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新たなマウスピース矯正?スマーティー矯正とは

新たなマウスピース矯正?スマーティー矯正とは

大阪矯正歯科グループ 歯科医師 松本 正洋

マウスピース矯正の装置でSmartee(スマーティー)が日本に上陸しているのをご存知でしょうか。マウスピース矯正の種類及び、スマーティーとはどのようなものなのか、インビザライン矯正との違いについてご紹介いたします。

マウスピース矯正とは

成人で歯列矯正をされる際、ワイヤー矯正やマウスピース矯正を選択される方が多いでしょう。ワイヤー矯正は表側に付けると審美的な観点を気にされて敬遠する方もおられます。では反対に、マウスピース矯正とはどのようなものか、メリットやデメリットを挙げてみましょう。

マウスピース矯正のメリット

  • 装置が透明で治療中と目立ちにくい
  • ご自身で取り外しが可能で食事や歯みがきがしやすい
  • 金属を使わないためアレルギーの心配が少ない
  • 口腔内の違和感が少ない
  • 通院頻度が比較的少なく済む

マウスピース矯正のデメリット

  • 1日20時間以上の装着時間を守る必要がある
  • 自己管理しなければ治療期間が延びる
  • 歯並びによってはワイヤー矯正と併用しなければならない

マウスピース矯正のメーカー

マウスピース矯正と一口に言っても、国内外にはさまざまなマウスピースのメーカーがあります。ここでは代表的なものをご紹介しましょう。

インビザライン(Invisalign)

1997年にアメリカのAlign Technology社にて開発されたマウスピース矯正装置で、2006年より日本で開始されました。世界的に最も普及しているマウスピース矯正システムで、豊富な症例実績があり、軽度から重度の不正咬合まで幅広く対応可能です。歯の動きのシミュレーションも精度が高く、治療計画の予測性が高いのが特徴です。

スマーティー(Smartee)

2004年にSmartee Denti-Technology社にて開発され、2024年より日本で導入されています。世界50カ国以上で展開されている新興メーカーですが、独自の素材技術や治療期間の短縮を特徴としています。大阪矯正歯科グループでも一部の医院にて取り扱いを行っております。

クリアコレクト(ClearCorrect)当院では行っておりません

2006年にアメリカで開発されたマウスピース矯正ブランドで、現在はスイスのストローマン社が運営しています。インビザラインに似たシステムで比較的コストが抑えられますが、歯茎を覆うマウスピースであるため装着に違和感を覚えることがあります。日本では一部の歯科医院でのみ導入されています。

アソアライナー(ASO Aligner)当院では行っておりません

1998年に開発されたクリアライナーを起源とした日本製のマウスピース矯正で、軽度〜中等度の歯並びの乱れに適しています。国内の技工所による製作のため、短期間でマウスピースが届くなどのメリットがあります。

スマーティー矯正を詳しく

スマーティーとは、インビザラインと同じくカスタムメイド型のマウスピース矯正です。患者さんの歯型をスキャンし、それを基にマウスピースを作製します。交換のタイミングは治療計画により個人差がありますが、自身で新たなマウスピースを装着して、歯並びを変えていきます。

どんな材料で作られる?

スマーティーのアライナー(マウスピース)はオリジナルの構造を持つ新世代のポリマーで作製され、BPAフリーであるということもポイントです。BPA(ビスフェノールA)という化学物質が人体の内部に入ると内分泌に悪影響を及ぼす懸念が示されています。BPAフリーイコール安全と言い切るのは、現時点で研究段階であるため難しいですが、フランスでは食品に触れる可能性のある調理器具の製造は禁止されています。アライナーの特徴として弾性や耐久性に優れており、着色耐性もあります。

特殊な形のアライナーがある?

口呼吸や指しゃぶり等の口腔習癖は、歯並びや顎の位置を悪化させます。スマーティーには、それらの習癖を改善させるような特殊なアライナーがあります。

顎の位置を整えるアライナーがある?

下顎は上顎との間に2~3mm程度の隙間がある状態が正常で、その状態は顎関節に負担を掛けません。口周りの筋肉もリラックスしていて、下顎安静位と呼びます。例えばSmarteeGSという装置は、下顎の位置を誘導する下顎整位をし、歯並びを改善するアライナーです。下顎の位置が悪いと動脈や神経を圧迫して頭痛の原因になっていることもありますが、下顎を正しい位置に導ければそのような症状から解放されることがあります。

どんな包装で来る?

Smarteeはディズニー社と提携しています。外箱のデザインのみではなく、アライナーが入っているケースもデザインがあります。成人であればミッキーマウスかアイアンマン、子供であればスパイダーマンかアナと雪の女王です。モチベーションの維持に一役買うかもしれません。

インビザラインとスマーティーの違い

透明で見えにくいメタルフリーな装置であるマウスピース矯正は、インビザラインとスマーティーですが、インビザラインとスマーティーの違いがいまいち見えてこないという方もおられるかもしれません。

治療の考え方で違いが見える?

小児矯正を例に挙げて違いを考えてみましょう。インビザラインは子供向けの矯正としてインビザラインファースト、スマーティーは10歳以下であればSmartee Kinderがあります。

インビザラインファースト

永久歯が並ぶためのスペース作り、永久歯の歯並びを改善することを考えています。インビザライン・ファーストは、奥歯の6歳臼歯と前歯の永久歯が生えた7〜11歳頃の混合歯列期の子どもが対象です。主な目的として、すべての永久歯が無理なく生えるためのスペースを確保することにあります。世界的に豊富な治療実績を誇ることが大きな違いです。

Smartee Kinder・Smartee Teen

体の成長とともに歯並びを矯正し、舌や呼吸も含めた全身的な調和を目指す考えがあります。スマーティーは、歯並びのみでなく顎の位置まで考慮した設計により、全体的な噛み合わせの改善を図れるのが特徴です。また、乳歯や混合歯列期の子どもに、口呼吸や指しゃぶりなどの口腔習癖を改善するアライナー設計があるというのが他のメーカーにはない点です。子供の健やかな口腔発達をサポートできます。

コーカソイドであるヨーロッパの人より、顎が狭く、歯の重なりが多い不正咬合が多いのがモンゴロイドである日本人の歯並びの特徴です。スマーティーはアジア人向けとも考えられます。

マウスピース矯正の注意点

インビザラインもスマーティーも装着時間を指示より短く行ってしまうと、歯の動きが当初の予測と異なり、交換もうまく進みません。歯磨きや食事を除き、ほぼ装着しておくという状態が好ましいです。スマーティー矯正はまだ日本での取り扱い医院が少なく、治療実績がインビザラインと比べて少ないことがデメリットではあります。ただし、インビザラインよりも比較的治療費が抑えられること、AI技術と3Dデジタル解析を融合しているメリットなどを考えて、気になる場合は医院で尋ねてみてはいかがでしょうか。

スマーティー矯正(Smartee)に関連するQ&A

スマーティー矯正とはどのような矯正方法ですか?

スマーティー矯正は、透明なマウスピース(アライナー)を使い、歯型の3DスキャンデータをもとにAI技術で治療計画を立てるカスタムメイド型の矯正システムです。患者自身が定期的にマウスピースを交換しながら歯並びを整えます。

スマーティー矯正のメリットは何ですか?

目立ちにくい透明素材で作られており、取り外しが可能なので食事や歯磨きがしやすいです。また、金属アレルギーの心配が少なく、従来のワイヤー矯正よりも痛みや違和感が少ないのが特徴です。さらに、通院頻度が比較的少なく済みます。

スマーティー矯正のデメリットや注意点は?

1日20~22時間以上の装着が必要で、自己管理が重要です。装着時間が短いと治療効果が下がる場合があります。また、症例によってはワイヤー矯正との併用や他の治療が必要な場合もあり、日本国内での実績はまだ少なめです。

インビザライン矯正との違いは何ですか?

インビザラインは世界的に症例数が多く、治療計画の予測性が高いのが特徴です。スマーティーはアジア人の歯並びや顎の特徴に配慮した設計や、口呼吸や指しゃぶりなどの口腔習癖を改善する特殊なアライナーも用意されている点が異なります

どのような人にスマーティー矯正はおすすめですか?

目立たない矯正を希望する方、短期間で治療を終えたい方、通院回数を減らしたい方、成長期の子どもや顎の位置も含めて全体的な噛み合わせを改善したい方におすすめです。

まとめ

歯並びを整えるために抜歯をしなければならないと言われた場合、顎の位置を整えるという選択肢があることをぜひ知っていただきたいと考えています。顎の位置を正しく調整することができれば、抜歯を回避できる可能性があるのみでなく、偏頭痛や肩こりなどの症状が和らぐ可能性があり、全身の健康にも良い影響を与えることがあります。さらに、咀嚼機能の向上や姿勢の改善にもつながり、生活の質(QOL)の向上にも寄与します。Smarteeや、インビザラインなどマウスピース矯正が気になる場合は、一度当院へご相談ください。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。歯科医師免許取得後、医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

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