歯科矯正全般

歯並びの悪さはどうやって治していくの?

歯並びの悪さはどうやって治していくの?

大阪矯正歯科グループ 歯科医師 松本 正洋

歯並びを良くするための矯正治療では、矯正装置を歯につけて歯や顎の位置を変えていきます。取り外しが出来ない固定式装置と、取り外し可能な可撤式(かてつしき)装置を用います。歯並びの悪さを治療する方法についてご説明します。

固定式矯正装置

女性

歯に固定されて患者さん自身では取り外し出来ない装置の代表的なものは、マルチブラケット、リンガルアーチ、クワドヘリックスの3つです。

マルチブラケット(ワイヤー矯正)

マルチブラケット装置は、歯の一つひとつにブラケットという小さなボタンのようなものを貼り付け、そこにワイヤーを通して力をかけて、歯を少しずつ動かして歯並びを整えます。

ブラケットは従来は金属製の銀色のものでしたが、目立つのが嫌だという患者さんが多いため、現在では透明なプラスチック製や、歯に似た色のセラミック製のものが主流になってきています。

金属と白のブラケットとワイヤー

ワイヤーは金属製で、銀色のものと、目立たない艶消しのもの、白い樹脂を巻いたホワイトワイヤーがあります。

大人の矯正では歯をきれいに並ばせるためには抜歯が必要になる場合もあり、その場合は大きく歯を動かす必要があるため、ワイヤー矯正で矯正治療を行うケースが多いです。

リンガルアーチ(舌側矯正)

裏側矯正 インコグニト

リンガルアーチは、歯の裏側に装着する装置で、金属製の針金によってアーチ状に作られています。左右の奥歯に維持バンドと呼ばれる矯正装置を取り付けます。

歯の裏側に浸ける装置なので、外見上は目立たないという利点があり、1~2本の歯の位置異常や軽度な前歯の反対咬合などの矯正に限って使われます。

クワドヘリックス(上顎拡大装置)

顎が小さくて歯がきれいに並ぶためのスペースが十分にない場合に、上顎骨の幅を広げて大きくするために用いるのがクワドヘリックスです。

クワドヘリックスはW字形をしたステンレスやコバルトクロム合金のワイヤーを左右の奥歯に引っかけて、歯の裏側から固定します。下顎の拡大に使われる装置はバイヘリックスと呼ばれます。

可撤式矯正装置

患者さん自身の手で取り外しが可能な矯正装置を可撤式装置といいます。可撤式装置の代表的なものはマウスピース矯正装置です。

インビザライン

 

マウスピース型矯正装置はワイヤーやブラケットを使わずに、お一人おひとりに合わせた完全オーダーメイドのマウスピース型の透明な矯正装置(アライナー)を1日に20~22時間装着し、2週間毎に交換しながら少しずつ歯を動かしていきます。

当院ではインビザラインという名称のマウスピース矯正を採用しており、iTeroと呼ばれる光学スキャンでお口の中をスキャンしたあと、専用ソフトで治療計画を立てます。

子供の矯正用の可撤式矯正装置

【子供用の矯正装置】床矯正装置

小児矯正プレート

小児矯正では骨格の成長度や筋肉のバランスの改善が目的とされます。床矯正装置はプレートとも呼ばれ、5~8歳くらいの低年齢から行い、歯並びが悪くなる原因をまず解決します。

プレートはプラスチックと針金で出来た装置の中央部分にスクリューやスプリングが組み込まれており、一定期間ごとにスクリューを回すことでゆっくりと子供の顎や歯列の成長を促進させて大きくしていきます。

【子供用の矯正装置】プレオルソ・T4K

プレオルソとT4K

プレオルソも子供のお口の周りの筋肉や顎の骨を成長させるための装置です。やわらかいポリウレタンで出来ているので痛くなく、子供が嫌がりません。

装置をお口に入れるのは昼間の1時間と、夜寝てる時です。簡単なお口の体操と組み合わせて行います。

【子供用の矯正装置】ムーシールド

子どもの0期治療ムーシールド

ムーシールドは3歳から始められる受け口治療のためのマウスピースです。夜、寝ている間だけ装置をお口に入れます。受け口が自然に治ることは殆どありませんので、遺伝性の受け口が疑われる場合は、小さいうちからムーシールドで舌の位置を改善して、お口周りの筋肉の成長を正常化します。

【子供用の矯正装置】インビザラインファースト

インビザラインファースト

インビザラインファーストは、お子さん用の取り外し式のマウスピース式矯正装置で、歯列の拡大と歯をきれいに並べることが同時に出来ます。当院では6才~10才のお子さんに使用しており、装着時間は1日20時間と少し長めですが、お食事と歯磨きの時は外すことが出来ます。

子供の矯正では指しゃぶりや舌癖を治すことも大事

子供に指しゃぶりや舌で歯を押す癖があると、歯並びが悪くなる原因になります。お子さんに癖があると気づいたら、早めに治すようにしましょう。

指しゃぶり

指をしゃぶりながら指で前歯をぐいぐい押しますので、出っ歯や、奥歯を噛んだ時に上下の前歯の間が開く「開咬」になることがあります。

開咬になると口を閉じにくくなり、前歯で食べ物を噛み切れなかったり、口呼吸の原因となることもあります。

舌癖

舌で前歯の裏側を押したり、舌を突き出して口から出し入れする、または上下の前歯の間に舌を挟む癖があると、出っ歯や開咬になることがあります。

舌の位置が前に出るため、サ行、タ行、ナ行、ラ行が発音しにくく、舌足らずな話し方になることがあります。また、口呼吸の原因になることもあります。

癖を治さないと、矯正治療を行っても治療後に後戻りしやすいため、これらの癖は小さいうちになおすようにしましょう。

歯並びの悪さの治し方に関するQ&A

Q

歯並びを良くするための主な治療方法は何ですか?

A

歯並びを良くする主な治療方法は、固定式矯正装置と可撤式矯正装置の2つがあります。固定式装置にはマルチブラケット、リンガルアーチ、クワドヘリックスがあり、可撤式装置にはマウスピース型矯正装置などがあります。

Q

マルチブラケット装置はどのように歯並びを整えるのですか?

A

マルチブラケット装置は、歯の一つひとつにブラケットを貼り付け、ワイヤーを通して力をかけて歯を少しずつ動かして歯並びを整えます。これにより、歯の位置を変えることができます。

Q

子供の矯正治療において、癖を治すことはなぜ重要ですか?

A

子供の癖、例えば指しゃぶりや舌癖は、歯並びの悪化の原因になります。これらの癖を治さないと、矯正治療後に歯が元の位置に戻りやすくなります。そのため、癖を早めに治すことは重要です。

まとめ

歯のキャラクター

矯正治療では、子供のあいだに不正咬合の原因となっている顎の小ささや歯並びに悪い影響を与える癖などを改善し、骨格やお口周りの筋肉のバランスを整えることが好ましいとされています。成人矯正になると矯正装置によって歯を動かす治療となり、抜歯が必要なケースもあります。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

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