歯並びの矯正にインビザラインを選ぶ患者さんが多くなってきました。矯正中にたまに虫歯になることがありますが、インビザラインの虫歯リスクはどの程度でしょうか。インビザラインで虫歯にならないようにするための方法についてもご説明します。
目次
虫歯の出来やすい箇所をチェックしてみよう
- 歯並びが悪く歯が重なっていてデコボコしている部分
- 歯と歯の間の隙間部分
- 生えかけの親知らずや親知らずの一番後ろの部分
- 以前虫歯治療をした歯の詰め物・被せ物の隙間
インビザラインは虫歯になりやすい?
ワイヤー矯正では歯の表面(または歯の裏面)にブラケットと呼ばれる装置を接着して、それにワイヤーを通して歯を動かしていきます。ブラケットは凹凸があり、食べ物が挟まりやすく、器具やワイヤーが邪魔で歯磨きが大変しづらいです。
一方インビザライン矯正は、食事や歯磨きの時にはアライナー(マウスピース)の取り外しができるので、普通に歯を磨けるため、歯の隅々まで清掃が可能です。歯磨きのしやすさという点では、インビザラインは矯正器具をつけない通常の場合と比べても、虫歯のリスクが小さいといえます。
ただし、アライナーを1日22時間以上歯に付ける必要があるため、お口の中が乾燥しやすくなり、お口の中にいきわたらなくなりますので、その点では虫歯になるリスクが通常よりも高まります。
インビザラインをつけたままで糖分の入っている物を飲んでいないか?
インビザラインはつけたままの飲食は基本的にアウトで、飲食はアライナー(マウスピース)
を外して行っていただきます。
その理由は三つあります。
- アライナーを装着したまま食べ物を噛むことによって、アライナーが
変形してしまうから - 食べ物、飲み物がアライナーの中に入り込んでしまって汚れや着色につながるから
- 食べ物がアライナーの中に入り込んで歯垢になり虫歯や歯周病の原因になるから
アライナーを付けたまま飲んでも良いのは「水だけ」だと思っておきましょう。インビザラインはワイヤー矯正と比べて虫歯になりにくいのですが、「飲み物」には注意が必要です
アライナーとつけたままで甘い糖分が含まれている飲み物を飲むと、アライナーと歯の間に飲み物が入り込んで虫歯になりやすくなります。ジュースやコーラだけでなく、スポーツ飲料にも糖分が多く含まれていますので気を付けましょう。
飲食をするときにはアライナーを外して歯磨きをして再装着する
間食したり甘い飲み物が飲みたいときは、マウスピースを外します。そして飲んだ後は歯みがきをして、マウスピースも軽く洗ってから歯に装着しましょう。
そうすればインビザラインでの矯正治療中に虫歯になるリスクをかなり下げることが出来ます。
矯正治療中に虫歯の治療は出来る?
ワイヤー矯正の場合は矯正治療中に虫歯治療をしようとすると、一旦ワイヤーを外さなければならない為、矯正中の虫歯治療はあまり積極的に行わない歯科医師もいます。
インビザラインの場合は最初に治療終了までの全てのアライナーを作製するため、虫歯治療で詰め物や被せ物をして歯の形が少しでも変わると、アライナーがぴったりはまらなくなってしまいます。
そのため、インビザラインの治療中に虫歯治療をするとしたら、小さな虫歯に限られます。その場合は虫歯を削った後コンポレットレジンと呼ばれる白い樹脂を詰めて光を当てて固めます。
大きな虫歯になると歯を大きく削って被せ物をつける必要がありますので、矯正治療のためのアライナーを再度作り直さなければいけません。神経を取る治療が必要な場合も、今後の治療計画に影響を与えますので、虫歯にならないように注意する必要があります。
インビザライン治療中の虫歯予防
矯正治療中の虫歯予防のために意識して頂きたい点をご説明します。
1.フッ素入りの歯磨き粉を使う
フッ素は歯の脱灰を抑制し、再石灰化を促進する効果があります。むし歯(虫歯)菌の活動を抑えるという作用もあるため、大人も子供も虫歯予防の為にはフッ素配合の歯磨き粉が欠かせません。
歯科医院で販売しているフッ素入り歯磨き粉は、ドラッグストア等で売られているものと比べるとフッ素の濃度が高いので、虫歯の予防効果も高くなっています。
*未就学児は歯みがき粉が甘いためになめてしまってフッ素の誤飲に繋がる可能性を考慮して、フッ素濃度1000ppm以下の歯磨き粉をお使いください
2.フロスや歯間ブラシを使う
歯ブラシでのセルフケアはきちんと磨いているつもりでも、実際にはお口の中の6割程度しかきれいになっていないといわれています。
そのため歯ブラシの補助道具として、デンタルフロスや歯間ブラシ、ワンタフトブラシを使って、歯と歯の間や、歯と歯茎の間など、歯ブラシの毛先が届きにくい部分を掃除しましょう。
3.こまめに水分を摂ってお口の中の乾燥を防ぐ
インビザラインを使っての矯正治療中は、アライナーをはめているためにお口の中が乾燥しやすくなっています。
そのためこまめに水分を摂ることで唾液の分泌を促しましょう。唾液には抗菌作用があり、食べかすを洗い流す働きがありますので、積極的に水分補給をして唾液の分泌を促し、お口の中が乾燥しないような環境に整えましょう。
水分補給には水を摂取するのが一番です。糖分が入っていなくてもお茶やブラックコーヒーは
アライナーや歯への色素沈着の原因となります。
4.フッ素入りのジェルをアライナーに塗る
裏技的な使い方ですが、コンクールのジェルコートなどのフッ素入りのジェルをマウスピースに直接塗り、それを歯に装着するというものです。
夜間は更に唾液の量が減るので、フッ素入りジェルをアライナーに塗ることで、殺菌剤とフッ素により虫歯リスクを軽減できます!
まとめ
インビザラインでの矯正治療ではアライナーをちゅじ間付けなければなりません。そのため口腔内が乾燥しやすくなって虫歯のリスクが高まります。矯正治療中に虫歯になると治療計画に影響を与える場合がありますので、なるべく虫歯にならないように普段のケアを気を付けて行うようにしましょう。