矯正治療で親知らずを抜くタイミングとは?

矯正治療で親知らずを抜くタイミングとは?

「矯正治療で親知らずを抜くタイミングって?」「矯正を行うと必ず親知らずを抜かないといけないの?」など不安に思われる方がおられるのが、親知らずです。虫歯ではないのに健康な親知らずを抜く処置に、抵抗がある方も多いです。確かに、矯正を行うために抜歯の処置をしなければならない事に、納得できる理由が必要と思います。それでは、今日は「矯正治療で親知らずを抜くタイミング」についてご案内いたします。

親知らずは皆同じタイミングで生える?

まず、親知らずとは、どのようなものでしょうか。専門的に、第三大臼歯や智歯ちしと呼ばれるもので、そう呼んでいる歯科医院があるかもしれません。

生える時期としては、通常、親知らずは永久歯の中で最も遅く萌出する(生えてくる)ものです。他の永久歯は、おおよそ12~15歳までに生え揃いますが、親知らずは10代後半~20代前半までの間に生えます。ただ、大人になるタイミングで、皆生えてくるという訳ではありません。

例えば遥か昔、ヒト科の一種であるホモ・エレクトス(ジャワ原人などが一般的に有名です)にも親知らずが生えていたと判明しています。更に遡った昔の時代においては、親知らずは一番大きい臼歯であったらしく、咬合の為正常に機能していたと考えられております。

火や道具の使用による食生活の変化に伴い、ホモ・エレクトスの頃には、智歯の大きさが臼歯で最小になり退化したという歴史があります。ジャワ原人の時代から退化をしているので、現代人の私達において親知らずが生えてこない人が一定数存在するというのは不思議な事ではないです。

親知らずの歴史について下記の11ページに詳しく載っておりますので、興味のある方はそちらもご参照ください。

親知らずは何故抜かないといけないの?

たまたまクリニックへ通院された際、歯科医師に親知らずの抜歯をすすめられたという経験をお持ちの方いらっしゃるでしょう。ただ、痛さを伴う虫歯になってもいないのに、何故痛みがない親知らずを抜くのか、気になると思います。それは、親知らずは他の臼歯と比べて、「生える時期が遅い歯」「咀嚼で使用する必要性があまりない歯」などの特徴があるからです。

歯列矯正を開始されたい方において、親知らずが治療計画に支障をきたさない場合は、抜歯を行う必要がありません。ですが、患者様のお口の状態を診療して、歯科医師が生え方によっては抜歯をおすすめすることがあります。では、親知らずを残すメリット・残すデメリットについてご紹介します。

親知らずを残すメリット

まず、親知らずを残すメリットについてご説明いたします。矯正治療からは少し離れた話になりますが、別の歯を抜く際に移植出来る可能性があるという事です。

自家歯牙移植じかしがいしょく
例えば周囲の人から目立つ前歯が、歯周病や虫歯により抜歯を行わなければいけない際、親知らずを代わりに使用する治療法を選択する事ができます。自家歯牙移植と言いますが、親知らずがそのように役立つこともあります。ただその場合、横向きや傾斜して生えていない、歯のサイズをそのまま使用できる箇所である、などいくつかの条件が揃わないとできません。
 
自家歯牙移植が可能だった場合、インプラントにはない歯根膜が使用できるという事で顎骨や歯周組織を再生できる可能性が見込まれます。また、自家歯牙移植治療は、自費治療で高額のインプラントと違い、費用が安く済む保険適応で対応できる場合があります。

ブリッジの土台
奥歯を悪くし、歯を失った方でも、親知らずと手前の歯を土台にブリッジ治療を行う事が可能です。本数などの厳しい条件もありますが、そのようなケースがあるということもメリットとして挙げられると思います。

何より、親知らずを抜歯する際のリスクとして、稀に挙げられる下歯槽かしそう神経麻痺などがあります。抜歯をしなければそのリスクを回避する事が出来ます。これは、下顎の感覚が鈍くなったり、しびれるような感じがするという症状です。親知らずを抜いた場合、全員にそのような症状が現れる訳ではありませんので、ご安心ください。

親知らずを残すデメリット

対して、親知らずを残すデメリットについてご説明いたします。それは、虫歯や歯周病、歯並びが悪くなるなどの、口腔内の悪化です。

虫歯や歯周病になり易い可能性
智歯周囲炎と呼ばれる歯周の疾患が代表的です。親知らずが生える際、歯冠の周囲に炎症が起きる症状です。歯周組織や顎骨に影響を及ぼし、顔の腫れや口が開きにくいなどが考えられます。

最も遅く奥に生える親知らずは、既に他の永久歯が並んでいてスペースが狭いという理由で、完全にまっすぐ生える事が出来ないというものが原因です。それにより、歯冠が部分的に歯肉を被るため、歯磨きのお手入れがしにくく、衛生的とは言えません。

歯並びが悪くなる可能性
親知らずは埋伏歯まいふくしという可能性が非常に高い歯です。先程も申し上げたように、最も遅く奥に生える永久歯の為、埋伏歯になりやすいのです。埋伏歯とは、「埋まる、伏せる、歯」と書きますが、字が表すとおり、歯はあるけれど、顎骨の中で埋まり生えてこないものを指します。矯正治療を始めようと思われた方が、カウンセリング後レントゲンなどの精密検査を経て初めて、「親知らず、顎にあったのか」と気づく事が多いです。

八重歯治療前治療後

埋伏歯は横に伏せる状態で骨の中にいるため、歯科矯正を行おうと考えておられる患者様には、抜歯をおすすめします。と言いますのも、埋伏歯により前の歯を押す力が常にかかっている為、矯正を行っても歯が動かず歯並びが悪くなったり、噛み合わせが悪くなる可能性があるからです。

前突、受け口、叢生、開咬、過蓋咬合、ガミースマイルなどの不正咬合のお悩みを抱えておられ、尚かつ親知らずがある方は、矯正の担当医の治療方針によって、そのような処置をする可能性が高い事を覚えておいてください。

矯正治療で抜歯するタイミングとは

矯正を行うために親知らずを抜歯しなければならない場合、そのタイミングがいつか気になります。それは、患者様の状態と矯正する内容によって異なるとお考え下さい。

例えば、前突の患者様で奥に歯を動かしていきたいケースですと、上顎の前歯を引っ込めるために、矯正治療前に上顎の親知らずを抜く事は考えられます。抜歯後、ブラケットやワイヤーによる矯正、インビザライン、インコグニート(舌側矯正)などの器具を装着し、正常な歯並びに歯を動かして治療を行います。もちろん、装着後の歯列が徐々に綺麗になっていく過程で、親知らずを抜くという事も考えられます。

また、患者様の親知らずの状態が、完全に生えている状態か、部分的に歯肉を被っている状態か、埋伏歯として骨に埋まっている状態かによっても、異なります。

まとめ

いかがでしたか。今回は「矯正治療で親知らずを抜くタイミング」について、ご説明しました。矯正を行うために親知らずを抜くか抜かないかは、歯科医院へ通院し、カウンセリングやCTなどの精密検査を行えば、診断できます。矯正を考えておられる方は、一度ご相談の為、予約されてみてもいいかもしれませんね。