子供の矯正の時期・タイミングはいつがベストなの？

大阪矯正歯科グループ　歯科医師　松本 正洋

子供の矯正は乳歯から永久歯への生え変わりの段階によって矯正治療に適したタイミングが決まりますが、大まかに言うと小学生になったら一度矯正相談を受けましょう。小児矯正はどういうものでいつから始めれば良いかについてご説明します。

子供の矯正治療はいつから始める？

子供の歯列矯正は何歳から？

子供には乳歯から永久歯への生え変わりがありますので、それを目安に治療の段階がわかれています。つまり、何歳からというよりも、乳歯から永久歯への生え変わりの程度によって治療内容が決まります。

• 乳歯から永久歯へ生え変わる時期（小学生） → 第1期治療
• 永久歯が生え揃ってから（中学生以降） → 第2期治療

1期治療

子供の矯正の1期治療は小学校の低学年から、中学生くらいまでの時期に行います。1年～3年程度の治療期間となります。

治療を始める目安としては、上下の前歯が生え変わった時期で、平均的には小学校2～3年生くらいで始める場合が多いです。歯の生える時期には個人差がありますので、小学生になったら一度矯正相談を受け、歯の生える速度を見ながら、治療の開始時期を決めましょう。

1期治療の主な目的は以下の通りです。

• 歯並びを治すためのスペースを確保すること
• 顎の骨の成長を促進すること

一期治療の目的は歯1本1本にアプローチして歯並びを整えることではなく、歯をきれいに一列に並べるために顎の骨を適切な大きさに成長させることです。

最近の子供は顎が小さい子が多く、顎の成長を促進させるためには、床矯正と呼ばれる取り外し可能な装置での治療となります。口呼吸の癖のある子どもの場合はプレオルソと呼ばれるマウスピースを使用して舌の位置を正しい位置に矯正し、お口周りの筋肉の成長を促します。

2期治療

2期治療は全て永久歯に生え変わってからの治療となります。1期治療のみで永久歯がきれいに並べば問題ありませんが、歯並びをよりきれいにするために2期治療もセットで行うケースが多いです。

2期治療の治療期間は1年半～2年程度です。1期治療と2期治療の両方を行う場合は、1期治療後に経過観察の時期を挟みますので、合計で5年程度の治療期間になります。

2期治療では永久歯をワイヤー矯正やマウスピース矯正などの動的治療で歯並びを整えていきます。これらの装置は、大人の矯正で使用するのと同じものを使います。既に1期治療を受けている子供は永久歯が並ぶのに十分な顎の大きさになっていますので、重度の不正咬合になるということは少なく、矯正のための便宜抜歯の必要もありません。

歯列矯正で正しい位置に歯が並べば、その後はリテーナーという装置を使って歯の位置を固定させ、一定期間が過ぎれば治療が完全に終了します。

子供の矯正治療を早く始めた方が良い場合

子供の歯並びで早期に歯科矯正した方が良い不正咬合は、受け口です。

• 下顎や下の前歯が上顎よりも前方へ発達している
• 反対咬合や下顎前突と専門的に呼ばれる
• 下顎ではなく上顎の劣成長で下顎が出て見えるケースもある

受け口は必ず早期治療するべき

受け口になる原因はいくつかありますが、下顎に比べて上顎は成長が止まるのが早いです。そのため、上顎の劣成長が原因の場合、受け口の症状が認められる段階で早期の治療を行えば、上顎の成長を促進することができます。

受け口はしゃくれなどお顔立ちに大きく影響を及ぼすので、早期治療をドクターよりおすすめされた場合、ご両親は歯列矯正をご検討ください。

受け口治療の器具や他の小児矯正の器具を教えて

ムーシールド、T4K、プレオルソ等の子供用の上下一体型のマウスピースは3歳位から使用ができます。起床時や就寝時などの決められた時間に装着すると、上顎の成長に必要な舌の位置を正しくしたり、頬や舌等のお口周りの筋肉を整えられ、成人矯正用のマウスピースと比べても装着時間が短いのが特徴です。このほかにも小児矯正に使用する矯正器具があります。

• 固定式の舌側の歯にワイヤーを通し歯並びを整えるリンガルアーチ
• 固定式で上顎骨を離開し、新しい骨を造ってもらい横の幅を広げる拡大床
• 取り外し可能で上下一体型ではないマウスピースを装着するインビザラインファースト

どの矯正器具を歯科医院が採用しているかは、矯正治療は保険適用外で自由診療のため、各医院ごとで異なります。いくつかの医院に相談して、通いやすい信頼できる医院か見極めるのも一つの方法です。

小児矯正のメリット・デメリット

小児矯正のメリットは、子供の顎の成長をコントロールできるということです。また、子供は歯が動きやすく、矯正装置にもすぐに慣れることが出来るのも小児矯正ならではの特徴です。永久歯への生え変わりの状態を細かくチェックし、顎の発達を歯科医師がコントロールすることで、顎の広さを保つことができます。

また、矯正装置を装着する痛みはデメリットに挙げられますが、お口の中の状態に慣れるスピードは子供の方が大人よりも早いです。小児矯正で噛み合わせの正しい綺麗な歯並びを手に入れれば、咀嚼機能の改善やお口元の見た目が整うため、歯並びのコンプレックスを持たずに安定した精神状態で過ごすことができます。

大人になっても歯列矯正はできるのか？

大人になってからお悩みだった歯を矯正しようという方も多くいらっしゃいますので、遅いということはありません。歯や歯肉が健康な状態の方ならば、年齢関係なく矯正治療を受診することが可能です。当院で無料カウンセリングに来られる方も年齢はバラバラです。

ただ、加齢により頬の筋力や舌の筋力が下がり、急に歯並びが気になられるという方もおられます。成人矯正では軽度な不正咬合を除き、健康な小臼歯を抜く抜歯処置や、歯と歯の間を噛み合わせ及び歯の健康に影響ない状態で削る処置（IPR・ストリッピング・ディスキング）後に矯正治療を開始します。そのため、健康な歯を抜歯、もしくは歯を削る処置に抵抗を覚える方も少なくありません。

子供の矯正のベストなタイミングに関するQ&A

まとめ

レントゲンなどの精密検査において、歯茎に埋まっている歯胚（永久歯の卵）や、生える（萌出）スペースがあるか確認ができます。小児矯正が可能ならば、健康な歯を抜かずにあごの成長のバランスを整えて、歯並びを整えられます。歯と歯の隙間が気になる場合は小学校に入学するタイミングで、下顎の発達が気になる場合は3歳頃を目途に、小児矯正の実績のある矯正歯科で相談を行いましょう。矯正治療が必要と言われた方はきちんと口腔内の状態を歯科医師に説明してもらうことが大切です。