インビザラインは人気のあるマウスピース型の矯正装置ですが、インビザラインはどんな効果が期待出来て、どれ位の治療期間がかかるのでしょうか? インビザラインの矯正、効果、期間などの情報や、出っ歯などの症例にも本当に可能かなどについてご説明します。
目次
インビザラインでの矯正効果はどの程度?
インビザラインは効果が出るのが遅い?
インビザラインは治療を始めて1ヶ月程は、「歯があまり動いている感じがしない」とおっしゃって、矯正の効果が実感できない患者さんもおられます。確かにワイヤー矯正と比べると、マウスピース矯正の歯の動きはゆっくりとしたものと感じられるかもしれません。
それは、マウスピース矯正は1枚のアライナーで歯を動かせるのは、僅か0.25mm程度とされているからです。そのため最初のうちはあまり歯が動いていないと感じられるかもしれません。しかし、きちんとアライナーを装着し続けて頂ければ、クリンチェック通りに歯は動いています。3ヶ月くらい経過した時に治療開始前の歯並びと比べてみると、確実に歯列は変わっている筈です。
以上のような理由で、インビザラインでの矯正治療の効果を実感できるのは、3ヶ月目くらいからといえます。
インビザラインの効果
インビザラインの効果は、マウスピースが目立たないという特徴と歯並びを整える能力により、多くの人に選ばれています。インビザラインがどのような効果をもたらすのか、見ていきましょう。
1. 歯並びの改善
インビザラインは、主に軽度から中等度の歯並びの問題や噛み合わせの問題を改善するために使用されます。インビザラインでは主に次のような状態を改善することができます。
- すきっ歯・・歯と歯の間に隙間がある場合、インビザラインはこれらの隙間をなくす、または小さくさせることができます。
- 叢生(ガタガタ)・・歯が密集していて重なったりガタガタになっている場合、インビザラインは歯を適切に配置し直すことができます。
- 出っ歯(上顎突出)・・上の歯が下の歯よりも大きく前に出ていて、出っ歯の程度が軽度の場合はインビザラインで治療が可能です。
- 受け口(反対咬合・下顎前突・・)・・下の歯が上の歯よりも前に出ている状態で、程度が軽度の場合はインビザラインで治療が可能です。
- 交叉咬合・・上下の歯が正しく噛み合っていない場合、インビザラインは歯を適切な位置に移動させ、噛み合わせを改善します。
2. 審美的な効果
インビザラインのもう一つの大きな効果は、審美面に関するものです。治療中もアライナー(マウスピース)が透明であるため、目立ちにくく、日常生活において人の目を気にすることなく治療を続けることができます。これは矯正治療中の見た目が気になる患者さんにとっては、大変大きなメリットとなります。
3. 取り外し可能なマウスピースを使用
インビザラインのマウスピースは取り外し可能であるため、食事の際や歯磨きの際には外すことができます。これにより、普段通りの食事が楽しめ、普段と同じやり方で歯磨きを行うことが出来ます。
4. 矯正治療の結果どうなるかを3Dソフトで予測できる
インビザライン治療は、最初にiTeroと呼ばれる口腔内スキャナーで歯型データを取り、3Dソフトに読み込ませて治療の予測を見ることが出来ます。これによって治療前に最終的な結果を視覚化し、具体的に歯がどのように動いていくのかを見ることが可能です。歯の動きの予想が見れるため、患者さんのモチベーションの維持にもつながります。
▼インビザラインについてはこちらで詳しく解説しています。
インビザラインの治療期間はどれ位?
インビザラインでの矯正治療は、部分矯正の場合は1年ほど、上下の全体矯正の場合はおおよそ2年~3年の治療期間が必要になります。
マウスピース矯正の場合は、歯の表側に装置をつけるワイヤー矯正と比べると少し動きが遅いというデメリットがあります。しかしゆっくりと小さな力をかけて歯を動かすため、ワイヤー矯正よりも痛みが少ないというメリットもあります。
治療計画通りに治療を進めるためには
治療計画通りに歯が動くようにするには、以下の三点に気をつけましょう。
- 決められた装着時間(1日22時間以上)を守る
- 虫歯にならないように歯磨きとアライナーの洗浄などの管理をしっかり行う
- 通院日を守って担当医のチェックを受ける
治療が計画よりも長引くパターンとしては、①装着時間の不足、②途中で虫歯の治療が必要になる(その結果、アライナーの作り直しが必要になることもある)、③通院日が延び延びになりアタッチメントをつけたりディスキングを行うタイミングが遅れる、などがあります。なるべく治療計画通りに治療を進めるためには、患者さん側のご協力も必要になります。
治療期間が変動する要因
インビザラインの治療期間は一般的に12ヶ月から24ヶ月ですが、以下の要因によって期間が変動することがあります。
- 矯正が必要な歯の状態・・不正咬合の程度によって治療期間が異なります。軽度の場合はより早く治療を終了させられます。患者さんによっては動きにくい歯があり、その場合は予定よりも治療期間が延びてしまいます。
- 患者の年齢・・年齢が若い方ほど歯が動きやすい為、早く治療が終わる傾向があります。
- マウスピースの装着時間・・マウスピースの装着時間は1日22時間以上が推奨され、装着時間が短いと治療計画通りに歯が動かない場合があります。
インビザラインで出っ歯は治せる?
歯列矯正のご相談で多いのが、出っ歯(上顎前突)と呼ばれる前歯の出っ張りや、受け口(下顎前突)等のお悩みです。出っ歯は程度によりますが、インビザライン矯正で治療可能です。
軽度のでっ歯の場合は、IPR(ディスキング、スライス)という、前歯の側面を0.25ミリ程度削ってわずかなすき間を作り、そのスペースを利用して出っ歯を治します。
出っ歯の前突が強い方の場合は、小臼歯を抜歯して出来たスペースを利用して、歯を大きく下げていきます。抜歯矯正はインビザラインでも可能ですが、歯を大きく動かすため、ワイヤー矯正の方が一般的に治療期間が短くなります。
インビザライン矯正ってどんな治療方法?
インビザラインとは、アメリカにあるアライン・テクノロジー社が1999年に提供を開始したマウスピース型の矯正治療です。
公式ホームページによりますと、2019年6月までに、100ヶ国以上の国々で700万人以上の方が治療を受けられているようです。(アライン・テクノロジー社調査による)
取り外しが可能な透明のマウスピース型のアライナーと呼ばれる矯正装置を歯に装着して、歯並びを綺麗にしていく方法です。
ワイヤーだと見た目の問題もございますが、目立ちにくく、普通の生活が送れるという事が大きな特徴だと思います。itero、もしくはシリコンによる型どりを行い、個人個人のお口に合わせてしっかりとアライナーを作成します
。
金属未使用のプラスチック製のため、ワイヤー治療で起こりがちなワイヤーやブラケットでお口を傷つけたり、口内炎になるお口のトラブルが防げますし、金属アレルギーの方でも安心して治療を行う事ができます。
インビザラインの効果や期間。出っ歯も治せるかに関するQ&A
インビザラインの矯正効果はどの程度ですか?
インビザラインの矯正効果は、最初は歯があまり動いている感じがせず、ワイヤー矯正よりもゆっくりとした動きをします。しかし、アライナーをきちんと装着し続けることで、確実に歯列は変わります。治療開始後約三ヶ月目から効果を実感しやすいです。
インビザラインの治療期間はどれくらいですか?
インビザラインの治療期間は、部分矯正で約1年、上下の全体矯正でおおよそ2年から3年ほどが必要です。ワイヤー矯正よりも少し遅い動きですが、痛みが少なく取り外し可能な特徴があります。
インビザラインで出っ歯は治せるのですか?
はい、インビザラインで出っ歯(上顎前突)の治療が可能です。出っ歯の程度によっては、前歯のわずかな削りを通じて矯正する方法や、抜歯によるスペースの活用などが行われます。ただし、抜歯矯正の場合はワイヤー矯正が向いていることもあります。
まとめ
マウスピース矯正インビザラインで出っ歯を治すのは、不可能ではないという事がお分かりになったと思います。上顎の骨格の過成長が原因の出っ歯の場合は矯正装置だけではお口の突出感があまり改善しないことがあり、その場合は外科矯正の適用になります。もし気になる場合は、医師にご相談くださいね。
インビザラインの効果と治療期間に関して、以下の2つの研究が参考になります。
1. Valentina Lanteri, G. Farronato, C. Lanteri, R. Caravita, G. Cossellu (2018) の研究では、インビザラインと固定装置を用いた前歯の密集治療の効果を比較しました。インビザラインを用いた治療群では、全体の80.9%が改善を見せ、63人の被験者は追加の調整を必要としませんでした。平均治療期間は14ヶ月で、固定装置を使用した群よりも4ヶ月短かったと報告されています。【Valentina Lanteri et al., 2018】
2. Mareike Simon, L. Keilig, Jörg Schwarze, B. Jung, C. Bourauel (2014) の研究では、インビザライン®システムを用いた矯正治療の効果について、特に補助装置(アタッチメント/パワーリッジ)およびアライナーごとのステージング(アライナーごとの動き)が治療効果にどのような影響を与えるかが分析されました。この研究では、全体の平均効果は59%で、特に上顎の前歯のトルクは42%の精度で達成されました。また、上顎大臼歯の遠心移動が最も効果的な動きであり、効果は約87%でした。【Mareike Simon et al., 2014】
これらの研究結果から、インビザラインを用いた矯正治療は特に前歯の密集治療において効果的であり、固定装置を用いた治療よりも短い期間で治療を完了することが可能であることが示唆されています。ただし、治療の効果は個々の症例によって異なるため、具体的な治療期間や成果については専門の矯正歯科医と相談することが重要です。