最近お口がポカンと開いたお子さんが多く、昔に比べて歯並びの悪いお子さんも増えてきています。歯並びを悪くする原因は舌の位置と口呼吸にあるといわれており、それを治すためのお口周りの筋力をつけるプログラムを行っている歯科がたくさんあります。
目次
口呼吸してませんか?
人が息をするときは、鼻から吸って鼻から吐くのが通常です。
口呼吸とは、吸う息か吐く息、またはどちらも口で行う状態をいいます。ここでは、ヨガの呼吸のように意識的にしているのではなく、無意識のうちに日常的に口で呼吸をしている状態についてご説明します。
常に口呼吸を続けていると、結果として歯並びが悪くなって出っ歯や口ゴボを引き起こしたり、歯周病の悪化を引き起こしたり、免疫力の低下に繋がる危険があります。注意してお口を閉じるように心がけ、いつも自然に鼻で呼吸出来るようにしましょう。
口呼吸がダメな18の理由
口呼吸によって歯やお口の筋肉、姿勢や健康に様々な影響があります。
舌の位置が下がっていることによって
1.前歯の裏を舌で押してしまい出っ歯(上顎前突)や口ゴボの原因になる
2.お口の周りの筋肉が発達しないので歯がガタガタになりやすい
3.頬で歯を押すため歯列が内側に倒れて狭くなる
4.食べたり飲み込んだりする機能が十分に発達しない
5.二重顎になりやすい
6.顎にたるみができる
7.お口がぽかんと開いている
口呼吸でお口の中が乾燥して唾液が減ることによって
8.前歯が着色しやすくなる
9.前歯の虫歯が増える
10.歯周病になりやすくなる
11.口臭の原因になる
12.口元が乾燥しやすくなる
口から空気が直接入って来ることによって
13.慢性鼻炎やアレルギー性鼻炎になりやすい
14.冷たい空気が入って来るので喉を傷めやすい
15.口からウィルスが直接喉に入るのでウィルス性の風邪をひきやすい
16.寝ている時にいびきをかきやすい
17.猫背など姿勢が悪くなる
18.前頭葉の酸素消費が多いため集中力が低下する
このように口呼吸には出っ歯や口ゴボなどの歯並び以外のリスクも多く、さまざまなデメリットがありますので、注意が必要です。
舌、唇、頬の力が良い歯並びを作ります
歯並びは、舌の力と唇、頬がそれぞれの力で歯を挟み込む形で形成されます。
舌の力と唇の力、そして頬の力がバランスよく保たれていれば、歯並びが悪くなることは防ぐことが出来ます。しかし舌と唇と頬の力のバランスが崩れることによって、顎がしっかり発達できず、歯がきれいに並びきるスペースを確保することが出来ない為に、歯並びは更に悪くなって出っ歯や口ゴボになってしまいます。
舌の正しい位置を確認しましょう
- リラックスしている時、お口は閉じていますか?
- 舌の位置はどこにありますか?
ゆったりとリラックスしている時には、舌は上のあごの中央にあるスポットと呼ばれる浅いくぼみの位置にあるのが正しい位置です。
口呼吸になっている方は、舌が上あごにくっついていなくて、位置が下がってしまっているという特徴があります。
小さいころから舌が上顎についておらず、鼻呼吸ができていないと、永久歯が生えてきても歯並びが悪くなることに繋がります。出っ歯や口ゴボ、開咬、受け口になると将来的に歯列矯正をしなければならなくなりますので、早めに口呼吸を治す必要があります。
年齢があがるにつれて癖を治すのは難しくなっていき、大人になると癖はなかなか治りづらいものです。舌が正しい位置にないお子さんは、3歳位で治すようにしましょう。
舌を正しい位置に導くためのマウスピース矯正と口腔筋機能療法(MFT)
舌の癖の改善、口腔周囲の筋肉の動きの改善、鼻呼吸の習慣化、顎の成長促進などのためのMFT(口腔筋機能治療)と呼ばれる機能訓練のプログラムがあります。
口腔筋機能療法(MFT)はプレオルソやT4Kというをマウスピースをご自宅で着けてもらいながら、歯科で指導するプログラムに従って鼻で正しく呼吸する・舌の位置・嚥下(飲み込み方)・全身の正しい姿勢へと導くためのアクティビティと呼ばれる口輪筋などの口腔周囲の筋肉を使うトレーニングを行う矯正治療のひとつです。
就寝中+1時間マウスピースをつけることと、アクティビティの様々なメニューで舌や唇、頬の筋肉のバランスを改善し、出っ歯や口ゴボになるのを予防して、きれいな歯並びへと導くための矯正治療を行います。
舌の位置を改善させるあいうべ体操
舌を正常な位置に戻すために開発されたのが「あいうべ体操」です。いつでも簡単に気軽に出来ますので、舌の位置が悪いお子さんはぜひあいうべ体操を続けましょう。
あいうべ体操は、福岡県福岡市にあるみらいクリニックの院長今井一彰医師が考案され、歯科に限らず耳鼻咽喉科などの多くの専門医が注目している体操の1つです。インフルエンザやアレルギー疾患など、その他の病気にも有効な対策方法として知られています。
やり方は、お口を大きくあけて「あ~い~う~べ~」と動かすだけです。大きな声で発音しなくても声は小さくても大丈夫です。ゆっくりと1日30回程度やってみましょう。
顎の関節に痛みが出ているお子さんは、お口を無理に開けずに、「い~う~」だけでもやってみましょう。
【動画】子供の出っ歯治療
まとめ
口呼吸の他にも、指しゃぶり、唇を噛む、舌を出すといった癖があると、歯並びを悪くするリスクが高まり、口腔内だけでなく全身への悪影響を及ぼします。当院ではお子様のそうした癖を改善して、出っ歯や口ゴボになるのを予防するためのマウスピースでの矯正とトレーニング(MFT)を行っています。