小児矯正

親が受け口の場合、子どもに遺伝しますか?

お父さんかお母さんが受け口の場合、子どもに遺伝しますか?

ご両親のどちらかが受け口の場合、その骨格は子供に遺伝してしまうのでしょうか。気になる受け口の遺伝についてご説明します。

受け口の遺伝について

ご両親は共に受け口ではないのに、お子さんが骨格が原因の受け口になる場合があります。その場合はご親戚の中に受け口の方がおられることが多いです。

受け口を遺伝させない方法があれば良いのですが、今のところ受け口を遺伝させない方法というのはありません。ただ、ご両親や親戚の方の受け口が必ずお子さんに遺伝するというわけでもないので、実際にお子さんの顎や歯がどうなっているのかを観察することが大切です。

実際に遺伝によって受け口の傾向が見受けられるお子さんは、何も対策をしない場合はしゃくれた感じの輪郭に成長してしまいますので、顎の発達を進行させない為の処置を行わなければなりません。

顎の発達を抑えるためにはチンキャップと呼ばれる器具を装着するなどの治療を、お子さんの成長が終わる頃まで続ける必要があります。

ご親戚の中に受け口の方がおられない場合は、遺伝以外の原因で受け口(反対咬合)が起こっていると考えられます。

受け口(反対咬合)とはこんな状態

子供の反対咬合

正常なかみ合わせでは、上の前歯が下の前歯に少し被さっているのですが、受け口の方は上の前歯と下の前歯が逆になってしまって、下の前歯が上の前歯に被さっています。

受け口の場合、歯並びの不正咬合だけでなく、下顎が大きく発達して前に出ていたり、顎に特徴のある顔立ちを伴うことも多いです。そのため、親御さんはとても気にされて矯正相談に来られます。

受け口(反対咬合)の種類

受け口の患者さんには上顎が小さいタイプと下顎が大きいタイプ、そして両方を伴うタイプがあります。受け口は遺伝によるものが多いのですが、受け口の原因には2種類あります。

  1. 骨格が原因の場合
  2. 歯に原因がある場合

1.の骨格が原因の受け口の大部分は遺伝によって起こっており、自然治癒は難しいです。ご家族に受け口の方がおられ、骨格が原因と考えられる場合は、お子さんが成長して顎の骨が完全に出来てしまうまで放っておくと、どんどん下顎の骨が成長する可能性があります。

そのため、お子さんが遺伝的に骨格が原因の受け口になることが懸念される場合は、なるべく3才位までに一度矯正歯科にご相談ください。小さいうちに反対咬合を治し、下顎の発育を抑制させるような治療をすると、成長期に下あごが大きく発達することを避けられます。

2.の歯に原因がある場合は、舌で下の前歯を押す癖があったり、舌の位置が悪く、口呼吸をしていて顎が正常に発達していない場合に、反対咬合になることがあります。

 

遺伝以外で受け口になる原因は?

遺伝以外で受け口になる原因は生活習慣によるものが多く、悪い癖を治すことが必要です。

舌癖

まず考えられるのは、舌の動きに問題があるということです。舌で前歯を押す癖があると、上の前歯を押した場合は出っ歯に、下の前歯を押した場合は受け口になってしまいます。

口呼吸

口呼吸のお子さんはいつもお口が開いている状態なので口の中が乾燥して虫歯になりやすくなります。更に、口呼吸のお子さんは舌の位置が下がっていることが多く、下顎を前に押す形となり、受け口になりやすいです。

また、鼻炎などのアレルギー症状で鼻が詰まっているため口呼吸になっているお子さんも、受け口になるリスクがあります。

爪を噛む癖

爪を噛み続けると、前歯の先端がすり減ってしまうことがあります。前歯で噛むことが原因で受け口になることもあります。

唇を噛む癖

上唇を噛む癖がある場合は受け口に、下唇を噛む癖があると出っ歯になりやすいです。

以上のような日常のちょっとした癖が、歯と顎の成長を阻害したり、逆に過成長させてしまうことがあり、歯と顎の成長には非常に大きな影響を与えます。歯並びを悪くするような癖は出来るだけ気をつけてなおすようにしましょう。

お子さんの顎の発育のコントロールに使用する装置

子供の受け口治療に使用される主な装置は、チンキャップとムーシールドです。遺伝による受け口のお子さんにはチンキャップが使われます。

チンキャップ

チンキャップ

チンキャップは、遺伝による受け口の傾向がみられるお子さんの、下顎の成長を抑制させるための装置です。受け口の原因が下顎の過成長によるものである場合に使用します。

チンキャップをつけると、ゴムバンドによって下顎に力がかかって成長を抑制し、下顎が成長することで受け口が更に進行することを防ぎます。9~15歳くらいの成長期のお子さんに使用され、1日に12時間程度装着することが推奨されます。

 

ムーシールド

ムーシールド

ムーシールドは夜間に装着するマウスピースで、舌の位置などの筋肉のバランスが悪いために受け口になってしまった場合に使用します。Sサイズは3~5歳くらいの乳歯列のお子さんの早期受け口治療に使用することが出来、Mサイズは6歳~11歳くらいの第一大臼歯萌出期以降のお子さんに使用します。

ムーシールドには舌を正しい位置に導くための舌レストがあり、就寝時にそこに舌を入れることで舌圧と口唇圧のバランスを保るように舌の訓練を行います。

大人の受け口治療

同じ受け口の治療であっても、お子さんの場合は骨格的な改善を目標として治療を行いますが、大人の患者さんは骨格の発育はすでに終わっているため、歯を移動させて反対咬合を治すか、外科手術で顎の骨を切って形を整えるかという二つの選択肢になります。

歯を移動させて受け口を治療する

大人の方が矯正装置を付けて歯を動かすことで受け口を治す場合、ワイヤー矯正、裏側矯正、マウスピース矯正の3つの装置から選びます。

外科手術で受け口を治療する

歯を移動させて反対咬合を治すことは可能ですが、顎の形までは変えられないため、必ずしも患者さんの満足のいく治療結果になるわけではありません。骨格を大きく変えたい場合は、当院ではセットバックという外科手術を行っています。

親が受け口の場合の子どもへの遺伝に関するQ&A

Q

遺伝による受け口を防ぐ方法はありますか?

A

現時点では遺伝による受け口を完全に防ぐ方法は存在しません。しかし、治療や予防策を通じて受け口の進行を抑制することは可能です。

Q

受け口の治療は子供の成長期に必要ですか?適切な治療時期はいつですか?

A

受け口の治療は子供の成長期に行うことが一般的です。特に3歳までに治療を始めることが望ましいです。早期に治療を行うと、下顎の過度な成長を防ぎ、より効果的な治療が可能です。

Q

大人の受け口治療は可能ですか?

A

大人の受け口治療は可能ですが、子供とは異なるアプローチが必要です。軽度の受け口は歯を移動させる矯正治療で改善しますが、下顎の過成長が原因の場合は外科矯正が必要になります。

まとめ

受け口(下顎前突)は遺伝しやすい不正咬合で、受け口以外にも、出っ歯(上顎前突)や叢生(ガタガタ、八重歯)も遺伝することがあります。遺伝による不正咬合の傾向がみられたら、まず矯正歯科に相談しましょう。受け口の場合は3歳くらいまでの相談をおすすめします。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

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