歯科矯正全般

出っ歯のせいでいびき?口が開く原因は出っ歯?

出っ歯のせいでいびき?口が開く原因は出っ歯?

大阪矯正歯科グループ 歯科医師 松本 正洋

いびきと出っ歯は関係があるのでしょうか? 前歯が出ているために、寝ているときに口が開いてしまい、いびきをかく方がおられます。対処方法はあるのか、ご説明します。

出っ歯のせいで口が開いているといびきの原因になる?

出っ歯で口が閉じにくくなると、口呼吸になりがちです。寝ている間にも自然に口が開いてしまい、それがいびきをかく原因になります。

出っ歯の方は歯並びの良い方と比べると呼吸がしにくく、口呼吸の原因になっているという説もあります。

呼吸をしにくいために口呼吸になり、それがいびきの原因となっていると考えられます。

出っ歯の方のいびきを止めるには?

まず、出っ歯の方は寝る際に口を閉じることを心がけましょう。口を閉じた状態ではいびきをかくことはありません。

歯列矯正で歯並びを治し、出っ歯が改善されれば、いびきをかくこともなくなります。

矯正治療はいびき対策になる?

子供の出っ歯の場合

子供の場合は、歯列を縦横に拡大させることが可能です。また、骨の成長を利用して矯正治療を行えますので、下顎が引っ込んでいる場合は下顎の発育を促進させて前方へ誘導することも出来ます。

引っ込んでいた下顎を前に出すことが出来ると、上下の顎のバランスが取れて出っ歯に見えなくなります。

口呼吸のお子さんは、舌の位置が下がっている場合が多いため、舌の位置が下がらないよう正しい位置にキープするためのマウスピースを寝ている間につけます。

大人の出っ歯の場合

出っ歯

大人の出っ歯の矯正は、抜歯を伴う矯正治療を2年くらいかけて行います。出っ歯を引っ込めることが出来たら、睡眠時にお口を閉じることが出来るようになり、いびきをかかなくなります。

大人の出っ歯の矯正に使用される治療方法は主に3つあります。

  1. ワイヤー矯正・・白いセラミックのブラケットに白いワイヤー(別料金)が可能
  2. 裏側矯正・・インコグニト
  3. マウスピース矯正・・インビザライン
矯正治療種類

中程度~重度の出っ歯の場合は、小臼歯を抜歯して2年程度矯正装置を歯につけて歯並びを治します。

いびきが起こりやすい歯並びってあるの?

いびき

いびきは気道が狭くなって起こりますので、太っている方に起こりやすいといわれています。肥満以外のいびきの原因としては、『顎が小さいこと』があげられます。

顎が小さいことがどうしていびきにつながるのでしょうか。その理由は、顎が小さいと舌を置く場所が十分にないために、舌が後ろに引っ込んでしまうことにあります。仰向けになると、下顎は重力の営業で、起きいる時よりも後ろに下がってしまうため、気道が狭くなっていびきをかきやすくなります。

もう一つ、いびきの原因になるのは『出っ歯』で、出っ歯の中でも下顎が引っ込んでいる方はいびきをかきやすいです。

出っ歯のせいでいびきをかくに関するQ&A

Q

いびきと出っ歯は関係があるのでしょうか?

A

はい、出っ歯といびきは関係があります。出っ歯の場合、前歯が出ているために口が開きやすく、口呼吸が起こり、いびきの原因となります。しかし出っ歯がいびきの直接の原因になるのではなく、口呼吸のせいでいびきが起こります。

Q

出っ歯の方はなぜ口呼吸になりやすいのですか?

A

出っ歯の方は歯並びが悪いため、口を閉じにくくなり、口呼吸がしやすくなります。口呼吸がいびきの原因とされています。

Q

いびきが起こりやすい歯並びや顎の特徴はありますか?

A

いびきは気道が狭くなることが原因で、太っている方や顎が小さい方がいびきをかきやすいと言われています。特に、下顎が引っ込んでいる出っ歯の方はいびきが起こりやすい傾向があります。

まとめ

歯のキャラクター

出っ歯といびきの関連性についてご説明しました。出っ歯で口が開きやすい、または口呼吸でいびきが気になる方は、一度治療をご検討下さい。出っ歯のために眠っている間にお口が開きやすい方は、歯並びを整えることで、いびきが改善される可能性が高いです。

出っ歯がいびきや口が開く原因となるかどうかについて、以下の2つの論文を参考に回答します。

1. Niemiらによる研究では、3歳児のいびきと乳歯の発達および軟組織プロファイルとの関連を調査しました。この研究では、いびきをかく子どもたちは、非いびきの子どもたちよりもより凸型の顔のプロファイルを持っていることが明らかにされました。しかし、いびきが乳歯の初期発達に悪影響を与えるとは結論付けられませんでした。また、いびきの子どもたちには口呼吸がより一般的でしたが、出っ歯といびきの直接的な関連は見いだせませんでした。【Niemi et al., 2019

2. Robertsonらの研究では、睡眠障害のある成人において、下顎前突装置(MAS)の使用後の歯と咬合の変化を調査しました。この研究では、MASの使用によって、上顎の中切歯が後方に傾斜し、下顎の中切歯が前方に傾斜することが観察されました。また、上顎の長さ、出っ歯、過蓋咬合距離が減少しました。しかし、この研究でも出っ歯といびきまたは口が開く状態との直接的な関連は明らかにされていません。【Robertson et al., 2003

これらの研究に基づくと、出っ歯が直接的にいびきや口が開く状態の原因となるとは言えないものの、いびきをかく子どもたちには口呼吸が一般的であることが示されています。出っ歯とこれらの症状の間には直接的な関連は確立されていませんが、口呼吸などの他の要因が関連している可能性があります。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

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