歯科矯正全般

歯並びをこれ以上悪くしないために自分で出来ることはありますか?

歯並びをこれ以上悪くしないために自分で出来ることはありますか?

大阪矯正歯科グループ 歯科医師 松本 正洋

歯並びが悪い場合、自力で治すことは出来ませんが、今よりも悪くしないために出来ることは存在します。歯並びが悪くなる原因をみていきながら、歯並びをこれ以上悪くしないために出来ることを考えていきましょう。

歯並びを悪くしない為に自分で出来るトレーニング

既に歯並びが悪くなってしまっている大人の方の歯並びは、これらのトレーニングで治すことは出来ません。しかし矯正治療で歯並びをきれいにした後も、上記のような癖が残っていると、歯並びが後戻りしてしまいます。

そのため、出来る限り歯並びに悪いとされている癖は治しましょう。

1. 舌を正しい位置に置く

上顎の前歯の後ろ側をスポットと呼びます。舌先をスポットにつけ、下は上の口蓋に沿わせ、上顎にくっついた状態にします。これが舌の正しいポジションです。この時に舌先で前歯の裏を押さないように注意します。

口呼吸の方は舌の位置が下がってしまっています。スポットに舌を置くように心がけましょう。

2. 舌をスポットに置いたまま口の開け閉めをする

舌を正しい位置に置きながら口の開け閉めを繰り返します。これによって舌の筋肉が鍛えられて舌の位置をスポットにキープしやすくなります。

3. 舌をスポットに起き喉の方へ舌をずらしていく

舌を正しい位置に置き、舌全体を上顎に密着させます。そのままで舌を喉の方へずらしていきます。これは食事でものを飲み込む時の正しい舌の動きを覚えるためのものです。

4. 外側の歯茎に沿って舌をお口全体に回す

舌回しとも呼ばれ、ヨガのエクササイズとしても知られています。口を閉じて、口の中で上の歯の歯茎に添うようにして舌でなぞっていきます。次に下の歯の歯茎を同じように舌でなぞっていきます。右回り、左回りを5周ずつくらい行います。

気が付いた時に何度でも行いましょう。舌回しは受け口を改善する効果があるという説もあります。また、舌回しをすると唾液腺が刺激され、唾液がたくさん出るようになります。歯の外側を唾液で潤すことにもなり、歯周病予防の効果があるともいわれています。

歯並びが悪くなる原因とは?

歯が重なったり斜めに捻じれて生えたりするのは、歯の大きさに対して顎が小さく、歯がきれいに並ぶことが出来ずにデコボコになってしまうという理由からです。ただし、骨格が原因の受け口や出っ歯の場合は、親からの遺伝によるものもあります。

歯並びに影響を与える他の理由としては、指しゃぶりや舌で前歯を押す、口呼吸などの癖によるものがあります。これらの癖がどうして歯並びを悪くしてしまうのでしょうか。

1. 指しゃぶり

指しゃぶり

小さい時から指しゃぶりを続けていると、指の力で前歯の裏側をグイグイ押す状態になり、上顎の骨と前歯の両方が前に出てしまい、骨格性の出っ歯になってしまうリスクがあります。

また、上と下の前歯の間に指が入っている時間が増えると、開咬と呼ばれる不正咬合を起こすことがあります。開咬とは、奥歯を噛んだ時に上下の前歯が噛み合わずに隙間が開いてしまう状態をいいます。

2. 舌癖

舌の様々な癖のことを舌癖といいます。舌で前歯の裏を押す癖があると、出っ歯になるリスクがあります。また、上下の前歯の間から舌を出す癖があると、開咬になるリスクがあります。

3. 口呼吸

自然な呼吸は鼻呼吸です。しかし近年口で息をするお子さんが増えており、口呼吸の子どもは口がずっと開けっ放しでお口ポカンの状態になっています。

口で呼吸すると、舌が本来の位置(上顎のくぼみに舌先がついた状態)から下がった場所に常にある状態になります。舌の位置が下がると頬や唇の筋肉の成長が遅れることから、ガタガタの歯並び(叢生)や出っ歯や開咬になるリスクがあります。

4. 横向き寝

常に横向き寝で寝ていると、下になっている側に頭の重みがかかり続けますので、顔や顎の骨の成長が妨げられて、顔や顎のゆがみに繋がります。

枕と顔の間に手や腕を挟んで寝る癖のある方も、手や腕に歯が押されて内側に倒れ込むリスクがあります。

寝る時にはなるべく仰向けの姿勢を心がけ、寝返りをうったときに自然に横向き寝になり、また仰向けに戻り、長時間同じ姿勢が続かないように眠るのが理想的です。

5. 頬杖

頬杖をつく癖があると、左右の顎のバランスが崩れて噛み合わせが左右にずれるリスクがあります。また、片方でばかり頬杖をつくと、常に同じ場所の歯と骨が押されて舌側に入り込んでしまい、左右で歯のアーチの大きさが異なるということになりかねません。

歯並びを悪くしないために自分で出来ることに関するQ&A

Q

歯並びを悪くしないために自分でできることは何ですか?

A

歯並びを改善するために自力でできることは限られていますが、歯並びを悪化させないためには、舌の正しい位置を保ち、口の癖を改善することが重要です。具体的には、舌を上顎のスポットに置くことや口の開け閉めのトレーニングを行うことが挙げられます。

Q

歯並びを改善するためのトレーニングは大人でも有効ですか?

A

歯並びを改善するためのトレーニングは、既に歯並びが悪くなってしまった大人には効果が限定的です。主に成長期の子供や矯正治療後の歯並びを維持するために有用です。大人の場合、歯並びを改善するには矯正治療が必要です。

Q

歯並びを悪くする主な原因は何ですか?

A

歯並びが悪くなる主な原因には、顎の小ささによる歯の配置の不均一さや骨格性の受け口、出っ歯などがあります。また、指しゃぶり、舌癖、口呼吸、横向き寝、頬杖などの癖も歯並びに影響を与える要因となります。

まとめ

歯のキャラクター

指しゃぶり、舌癖、横向き寝、頬杖などの歯並びに悪い影響を与える癖を、出来るだけなおすようにしましょう。

歯並びを自力で治すのは難しくても、歯並びを悪くする原因となるこれらの癖は、毎日の生活習慣の中でご自身で治すことが出来ます。

矯正治療で歯並びを整えても、癖が残ったままだと、歯並びはまた悪くなってしまいます。出来る範囲で上記のトレーニングも毎日の生活の中で行っていきましょう。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

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