歯科矯正全般

矯正の痛みを和らげる方法

矯正の痛みを和らげる4つの方法

大阪矯正歯科グループ 歯科医師 松本 正洋

矯正治療を開始された直後の患者さんにとって、痛みはかなり気になる問題だと思います。歯が動く際の痛みを少しでも和らげる方法があれば、多くの方が知りたいのではないでしょうか。痛みの感じ方には個人差がありますが、今日は「矯正の痛みを和らげる方法」についてご紹介します。

矯正治療中の痛みを和らげる方法

1.痛み止めの薬

ロキソニンSプラス

まず第一に挙げられるのは、お薬を服用して痛みを和らげる方法です。治療中の歯科医院で処方してもらえると思います。お手元に痛み止めの薬がない時は、ドラッグストアで購入できる市販薬の鎮痛薬を服用することで痛みは和らぎます。

しかし痛み止めを多用したり、長期にわたって飲み続けるのは出来るだけ避けたいものです。また、痛み止めを服用すると歯が動きにくくなりますので、治療期間がやや長くなるかもしれません。

2.お湯を口に含む

お茶を飲む

表側からのワイヤー矯正、裏側・舌側矯正(インコグニト)の患者さん限定の痛みを和らげる方法として、口腔内にお湯を含むという方法があります。ワイヤーの特徴上、お湯をお口に入れると、その温度によって締め付ける力が弱まります。つまり、歯にかかる力が軽減されますので、少し痛みが和らぎます。

ただし、インビザラインなどの取り外し可能なマウスピース型装置をご使用の方には、この方法はおすすめできません。マウスピースは透明なプラスチック製で40度以上のお湯によって変形してしまうデメリットに繋がります。変形すると、歯にはまらなくなってしまったり、マウスピースの破損でお口の中を傷つけるトラブルになりますので、ご注意ください。

https://www.osaka-kyousei.com/column/1181.html

3.矯正用のワックスで装置を覆う

こちらもワイヤー矯正の患者さんのケース限定となりますが、矯正用のワックスを利用するのも一つの方法です。装置に塗布して覆う事が出来るので、痛みを和らげることが可能です。矯正用ワックス、もしくはリリーフワックス、歯科用粘膜保護剤と呼びます。

形状も、ちぎって使うワックスタイプや、時間が経過すると固まるシリコンタイプなどさまざまなメーカーから発売されております。歯科医院によって取り扱いは異なりますので、担当医に相談をすると、紹介してくれると思います。綺麗に洗った手でちぎり、ブラケットの周りの水分を取り、カバーしたい箇所の上にワックスを軽く押します。

ワックスを使う事により、ブラケットが口内に当たっておこる口内炎などはカバーすることができますので、粘膜や舌の保護が可能です。

4.歯医者でマウスピースの縁を滑らかにしてもらう

マウスピース矯正の患者さんで、マウスピースにバリが残っており、頬や歯茎の粘膜に当たり擦れて痛い場合があります。その場合の対処は、歯科医院に連絡してマウスピースの縁を削って滑らかにして貰うということです。

患者さんご自身でやすりを使ってマウスピースの当たる部分を削り取る方がおられますが、これはお勧めできません。歯科医院でやって貰った方が安全です。

矯正治療中の痛みの種類

1.歯が動く時の痛み

歯が動くしくみ
歯が動く仕組み 出典:日本成人矯正歯科学会

装置やワイヤーの調整の時に起こりやすい痛みで、歯が移動する時に力が加わると、歯の周囲の神経や血管が圧迫されて痛みが起こります。

特に理想的な歯列からずれたり飛び出している歯は動かすための力がかかりますので、他の歯に比べて痛みを強く感じやすいです。ワイヤー矯正ではワイヤーをつけかえた時、マウスピース矯正では新しいアライナーをつけ始めた時に痛みが出やすいです。

痛みが出るということは、歯が治療計画通り正常に動いていることを示していますので、患者さんのどなたにも起こり得ることですが、痛みがある間は仕事や勉強に集中しにくくなりますし、食事も億劫になりがちだと思います。

治療が進んでいくに従って、このような痛みは軽減していきます。治療の最後の方では殆ど気にならない程度になりますので、ご安心下さい。

2.装置が当たる痛み

インビザラインとワイヤー矯正

ワイヤー矯正のブラケットやマウスピース型装置が歯ぐきや頬の内側に当たって刺激され、痛みを起こす時があります。口内炎になると、それが治るまでの間は常に痛みますので、ひどくなる前に早く対策をとらなくてはいけません。

矯正の痛みを和らげる方法に関するQ&A

Q

矯正治療中の痛みを和らげるためにはどんな方法がありますか?

A

矯正治療中の痛みを和らげる方法の一つは、痛み止めの薬を使用することです。歯科医院で処方される痛み止め以外に市販の鎮痛薬も利用できます。ただし、長期的な使用は避けた方が良いです。

Q

ワイヤー矯正の装置が当たって痛い場合の対処方法を教えてください

A

ワイヤー矯正の場合に、装置がお口の中に当たって痛みが出ることがあります。矯正用のワックスで装置を覆うことで、ブラケットが口内炎を引き起こすのを防ぐことができます。ワックスの使い方は歯科医院で指導してもらいましょう。

Q

マウスピースの縁がギザギザで痛みが出ている時の対処法は?

A

マウスピースの縁がギザギザで痛い時の対処法は、歯科医院でマウスピースの縁を滑らかに研磨してもらうことです。マウスピースにバリが残っている場合、頬や歯茎の粘膜に当たり擦れて痛みを引き起こすことがあります。患者さんが自分で削るのではなく、歯科医院で適切に縁を削ってもらうことが安全です。

まとめ

歯のキャラクター

今回は「矯正の痛みを和らげる4つの方法」についてご説明しました。装置を装着し始めて2週間くらいは、痛みに慣れず困る方もおられるかもしれません。次の装置交換や調整が嫌だなと思われると思います。

ただ、人間は痛みには慣れていきます。最初の装着時にはずっと痛みを伴っていたのに、次の交換時には3日で済み、その次には交換をした日のみ痛いという経験をされる患者さんも多いです。もちろん、どうしても痛い場合は必ずクリニックのスタッフか歯科医師にご相談ください。綺麗な歯列、正常な噛み合わせを目指して、矯正治療を乗り越えていきましょう。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

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