
子供が寝るときの姿勢は歯並びに影響を与えることがあり、特に「うつぶせ寝」は、顔や顎に余分な圧力がかかるため、不正咬合や噛み合わせのズレの原因になることがあります。うつぶせ寝が歯並びに与える影響や、不正咬合を防ぐための対策についてご説明します。
目次
子供のうつぶせ寝が歯並びに与える影響とは?
子供の成長過程において、睡眠時の姿勢が歯並びに影響を及ぼすことがあります。特に「うつぶせ寝」は、顔や顎に不自然な圧力がかかることで、歯並びに悪影響を及ぼす可能性が高いとされています。
うつぶせ寝で考えられる影響
・顎や顔面に余分な圧力がかかる
・歯の位置がずれる
・噛み合わせ(咬合)が悪くなる
・「出っ歯」や「受け口」などの不正咬合のリスクが高まる
成長期の子供の骨はまだ柔らかく、外からの力の影響を受けやすいものです。そのため、長時間のうつぶせ寝が続くと歯並びや顎の発育に悪影響を及ぼす可能性があります。
なぜうつぶせ寝が不正咬合の原因になるの?
うつぶせ寝が不正咬合を引き起こす背景には、いくつかの生理的な要因や習慣の影響が考えられます。特に成長期の子供の顎や顔の骨は柔軟で、わずかな外力でも形や位置に変化が生じやすいということがあります。以下にそのメカニズムをご説明します。
1. 顔や顎への圧力の偏り
うつぶせ寝の姿勢では、顔が枕や布団に直接押し付けられ、特に片側の頬や顎に偏った圧力がかかることがあります。この圧力が持続すると、上下の歯列や顎の成長に次のような影響を及ぼします。
顎の位置のズレ
顎の骨は左右均等に発達することが理想ですが、圧力が片側に偏るとうまく発育せず、顔のバランスが崩れることがあります。
歯の移動
圧力によって歯が押され、歯列が前後左右にズレる可能性があります。結果として出っ歯や受け口などの不正咬合につながります。
2. 顎の成長の妨げ
子供の顎は成長過程で柔らかく、適切な刺激を受けながら発育します。しかし、うつぶせ寝では圧力が不自然にかかり、顎の正常な発育が妨げられることがあります。
下顎が前に出る → 受け口の原因になる
左右非対称になる → 顔の歪みが出る
顎の後退や前突
顎が前方や後方に偏って成長し、噛み合わせの不均衡が生じます。特に下顎が後退すると出っ歯、前方に成長すると受け口の原因になります。
顎の左右非対称
片側に長時間圧力が加わると、左右の顎の成長がアンバランスになり、顔が非対称に見えることがあります。これが歯並びの乱れを助長する要因となります。
3. 舌の位置と機能の影響
通常、舌は上顎に軽く触れている状態が自然です。しかし、うつぶせ寝の姿勢では舌が下方や前方に押し出されやすくなり、舌の正常な機能が妨げられることがあります。
口呼吸の習慣がつき、歯並びに悪影響を及ぼす
舌の位置が不安定になると
舌の圧力が上下の歯列を均等に支えられなくなり、歯が前方に傾いたり、開咬(上下の歯が閉じない状態)を引き起こす可能性があります。
口呼吸との関連
うつぶせ寝が習慣化すると、呼吸がしづらくなり口呼吸になることがあります。口呼吸は口腔内を乾燥させるだけでなく、舌の位置が下がることで歯並びの乱れにつながります。
4. 長時間の悪姿勢が成長に与える影響
子供の体は睡眠中に成長ホルモンが分泌され、骨や筋肉が発育します。しかし、うつぶせ寝で顔や体に圧力がかかると、次のような影響が出やすくなります。
首や顎の筋肉の緊張
顔を横向きにして寝ることで首の筋肉が緊張し、顎の関節にも不自然な負担がかかります。これが原因で噛み合わせに影響を与えることがあります。
背骨や姿勢への影響
睡眠時の姿勢は全身の骨格に影響します。うつぶせ寝が続くと首や背骨に歪みが生じ、顎や顔の成長にも悪影響を及ぼします。
5. 習慣化するリスク
うつぶせ寝が習慣になると、日常生活にも影響を与える可能性があります。
- 長期間続くことで、顎のズレや歯列不正が固定化される
- 姿勢や噛み合わせが乱れ、食事や発音にも支障が出ることがある
こうした問題を防ぐためにも、睡眠時の姿勢の見直しが非常に重要です。
子供の顎の成長と姿勢の関係性
子供の顎や顔の骨の成長は、姿勢や生活習慣と密接に関係しています。
成長期の顎の特徴
・顎の骨は成長途中で柔軟性が高い
・外部からの圧力や舌の位置、呼吸方法の影響を受けやすい
不適切な姿勢が与える影響
・うつぶせ寝だけでなく、頬杖をつく、口呼吸、指しゃぶりなどの癖も影響します。
・頭部が前方に傾くことで顎のバランスが崩れ、歯並びの乱れにつながることがあります。
子供の成長期には、顎や顔の骨が少しずつ発育していくため、不自然な力がかかる習慣は避けるべきです。
歯並びに影響する他の癖や生活習慣
うつぶせ寝以外にも、子供の歯並びに影響を与える生活習慣や癖があります。
- 指しゃぶり・・長期間の指しゃぶりは、前歯が押し出される「出っ歯」の原因になります。
- 口呼吸・・口呼吸は舌の位置が下がり、歯並びや顎の発育に悪影響を与えます。
- 頬杖や片側噛み・・頬杖や片側での噛み癖は顔のバランスを崩し、不正咬合を引き起こすことがあります。
- 舌癖(ぜつへき)・・舌で歯を押す癖があると、歯が前方や外側に移動してしまうことがあります。
これらの癖を早期に改善することで、歯並びの問題を予防することが可能です。
歯並びの問題を予防するための対策

では、歯並びへの悪影響を防ぐために、どのような対策をすればよいのでしょうか?
子供の歯並びを守るためには、以下のような対策が効果的です。
1. 正しい睡眠姿勢を身につける
仰向け寝は、顎や顔に過剰な圧力をかけず、歯並びを守るために最も適した寝姿勢です。
仰向けが難しい場合は、横向き寝も検討してみましょう。ただし、片側ばかりで寝ると顎のバランスが崩れる可能性があるため、左右交互に寝るのがおすすめです。
2. 悪い癖を早めに改善する
うつぶせ寝以外にも、以下のような癖が歯並びに影響を与えることがあります。
口呼吸 → 舌の位置がズレ、歯並びが乱れやすい
頬杖 → 顎の左右のバランスを崩す原因に
片側だけで噛む → 顎の非対称な発達につながる
これらの癖に気づいたら、少しずつ改善していくことが大切ですね。
3. 定期的な歯科健診を受ける
「うちの子の歯並び、大丈夫かな?」と気になったら、歯科医院でチェックしてもらいましょう。
必要なら小児矯正を検討できる
生活習慣のアドバイスを受けられる
歯並びの乱れは成長とともに進行することが多いため、早めの対策が肝心です。
歯科医による健診の活用
定期的に歯科での健診を受け、歯並びの状態を確認してもらうことが大切です。早期の問題発見が歯並びの乱れを防ぎます。
子供の歯並びが気になる場合の対応方法
子供の歯並びに問題が見られる場合、早期に歯科医の診断を受けることが重要です。
小児矯正治療
小児期には顎の成長をコントロールする矯正治療が可能です。早めの治療で効率的に改善できます。
歯科医院での相談
歯科医院では、うつぶせ寝やその他の癖についてもアドバイスを受けることができます。親御さんが気をつけるポイントも学ぶことができます。
まとめ
うつぶせ寝は、顔や顎への圧力、舌の機能低下、成長過程の骨の歪みなどが複合的に作用し、歯並びの乱れや不正咬合の原因になる可能性があります。
うつぶせ寝以外の癖(指しゃぶり・口呼吸)にも注意する
歯科健診を定期的に受ける
成長期の子供の歯並びを守るためには、正しい睡眠姿勢(仰向け寝)を心がけ、日頃から姿勢や癖を注意深く見守ることが大切です。
- うつぶせ寝は不正咬合の原因になる
- 正しい睡眠姿勢は仰向け寝が最適
- 歯並びが気になる場合は早めに歯科医に相談する