大人の歯科矯正にはどんな種類があるの?

大人の歯科矯正にはどんな種類があるの?

大阪矯正歯科グループ 歯科医師 松本 正洋

大人が歯科矯正をする場合に、どんな種類があるのかご説明します。

目次

歯科矯正には大きく分けて5種類ある

大人の矯正5種類

歯並びが悪いと、ものを噛みにくかったり、見た目が悪いだけではありません。不正咬合が顎関節症や顔のゆがみ、頭痛や肩こりなどの原因となることもあります。

何よりも、食べ物をよく噛まずに飲み込むと、胃腸などの消化器官への負担が大きくなります。身体の健康という観点だけでなく、近年ではお顔や歯に対する美意識が高まり、矯正治療を受ける方が増えています。

当院で行っている大人の歯科矯正の方法は、5種類あります。

  1. ワイヤー矯正・
  2. 裏側矯正
  3. マウスピース矯正
  4. セラミック矯正
  5. 外科矯正(セットバック)

それぞれについてご説明します。

1.ワイヤー矯正

ワイヤー矯正

一般的な矯正で、歯の表側にブラケットとワイヤー等の装置をつけて歯を動かしていきます。歯全体の矯正の場合は2年程度の治療期間がかかります。様々な不正咬合のタイプの治療に対応出来、熟練した矯正医のもとでは歯の移動を細かく調整できます。

ワイヤー矯正はブラケットやワイヤーが目立つことがデメリットですが、当院では白いセラミック製を使用しますので、従来の金属素材のブラケットを用いた場合に比べるとかなり目立ちにくくなりました。ワイヤーもホワイトワイヤー(オプション)を使用すると目立ちません。

ブラケットとワイヤーには食べ物がひっかかりやすく、毎日の歯のお手入れにはやや時間がかかります。ワイヤー装着中はフロスを通すことが出来ないので、矯正治療中に歯と歯の間が虫歯になってしまう方もおられます。

※虫歯や歯周病予防のために、ワイヤー交換の際に歯のクリーニングを行います。

2.裏側矯正

裏側矯正インコグニト

歯の裏側にブラケットとワイヤーを取り付ける方法で、目立ちにくいという大きなメリットがあります。目立たない矯正装置をご希望の患者さんは、この裏側矯正と以下に記載するマウスピース矯正のどちらかを選択する方が殆どです。

歯の裏側に装置をつけますので、装置をつけた直後はお口の中のスペースが狭くなったことで圧迫感や違和感を感じる方もおられますが、殆どの方はすぐに慣れてしまわれます。

装置が舌に当たり、やや発音がしにくくなる方もおられます。歯の表側に装置をつけるワイヤー矯正と比べると費用が高くなり、期間も少し長くなる場合があります。

ワイヤー矯正と同じく、食べ物がブラケットやワイヤーにひっかかりやすいため、毎日の歯のケアには時間がかかり、虫歯のリスクが高まります。

3.マウスピース矯正

インビザライン模型

透明なマウスピース型の装置で歯を動かし、歯並びを改善していく矯正方法です。当院ではインビザラインという名前の装置を使用しています。装置をつけていても他人から気づかれにくいため人気があります。

インビザラインのアライナー(マウスピース)は1日22時間の装着を推奨しています。装着時間がこの時間に満たないと、歯が治療計画通りに動かない可能性があり、治療の途中でアライナーが歯にはまらなくなると、治療計画を見直してアライナーを作り直さなければなりません。

治療期間は個人差がありますが、全体の歯並びを治す場合は2年程度かかる方が多いです。部分矯正の場合は3ヶ月程度で治る方もおられます。

マウスピース矯正はワイヤー矯正と比べて矯正時の痛みが少なく、装置をつけていることが他人から殆どわからないため審美性の面でも人気があります。食事や歯磨きの時にはマウスピースを外しても良いということも大きな特徴の一つです。

4.セラミック矯正

セラミック矯正のイメージ

セラミック矯正は、歯を動かして歯列を整える矯正ではありません。セラミックの被せ物で歯の形を整えて表面的なデコボコをなくしたり、歯のラインをきれいにします。歯を動かす矯正のように大きく見た目を変えることは出来ませんが、歯の大きさや、ちょっとした歯列の乱れを改善することが出来ます。

セラミック矯正のメリットは、治療期間が早いということです。歯を動かす矯正は数か月~2年程度かかりますが、セラミック矯正の場合は数回の通院で、早ければ1ヶ月以内に治療が終わります。

歯周病にかかっている場合は、歯周病の治療を先に行い、歯茎の腫れがなくなってからセラミックの前歯を入れると、よりきれいに仕上がります。

矯正という名前はついているものの、被せ物をつけるだけですので、正確には矯正ではありません。

5.外科矯正(セットバック)

セットバック

重度の出っ歯や受け口の方の中には、骨格が原因のものがあり、骨格性の不正咬合は歯を移動させたり、歯の向きを変えたりしても、横顔のラインは思うようにきれいになりません。

「矯正治療を受けたけれど、出っ歯があまり引っ込まなかった」、「反対咬合を治したけれど、顎のしゃくれは治らなかった」とおっしゃる患者さんは、骨格性の不正咬合のケースです。

当院では、直接お顔の骨にアプローチして、外科的に骨を切除して治す治療法を行っています。当院で行っているのはセットバック手術と呼ばれる術式で、全身麻酔で日帰り手術を受けて頂くことが出来ます。輪郭形成、フェイスライン整形とも呼ばれています。

歯科矯正は自由診療(自費診療)になります

歯列矯正のような見た目の美しさに関わる治療では殆どの治療が公的医療保険の対象外です。保険のきかない自由(自費)診療ですので、治療費は患者さんの全額自己負担となります。ローンや分割払いが可能ですので、詳しくはスタッフにお尋ねください。

まとめ

大人の歯科矯正の種類について、①ワイヤー矯正②裏側矯正③マウスピース矯正④セラミック矯正⑤外科矯正(セットバック)の5種類があることをご説明しました。患者さんの歯列のお悩みに対してどの方法がベストかは、患者さんが優先されるのが見た目なのか、治療期間なのか、料金なのかで変わってきます。矯正担当医と話し合いながら、ぴったりな治療法をお決めください。