歯並びの矯正にインビザラインを選択される患者さんが多くなってきました。矯正中にたまに虫歯になることがありますが、インビザラインの虫歯リスクはどの程度でしょうか。インビザラインで虫歯にならないようにするための方法についてもご説明します。
目次
なぜインビザラインが虫歯リスクを高めるのか
インビザライン治療中は虫歯になりやすいというリスクがあります。その主な理由は、マウスピースを付けることで歯の表面の湿度と温度が変化し、虫歯菌が繁殖しやすい環境を作り出してしまうからです。
また、食事後に十分に歯磨きをせずにマウスピースを装着することで、食べかすが歯とマウスピースの間に閉じ込められ、虫歯の原因となることもあります。マウスピースがきれいに洗えていない場合も同様です。
マウスピースと歯が密着すると虫歯菌が発生しやすくなる
インビザラインのアライナーを装着すると、アライナーがピッタリと歯と歯茎を覆う形になります。それによってマウスピース内の湿度が高くなり、虫歯菌が繁殖しやすい環境になります。
特に、食事後に歯磨きをせずにマウスピースを装着すると、食べ物のカスや糖分が歯の表面に付いたままになり、虫歯菌の養分になってしまいます。
マウスピースを長時間着けると歯に歯垢がたまりやすくなる
マウスピースを使用していると、外出時などで歯磨きが難しくなる場合があります。マウスピースを長時間装着していると、唾液の流れが阻害され、歯やお口の中の自然な洗浄作用が弱まることがあります。そのため歯垢が蓄積しやすくなり、虫歯や歯肉炎のリスクが高まります。
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インビザライン矯正治療中の虫歯の主な原因
インビザラインでの矯正治療中に虫歯になる原因は、主に以下のようなものです。
1. オーラルケアの不足
インビザラインのアライナーは取り外しが可能ですが、食事の後やアライナーを装着する前に十分な歯磨きが行わないと、食べ物のカスや歯垢が歯の表面に残ります。これが虫歯の直接的な原因になります。
2. アライナーの長時間装着
インビザラインは1日に22時間以上の装着が推奨されています。アライナーを長時間装着することで、唾液の流れが阻害され、歯を保護する唾液の作用が低下します。これにより、アライナーの中が虫歯菌が繁殖しやすい環境になってしまうことがあります。
3. 食べ物のカスが残っている
インビザラインを装着したままでの飲食は推奨されていません。しかし、水以外の飲料や食べ物を摂取した後に歯磨きをせずにアライナーを装着すると、糖分や酸が歯の表面についたままになり、虫歯を引き起こす原因となります。
4. アライナーがきれいに洗われていない
インビザラインのアライナー自体をきれいに洗うことが出来ていない場合、マウスピース内に細菌が繁殖し、その細菌が歯に影響を与えることも虫歯のリスクを高めます。
5. 定期的な歯科健診
矯正治療中は定期的な歯科健診が必要ですが、これを怠ると早期の虫歯を見逃し、進行させてしまう可能性があります。歯科健診の際のクリーニングを受けると、歯から歯垢や歯石を除去し、虫歯や歯周病の予防に繋がります。
インビザライン治療中の虫歯予防策
アライナーを清潔に保つ
- マウスピースは毎日清潔に保つ必要があります。使用前後には必ず水で洗い、専用のクリーナーで定期的に除菌しましょう。
- 食事後は必ず歯磨きをしてからマウスピースを装着してください。小さなブラシを使って歯間や歯の隅々まで磨き、アライナーの汚れを全て洗い流すことが大切です。
食事と生活習慣の調整
- 糖分の摂取を控えめにし、酸性の飲食物の摂取も避けるようにしましょう。これらは虫歯の原因となる菌の活動を促進させます。
- 水分を多く摂ると、口内を清潔に保つことができます。特に、食事後は水を飲むことで、口内の食べ物のカスをきれいに洗い流しましょう。
定期的な歯科健診の重要性
- インビザライン治療中でも、定期的な歯科健診を欠かさずに行うことが重要です。健診時に歯科衛生士によるクリーニングを受けると、虫歯リスクを減らすことに繋がります。
インビザラインをつけたままで糖分の入っている物を飲んでいないか?
インビザラインはつけたままの飲食は基本的にアウトで、飲食はマウスピースを外して行います。その理由は3つあります。
- アライナーを装着したまま食べ物を噛むことによって、アライナーが変形してしまうから
- 食べ物、飲み物がアライナーの中に入り込んでしまって汚れや着色につながるから
- 食べ物がアライナーの中に入り込んで歯垢になり虫歯や歯周病の原因になるから
アライナーを付けたまま飲んでも良いのは「水だけ」だと思っておきましょう。インビザラインはワイヤー矯正と比べて虫歯になりにくいのですが、「飲み物」には注意が必要です。
マウスピースをつけたままで甘い糖分が含まれている飲み物を飲むと、アライナーと歯の間に飲み物が入り込んで虫歯になりやすくなります。ジュースやコーラだけでなく、スポーツ飲料にも糖分が多く含まれていますので気を付けましょう。
飲食をするときにはアライナーを外して歯磨きをして再装着する
間食したり甘い飲み物が飲みたいときは、マウスピースを外します。そして飲んだ後は歯みがきをして、マウスピースも軽く洗ってから歯に装着しましょう。
そうすればインビザラインでの矯正治療中に虫歯になるリスクをかなり下げることが出来ます。
虫歯の出来やすい箇所をチェックしてみよう
- 歯並びが悪く歯が重なっていてデコボコしている部分
- 歯と歯の間の隙間部分
- 生えかけの親知らずや親知らずの一番後ろの部分
- 以前虫歯治療をした歯の詰め物・被せ物の隙間
矯正治療中に虫歯の治療は出来る?
インビザラインの場合は最初に治療終了までの全てのマウスピースを作製するため、虫歯治療で詰め物や被せ物をして歯の形が少しでも変わると、マウスピースがぴったりはまらなくなってしまいます。
そのため、インビザラインの治療中に虫歯治療をするとしたら、小さな虫歯に限られます。その場合は虫歯を削った後にレジンと呼ばれる白いプラスチックを詰めて光を当てて固めます。
大きな虫歯になると歯を大きく削って被せ物をつける必要がありますので、矯正治療のためのアライナーを再度作り直さなければいけません。神経を取る治療が必要な場合も、今後の治療計画が大きく遅れる可能性がありますので、虫歯にならないように注意する必要があります。
インビザライン治療中の虫歯予防
矯正治療中の虫歯予防のために意識して頂きたい点をご説明します。
1. フッ素入りの歯磨き粉を使う
フッ素は歯の脱灰を抑制し、再石灰化を促進する効果があります。むし歯(虫歯)菌の活動を抑えるという作用もあるため、大人も子供も虫歯予防の為にはフッ素配合の歯磨き粉が欠かせません。
歯科医院で販売しているフッ素入り歯磨き粉は、ドラッグストア等で売られているものと比べるとフッ素の濃度が高いので、虫歯の予防効果も高くなっています。
*未就学児は歯みがき粉が甘いためになめてしまってフッ素の誤飲に繋がる可能性を考慮して、フッ素濃度1000ppm以下の歯磨き粉をお使いください
2. フロスや歯間ブラシを使う
歯ブラシでのセルフケアはきちんと磨いているつもりでも、実際にはお口の中の6割程度しかきれいになっていないといわれています。
そのため歯ブラシの補助道具として、デンタルフロスや歯間ブラシ、ワンタフトブラシを使って、歯と歯の間や、歯と歯茎の間など、歯ブラシの毛先が届きにくい部分を掃除しましょう。
3. こまめに水分を摂ってお口の中の乾燥を防ぐ
インビザラインを使っての矯正治療中は、1日に22時間以上もマウスピースをはめているためにお口の中が乾燥しやすくなっています。そのためこまめに水分を摂ることで唾液の分泌を促しましょう。
唾液には抗菌作用があり、食べかすを洗い流す働きがあります。唾液はマウスピースの中にも入り込みますので、積極的に水分補給をして唾液の分泌を促し、お口の中が乾燥しないような環境に整えましょう。
水分補給には水を摂取するのが一番です。糖分が入っていなくてもお茶やブラックコーヒーはアライナーや歯への色素沈着の原因となります。
4. キシリトール入りのガムを噛む
- 酸を作らず歯垢の中の酸を中和促進する
- ミュータンス菌の代謝を阻害する
- 口内の虫歯菌を減らす 唾液を出して再石灰化作用を行う
https://www.osaka-kyousei.com/column/2803.html
インビザラインの虫歯になりやすさに関するQ&A
インビザライン治療中、なぜ虫歯になりやすいのですか?
インビザライン治療中に虫歯リスクが高まる理由は、アライナーの装着時間と口内の乾燥に関係しています。アライナーは一日22時間以上装着する必要があり、これにより口内が乾燥しやすくなり、虫歯のリスクが増加します。
インビザライン治療中、虫歯予防にどのような注意点がありますか?
インビザライン治療中の虫歯予防には、フッ素入り歯磨き粉の使用、フロスや歯間ブラシの利用、口内の乾燥防止、キシリトール入りガムの噛むことなどが効果的です。これらの対策を実践することで虫歯リスクを軽減できます。
インビザラインをつけたままで飲食物を摂取することはできますか?
インビザラインをつけたままでの飲食は基本的に避けるべきです。食べ物や飲み物がアライナーの中に入り込んで汚れや着色を引き起こし、アライナーを変形させる可能性があるためです。唯一許容されるのは水のみです。
まとめ
インビザラインでの矯正治療ではアライナーをちゅじ間付けなければなりません。そのため口腔内が乾燥しやすくなって虫歯のリスクが高まります。矯正治療中に虫歯になると治療計画に影響を与える場合がありますので、なるべく虫歯にならないように普段のケアを気を付けて行うようにしましょう。