矯正治療では歯を動かして歯並びを整えていきますが、歯を動かすためには、スペースが必要です。どのようにしてスペースを作るかについてご説明します。
目次
矯正治療におけるスペースとは?
歯列が重なってデコボコになっている場合、歯をきれいに一列に並べようとしても、歯を並べるためのスペースが足りません。スペースを作るには、一般的には小臼歯の抜歯をするか、前歯の側面を削るかといった方法で行います。
出っ歯もまた、スペースが不足していると起こります。歯列矯正には必ず歯を動かすのに利用するスペースが必要です。
IPRとはどんな処置?
IPRは、歯の側面を僅かに削る処置のことをいいます。ディスキング、ストリッピング、スライスなどと呼ぶこともあります。
削る量は、1歯あたり0.5mmまでです。エナメル質の厚さは平均1.5mm程度で、薄い所で焼く1mm位です。そのうちの0.5mmを削るだけですので、痛みが出ることはありません。
前歯6本の側面を削れば、3mmのスペースが出来、前歯以外の歯の側面も削れば、5mm程度のスペースが出来ます。
IPRで出来たスペースを2で割ると、前歯が何mm下がるかがわかります。
IPRでは僅か数ミリのスペースしか出来ませんので、ガタガタや出っ歯が酷い方は、より大きなスペースが使える抜歯矯正の適用になります。
抜歯矯正だと何ミリくらいのスペースが出来る?
抜歯矯正では主に小臼歯を抜歯します。小臼歯のサイズは1本7~8mmくらいですので、左右の小臼歯を抜歯すると、14~16mmくらいのスペースが出来ます。
IPRと比べると、随分大きなスペースです。そのため、重度のガタガタや八重歯の歯並びをきれいに一列に並べたり、重度の出っ歯もかなり後ろに下げられる可能性があります。
歯列矯正のためのスペースを作る方法
歯を動かすためのスペースを作る方法は以下の5つがあげられます。
- 小臼歯を抜歯する
- 顎を横に拡げる
- 歯の側面のエナメル質を削る
- 歯を後方に移動させる
- 歯を前に出す
②の顎を横に拡げるのは、専用の装置を歯に付けて行います。子供の場合は骨格の成長を利用して顎を拡げますが、大人は成長が終わっているため、あまり横には拡がりません。
①~⑤の中には、比較的簡単にスペースを得られる方法と、時間がかかる割にはあまり大きなスペースが得られない方法があります。
まとめ
歯並びを整える矯正治療では、歯を動かしていくためのスペースが必ず必要になります。どのようにしてスペースを作っていくかは、患者さんの不正咬合がどのような状態で、どの程度のスペースが必要かによって決まります。
その結果、スペースを確保するために抜歯をするのか、IPRを行うのか、スペースを得る方法を担当の歯科医師が判断し、患者さんと話し合ってどの方法にするかを決定します。