歯科矯正全般

噛み合わせが深いとは?過蓋咬合って何?

噛み合わせが深いとは?過蓋咬合って何?

噛み合わせが深いとは、奥歯をかみしめたときに上の前歯が下の歯に覆いかぶさって下の前歯が見えない不正咬合のことをいいます。噛み合わせが深いと、お口の中ではどのような状態になっているのか。そして、どのようにして治療するのかについてご説明します。

噛み合わせが深いとは

過蓋咬合とは

噛み合わせが深いという症状は、「過蓋咬合かがいこうごう」と呼ばれる不正咬合の一種です。ディープバイトとも呼ばれ、奥歯を噛み合わせた際に、上顎の前歯が下顎の前歯を覆ってしまう状態のことを指します。上の前歯がかぶさりすぎて下の前歯が少ししか(或いは全く)見えない状態です。

かみ合わせは深いが歯並び自体は悪くないというケースもあります。そのため噛み合わせが深くなっていることに気づかず、治療が必要と感じていない方もおられます。また、出っ歯や叢生で相談に来られた方が、実は噛み合わせが深く、治療を要するケースであったということもあります。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjps1957/40/1/40_1_1/_pdf/-char/ja

なぜ噛み合わせが深くなるの?

なぜ噛み合わせが深くなるの?3つの原因

なぜ噛み合わせが深くなるのか、一般的に大きく分けて3つの原因が考えられます。骨格や遺伝の問題、習慣の問題、歯の問題です。それぞれ例を挙げてご説明します。

骨格や遺伝の場合

成長過程で上顎が長くなり過ぎたり、反対的に下顎が小さい場合です。また、親からの遺伝で骨が大きくなり過ぎたり、骨格の位置に問題があるというケースもあります。これらが原因で噛み合わせが深くなっている場合は、患者さんご本人が予防を行う事ができません。

習慣の問題

悪癖とよばれる舌癖や、口呼吸によって過蓋咬合が起こってしまった場合です。指しゃぶりや頬杖、舌を歯と歯の間から出す、噛みしめ癖などにより、お口の状態に問題が起こるケースです。これらが原因で噛み合わせが深くなっている場合は、MFT(筋機能療法)と呼ばれるトレーニングを行う事で、改善できる可能性があります。

https://www.osaka-kyousei.com/column/1274.html

歯の問題

奥歯を虫歯や歯肉炎で失ってしまった方、前歯が大きく伸びてしまった方等が挙げられます。どちらも奥歯の高さが合わないため、前歯に負担がかかってしまいます。これらが原因で噛み合わせが深くなっている場合は、矯正治療により改善できる可能性があります。

噛み合わせが深いケースを治療しないとどうなるの?

過蓋咬合のデメリット
  • 食事の時に噛みにくい
  • 発音がしにくい
  • 口元が出っ張り、ガミースマイル気味になる
  • 顎関節症の原因になる
  • 不正咬合によって肩こりを起こすことがある

噛み合わせが深いケースの治し方~子供の場合~

乳歯と永久歯が混じる混合歯列期の子供のケースでご紹介します。噛み合わせが深い場合の1期治療には、通常、取り外し式(可撤式)装置、床矯正などの機能的矯正装置を使用します。

装置で下顎を前方へ成長させながら骨格のバランスを整えて奥歯を適切な位置まで伸ばします。正常な前歯の重なり合う状態は上の歯が下の歯の1/4程度、3mm程度覆うくらいです。

インビザラインファーストやT4Kなどのマウスピースを選択することも可能です。機能的矯正装置を選択された場合は約1年ほど、マウスピースを選択された場合は約1年半程の治療期間です。

いずれにしても、お子さんが矯正をする場合、お口の負担が少ない治療法を選択します。ただ、悪い習慣が原因になっているケースでは、MFTなどのトレーニングを追加で行う必要があります。また、お子さんの永久歯の歯並びを誘導する場合は、2期治療と呼ばれる永久歯が生えてからのワイヤー矯正、インビザライン矯正などを行う事もあります。

子供の過蓋咬合の最適な治療のタイミングについて

子供

過蓋咬合の最適な治療のタイミングは、一般的には乳歯が永久歯に生え変わってからが良いとされています。矯正治療は子供時代に行うと、歯を抜かずに治療が出来ます。小学生くらいでが過蓋咬合の疑いがある場合は、まず矯正歯科に相談しましょう。子供時代は骨がまだ成長途中ですので、その時期に矯正治療を始めることで、非抜歯で矯正が出来る可能性があります。

また、小児矯正では、夜間に口に入れるだけの矯正装置で治療できる場合があります。歯にワイヤーをつける場合と比べて、子供にとっての負担が少ない状態で過蓋咬合を改善することが出来る可能性があります。矯正治療は子供時代にすると、歯を抜かずに治療が済み、予算も大人ほどはかからないことが多いです。

噛み合わせが深いケースの治し方~大人の場合~

大人で噛み合わせが深い場合の治療は、主にブラケットによるワイヤー矯正が一般的です。表側からの普通矯正、ホワイトワイヤーを使用する審美矯正、歯の裏側に矯正装置をつける裏側矯正です。治療期間はワイヤー矯正の場合でおおよそ2年~3年となります。

ブラケットによるワイヤー矯正の場合、1ヶ月毎にワイヤーの調整のために来院して頂く必要があります。歯の動きをドクターがチェックし、新しいワイヤーと交換したり調整したりして、歯を正しい位置に動かしていきます。

お口の状態によってはマウスピース矯正装置インビザラインを選択することも可能です。マウスピースによる矯正の場合は、1週間程度で新しいマウスピースに交換しながら歯を動かして行きます。通院の間隔は2ヶ月毎くらいになります。

いずれの場合も不正咬合の治療が終われば、リテーナーと呼ばれる保定装置を装着し、歯が後戻りしないように固定する必要があります。

噛み合わせが深い過蓋咬合に関するQ&A

Q

過蓋咬合とは何ですか?その症状や特徴を教えて下さい。

A

過蓋咬合は、奥歯を噛み合わせた際に、上顎の前歯が下顎の前歯を覆ってしまう不正咬合の状態です。上の前歯が下の前歯を過度に覆うため、下の前歯が見えにくいか全く見えない状態が特徴です。歯並びが悪くない場合でも発生することがあります。

Q

噛み合わせが深くなる主な原因には何がありますか?

A

噛み合わせが深くなる主な原因は以下のようなものです。 1. 骨格や遺伝の問題・・上顎が過成長で長かったり、逆に下顎が小さかったりすると噛み合わせが深くなることがあります。 2. 習慣の問題・・舌癖や口呼吸によって噛み合わせが深くなる場合があります。 3. 歯の問題・・奥歯を抜歯した場合に噛み合わせの高さが合わないせいで噛み合わせが深くなることがあります。

Q

噛み合わせが深い場合に治療を受けないとどのような問題が起こる可能性がありますか?

A

噛み合わせが深いと、食事でしっかり噛むことが難しくなり、発音にも影響を及ぼすことがあります。口元が出っ張り、ガミースマイル気味になり、顎関節症の原因となる可能性があります。また、不正咬合が肩こりを引き起こすこともあることに注意が必要です。

まとめ

歯のキャラクター

いかがでしたか。今回は前歯が下の歯に覆いかぶさっている「噛み合わせが深い」タイプの不正咬合とその原因についてご説明し、更に大人と子どもの治し方についてご紹介いたしました。

噛み合わせが深い方は下の歯が上の前歯の裏側の根元にあたっていると歯肉炎を起こしやすく、顎関節に負担がかかって顎関節症の症状が出る場合もあります。また、ガミースマイル気味になっていることも考えられますので、早めに矯正歯科にご相談くださいね。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

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