられることが多いです。矯正中の痛みは、歯が動くとき、噛むとき、装置が当たるとき、主に3つに分けられます。

歯が動くときの痛み

矯正治療は、歯に装置を取り付けて持続的な力をかけ、歯を少しずつ動かしていきます。歯を支える歯槽骨の中で歯根膜が引っ張られたり押されたりして、骨や歯周組織をリモデリングしていき、力がかかった部分に軽い炎症反応が起こることがあります。この刺激で痛みや違和感が出ることがありますが、特に歯が動き始めた直後が最も痛みやすく、多くの場合は時間の経過とともに自然に落ち着いていきます。

マウスピース矯正

マウスピース矯正の場合、新しいマウスピースに交換した直後の2〜3日間に歯が大きく動くため、このタイミングで痛みを感じやすい傾向があります。長くても1週間程度で痛みが軽減するケースがほとんどです。

痛みの強さには個人差があり、強い締め付けを感じる方もいれば、軽い違和感で済む方もいます。

ものを噛むときの痛み

矯正中の歯が動いている状態は非常にデリケートです。そのため、食事で噛んだときや歯が当たったときに、しみるような痛みや響くような痛みを感じることがあります。

装置が当たるときの痛み

矯正装置が口の中の粘膜である歯ぐき、唇、舌に触れて、痛みや不快感が生じる場合があります。特にワイヤー矯正は、装置が歯肉や唇、舌に当たりやすく、痛みが出たり口内炎ができたりすることが比較的起こりやすいのが特徴です。一方、マウスピース矯正は尖った部品が少なく、口腔内を傷つけにくいため、装置の接触による痛みは起こりにくい傾向があります。

ロキソニン(ロキソプロフェン)の作用と特徴

ロキソニンの有効成分はロキソプロフェンナトリウムですが、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)に分類される鎮痛剤です。NSAIDsとは、Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugsの略称で、痛みの原因となる物質の生成を抑えることで、痛みや炎症を軽減します。そのため、頭痛、生理痛、歯痛、関節痛などに使われることが多く、痛みの緩和に即効性があることで知られています。NSAIDsは痛みとともに炎症反応も抑制することから、痛みが強い場合には有効ですが、炎症そのものが起こるプロセスを抑えてしまうため、矯正治療では注意点となり得ます。

矯正中にロキソニンは飲んでも大丈夫?

結論として、矯正中に痛みが強い場合、応急処置としてロキソニンを飲むこと自体は問題ないとされています。しかし、長期間の服用、もしくは頻繁な服用はおすすめされません。矯正中の痛みが我慢できないレベルに達している場合、一時的な痛み止めとしての使用は許容されますが、毎日続けて服用する習慣にしてしまうのは避けた方が良いです。

ロキソニンが矯正治療に与えるメリット・デメリット

ロキソニンが矯正治療に与えるメリット、デメリットをご説明いたします。

メリット デメリット
鎮痛作用が強く、矯正中のつらい痛みを速やかに和らげやすい 抗炎症作用により、歯を動かすために必要な炎症反応まで抑えてしまう可能性がある
炎症による腫れやズキズキした不快感を軽減する効果も期待できる 炎症反応を過度に抑制すると、歯の移動スピードが低下するリスクが指摘されている
急な強い痛みが出た際に、すぐ対応できる鎮痛薬として使いやすい 胃や腸に負担がかかりやすく、胃痛及び吐き気などの副作用が起こることがある
痛みを一時的にコントロールできるため、日常生活や睡眠への影響を抑えやすい 長期間使用すると、矯正治療の進行や治療期間に影響を及ぼす可能性がある

矯正治療では、歯が動く過程で周囲組織で炎症反応が起こることが治療の一部として必要とされています。NSAIDsのような抗炎症作用が強い薬を頻繁に使い過ぎると、その反応が弱まり、治療効果に影響する可能性があります。

ロキソニン使用時の注意点と服用ルール

痛み止めは正しく服用することが重要です。ロキソニン使用時の基本的な注意点を挙げてみましょう。

正しい使い方

  • 指定された用量と用法を守る
  • 空腹時を避け、基本的に食後に服用する
  • 痛みがある時に必要最低限で使うようにする

避けた方がいい状況

  • 毎日継続して飲む
  • 痛みがないのに予防的に服用する
  • 他のNSAIDs系薬と併用する

特に注意すべき副作用

  • 胃痛や消化器官の症状
  • アレルギー反応
  • まれに腎機能への影響

長期間の常用や多すぎる服用は避け、必要以上に薬に頼らないことが大切です。アセトアミノフェン系の鎮痛剤であるカロナールが、矯正治療への影響が少なくおすすめされることもあります。

矯正中におすすめの痛みへの対処

痛み止めの薬以外にも、矯正治療中の痛みを軽減する方法はいろいろあります。痛みへの対処法についてご説明します。

矯正用ワックス

痛みがある頬や歯茎の箇所と、そこに接触している矯正装置を確認して、矯正装置にワックスを付けましょう。ワックスのコーティングにより、装置が当たって痛いという症状を和らげることができます。

冷却する

氷嚢や冷たいタオルを頬に当てると血管が収縮し、炎症が落ち着いて痛みが和らぎます。調整直後は15分冷やして1時間休むということを繰り返すと効果的です。冷たい飲み物を少しずつ口に含むのも一時的な緩和に役立ちますが、氷を歯や歯ぐきに直接当てないこと、15分以上冷やすのは避けてください。痛みで眠りにくい方は就寝前の冷却がおすすめですが、冷たいデザートなどを摂り過ぎると、糖分過多になるため注意しましょう。

柔らかい食事にする

痛みが強い時期は、噛む負担が少ないスープ、ヨーグルト、スムージー、マッシュポテト、柔らかく煮た野菜や肉などにしましょう。また、食べ物を小さく切るようにすると、口を大きく開けたり強く噛んだりせずに済みます。 冷たいものは一時的に楽になることがありますが、極端に熱い、極端に冷たいものは刺激になるためなるべく適温にし、辛いものや酸味の強いものも、調整後しばらくは控えるのが無難です。硬いナッツ、ポップコーン、固いパン、生にんじんなどは痛みを増やすだけでなく装置破損の原因になるため避けましょう。

歯茎を優しくマッサージする

洗浄した清潔な指で歯茎を優しく円を描くようにマッサージすると、血行が促進され、痛みの原因となる炎症物質が排出されやすくなります。1日に数回、数分間行うだけでも効果を感じられる方が多いです。特に就寝前のマッサージは、リラックス効果も相まって痛みの緩和に役立ちます。

リラックスしたり、温かい塩水でうがいをすることも薬に頼らずに不快感を緩和する対処法です。症状によっては歯科医師に相談して追加のケアを受けることも検討してみましょう。

まとめ

矯正中の痛みは多くの人が経験する正常な症状です。ロキソニンのようなNSAIDs系鎮痛剤は応急的な痛みを和らげる効果がありますが、抗炎症作用が骨の里も出凛ンぐに影響する可能性があるため、必要な時だけ、短期間の使用にとどめることが大切です。

痛みが強い場合は、日常的なケア方法や、アセトアミノフェン系の鎮痛剤など別の選択肢について歯科医師に相談することをおすすめします。痛みと上手に向き合いながら、安心して矯正治療を進めていきましょう。