ワイヤー矯正

手術なしのガミースマイルの治し方とは

手術なし、ガミースマイルの治し方とは

ガミースマイルは手術による処置が多く見受けられますが、今日は、ガミースマイルの手術なしの治療方法についてご紹介します。

手術なし。矯正治療でのガミースマイルの治し方

手術なしのガミースマイルの治し方についてご説明します。下記の原因と程度に応じて、手術なしでのガミースマイル治療が可能になる場合があります。

歯の位置が下、または前方に出ているガミースマイルのケース

この場合においては、ブラケットとワイヤーを歯に装着する歯列矯正を行います。歯の位置を上げるという事が通常のワイヤー矯正のみでは難しいため、アンカースクリューを歯茎に埋め込み、スクリューを動力源にして、スクリューの頭とワイヤーをゴムでかけて引っ張ることで、歯を正しい位置に戻します。

矯正用のインプラントは、治療終了とともに抜きます。スクリューの穴は、すぐに自然に塞がります。リテーナーを装着する際に鏡でご覧になっても、穴は小さくてわかりにくく、目立たないのでご安心ください。

この治療法における大きなメリットは手術をしないという事です。デメリットは矯正治療なので治療期間の約2年程時間がかかる事と、表側からの矯正を長く行うので、審美的な問題があるということです。ただ、セラミックのブラケットとホワイトワイヤーを使えばあまり目立たなく出来ます。

ドクターが歯列の動きをチェックしていくので、おおよそ約1ヶ月位で来院していただき、ワイヤー交換を行います。その後は、矯正装置は外れ、保定装置(リテーナー)をつけて歯や骨の状態を定着させる保定期間に入ります。

ガミースマイルとは

ガミースマイルとは笑った際に、歯茎の露出がとても目立つ口元の状態を指します。歯肉を英語でgum、それの形容詞をgummyと言いますので、「gummy smile」と呼ばれます。

笑うと歯茎が大きく見えてしまうことがコンプレックスになって、写真で写る際に口元を手で覆ってしまったり、周囲の人と接する際に笑うのはつらいという方もおられます。

ガミースマイルの原因とは?

ガミースマイルになる原因は、おおよそ4つあると考えられます。

1. 上唇が上がりすぎてしまっている

上唇頬筋と呼ばれる上唇と小鼻を引き上げる唇の上の筋肉が強い場合、人より過度に歯茎が見えてしまいます。

2. 上顎が大きい、または下顎が小さい

顎の骨の成長不足や、親からの遺伝、食生活や口呼吸によるものなどが考えられます。まだ小学生くらいのお子様でお悩みの場合は、しっかり噛む事や、口を閉じる習慣をつけることで、後々改善する可能性があります。

3. 歯の長さが通常より短い

歯冠と呼ばれる歯の面積が小さいもの、矮小歯(わいしょうし)は、親からの遺伝や、ビタミンDの不足が一因とも言われています。

4. 歯の位置が通常より下にあり、前方(出っ歯)に出ている

幼少期に指しゃぶりを行っていたり、下唇を噛んだり、舌で前歯を押すなどの悪癖、態癖により上の前歯が出っ歯になると考えられます。

外科手術でのガミースマイルの治し方

外科手術を伴うガミースマイルの効果的な治し方について原因ごとにご説明します。

上唇の上がりすぎによるガミースマイルのケース

この場合は、診療で上唇粘膜切除術や、ボトックス注射を行うことで解決します。外科手術で上唇を上がらないようにするのが上唇粘膜切除術、ボツリヌストキシンを注射針で注入することにより、上唇を上がりにくくし、唇を通常のラインに保つのがボトックス注射です。

上顎が大きい、下顎が小さいなどによるガミースマイルのケース

上顎が大きく、永久歯がまだ生えそろっていない混合歯列の子供の場合は、下顎の成長を促し、自然な見た目になるようにコントロールしていきます。大人の場合は、軽度、中度、重度の症状にもよりますが、軽度ならば矯正治療、中度ならば奥歯の抜歯を伴う矯正治療、重度ならば外科手術を行います。

下顎が小さい子供の場合は、急速拡大装置を使い、下顎を大きくすることを行います。大人の場合はアンカースクリューを併用した矯正治療法か、外科手術を適用します。

歯の長さが通常より短い事によるガミースマイルのケース

これは、小児矯正で大きくすることができません。大人になり軽度の場合は、レーザーなどで歯肉切除を行う歯肉切除術、それ以外の方は、歯槽骨の整形を行う歯冠長延長術という外科手術対応となります。

上記、3つの原因のガミースマイルのケースでは、いずれも重度の場合は外科手術を行なう必要があります。もともと基礎疾患をお持ちの方は、担当医の許諾が必要な場合もあります。

外科手術による治療は矯正治療と比べて短期間で整えることが出来るというメリットがあります。術後のリスクや、手術当日以外のダウンタイムなどのデメリットもよく知った上で受けるようにしましょう。

手術なし、ガミースマイルの治し方に関するQ&A

Q

ガミースマイルとはどういう不正咬合ですか?

A

ガミースマイルとは、笑った際に歯茎の露出が目立つ口元の症状を指します。歯肉を英語でgum、それの形容詞をgummyと言いますので、「gummy smile」と呼ばれます。

Q

上唇の上がりすぎによるガミースマイルの治療方法は?

A

上唇の上がりすぎによるガミースマイルの治療方法として、上唇粘膜切除術やボトックス注射が行われます。手術で上唇を上がらないようにする上唇粘膜切除術や、ボトックス注射で上唇を上がりにくくし、通常のラインに保ちます。

Q

上顎が大きく下顎が小さい場合のガミースマイル治療方法は?

A

上顎が大きく下顎が小さい場合、子供の場合は下顎の成長を促すための治療や矯正治療が行われます。大人の場合は軽度、中度、重度に応じて矯正治療、奥歯の抜歯を伴う矯正治療、外科手術が適用されます。

まとめ

歯のキャラクター

今回は「手術なし、ガミースマイルの治し方」についてご紹介しました。ガミースマイルの方は、噛み合わせにトラブルを抱えていらっしゃる方や、顎の骨格全体に処置が必要な方もおられます。

その場合は、大学病院での診療と処置になります。保険診療となるケースもありますので、詳しくは大学病院へご相談ください。

手術を行わないガミースマイル(歯肉が多く見える笑顔)の治療方法として、非侵襲的な選択肢がいくつか存在します。特に、ボトックス(ボツリヌス毒素)注射やデルマルフィラー(皮膚充填剤)が効果的であり、患者の自信と満足度を大きく向上させることができます。これらの治療法は、ガミースマイルの原因や患者の美容目標に応じて選択されます。

1. ボトックス注射による治療は、ガミースマイルの原因が上唇の筋肉の過剰な活動である場合に特に効果的です。ボトックスは筋肉の動きを一時的に弱めることで、笑ったときの歯肉の露出を減少させます。この方法は、患者にとって非侵襲的であり、ダウンタイムがほとんどまたは全くないため、人気があります。【Jemma Gewargis, 2022

2. デルマルフィラーを使用した治療も、ガミースマイルの非外科的な治療オプションとして有効です。フィラーは、上唇と歯肉の間に注入され、笑ったときの歯肉の露出を減らすために上唇の位置を調整します。この治療は、即効性があり、比較的簡単に施術できるため、患者にとって魅力的な選択肢となります。【R. K. N. Siyo et al., 2019

これらの治療法は、ガミースマイルに対する効果的かつ非侵襲的な選択肢を提供し、患者の笑顔の美しさを改善することができます。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

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