マウスピース

大人のマウスピース矯正の注意点を教えて

大人のマウスピースきゅせいの注意点を教えて

歯並びがずっと気になっておられる大人の方に人気のマウスピース矯正について、治療する上での注意点をご説明します。

大人の方におすすめのマウスピース矯正とは?

歯列

歯の矯正は乳歯から永久歯に生え変わる時期に行うものと思っている方が多いと思いますが、最近では大人の方の矯正患者さんが増えています。大人の方の矯正治療が増えてきた背景には、矯正装置が目立たないマウスピース矯正がかなり一般的になってきたという事情があります。

マウスピース矯正は、今までの矯正装置として一般的だったワイヤー矯正とは違って、装置が目立たないということが大きな特徴です。

当院ではインビザラインというマウスピース矯正を行っており、最初に患者さんの歯型を取り、それを3Dのデータとしてパソコン上で確認します。

現在の歯並びからどのようにきれいな歯並びに変わっていくかが、パソコンの画面で見ることが出来、そのデータを元に、少しずつ歯を動かしていった状態のマウスピースが50~60枚程度作成されます。1~2週間の感覚で次々に新しいマウスピースに変えていき、時間をかけて歯を動かしていきます。

マウスピースは透明で目立ちません。歯磨きとお食事の際にはマウスピースを外します。そして1日に22時間つけていただかなければいけません。※当院では22時間を推奨しております。

マウスピースでどんな歯並びでも治るの?

インビザラインアライナー

マウスピース矯正には様々な名前のシステムがあり、その多くは前歯だけの部分矯正に特化されたものですので注意が必要です。一方で、マウスピースでの前歯だけの部分矯正は、料金が手ごろでマウスピースの枚数も少なく、治療期間が短いというメリットがあります。

当院で使用しているインビザラインは、アタッチメントという小さな突起を歯に付けることで、歯に様々な方向への力をかけることが出来ますので、前歯の部分矯正だけでなく、奥歯を移動させることも出来ます。そのため出っ歯、八重歯、受け口などの幅広い治療が可能です。

歯の重なり具合が大きい場合や、出っ歯を大きく下げたい場合には、矯正治療ではよく小臼歯を抜歯して歯を動かすためのスペースを作ります。インビザラインでの治療では、抜歯矯正も可能ですし、ケースによっては歯列自体を大きくするような歯の動かし方も出来ます。

受け口(反対咬合)の方は、歯だけの問題ではなく、下顎の骨格が前に出ているタイプでは、歯列矯正のみでは横顔のラインがきれいになりません。その場合は外科矯正が必要になります。出っ歯の方も、上顎の骨格が前に出ているタイプは、外科矯正が対象となります。

全ての方の横顔のラインや歯並びがマウスピース矯正で治せるわけではないことは、治療方法を選ぶ上での一番の注意点となります。

大人のマウスピース矯正のメリット

大人のマウスピース矯正のメリット

1.目立ちにくい


マウスピースは透明なプラスチック素材で出来ているため、つけていても見えにくく、矯正していることがわかりません。そのため学生さんはもちろん、職業柄見た目を気にしなくてはならない大人の方でも無理なく治療をすすめることが出来ます。

2.痛みが少ない


ワイヤー矯正と比べるとマウスピース矯正は歯をほんの少しずつ移動させますので、痛みが出にくいというメリットがあります。痛くない状態で歯の矯正をしたい方におすすめです。

3.食事の時に取り外せる


飲食の際にはマウスピースを取り外しますので、何でも食べたいものを食べることが出来ます。取り外したマウスピースはその都度きれいに洗ってつけなおすことが好ましいため、マウスピースの管理がきちんと出来る大人の方にぴったりな矯正治療です。

4.通院回数が少ない


マウスピース矯正は1~2週間に一度のタイミングで(患者さんによって異なります)マウスピースを交換していきます。ワイヤー矯正ではワイヤーの調整が必要ですし、ワイヤーやブラケットが外れてしまうことがありますので、歯科医師が指定するタイミングに加えて必要に応じて通院しなければなりませんが、マウスピース矯正ではそのようなことはありません。お仕事の都合で何度も通院するのが難しい方でも、安心して治療をすすめていけます。

5.歯みがきがしやすく歯周病予防につながる


歯並びは年齢と共に僅かずつ変化していきます。子供の頃はきれいな歯並びであっても、少しずつ出っ歯になってきたり、ガタガタになったりして、歯と歯の間や歯と歯茎の間にデコボコが目立ってきます。これは主に加齢によって生じるのですが、歯並びを整えることでデコボコが減り、歯磨きがしやすくなります。そのため歯周病予防に繋がります。

マウスピースでの矯正が適用でない場合はどうしたらいいの?

矯正の治療前のカウンセリングでは、患者さんの歯並びの状態に応じてどのような治療方法が良いのかをご提示します。

大人の矯正で使用されている矯正装置はマウスピース以外ではワイヤー矯正、歯の裏側にワイヤーをつける裏側矯正が代表的なものになります。また、矯正装置を使っての治療でカバーしきれない骨格性の出っ歯や受け口の方は、歯だけを整えてもセットバックなどの外科手術をしない限りは横顔のラインがきれいになりません。

患者さんのご希望を伺いつつ、歯の状態や骨格を診査して、最適な治療方法、治療にかかる期間、治療費などをご説明します。

大人のマウスピース矯正の注意点に関するQ&A

大人のマウスピース矯正は何故人気があるのですか?

大人のマウスピース矯正は、その目立たない透明なデザインと、取り外し可能な利便性によって人気があります。特に見た目を気にする必要がある大人にとって、矯正装置が目立つことへの懸念が少なく、日常生活や仕事に影響を与えにくいという点が魅力です。また、痛みが少なく、食事の際に取り外せるため、日常生活の中での不便さが少ないことも利点です。

マウスピース矯正はどのような歯並びの問題に適していますか?

マウスピース矯正は、前歯の部分矯正から複雑な歯並びの問題まで幅広いケースに適用できます。インビザラインのようなシステムでは、アタッチメントを使用して歯に様々な方向への力を加えることが可能で、出っ歯、八重歯、受け口など多様な状況に対応できます。ただし、非常に複雑な歯並びや重度の咬み合わせの問題、骨格に関連する問題など、マウスピース矯正だけでは対応できないケースもあります。

マウスピース矯正が適用できない場合、他のどのような治療オプションがありますか?

マウスピース矯正が適用できない場合、他の治療オプションとしてはワイヤー矯正や裏側矯正があります。これらはより複雑な歯並びや咬み合わせの問題に対応可能です。また、骨格性の問題がある場合、例えば出っ歯や受け口で骨格の調整が必要な場合には、外科手術を伴う矯正治療が必要になることもあります。

まとめ

大人

大人の方のマウスピース矯正治療では、まずどの程度の不正咬合で、マウスピース矯正の適応範囲であるかどうかを知ることが重要です。インビザラインであればかなり適応範囲は広いものの、骨格性の出っ歯や受け口の方は外科矯正をしなければ根本的な治療にはなりません。そのため、まず歯科医院で矯正相談を受けてみることをおすすめします。

大人のマウスピース矯正に関して、以下の2つの研究が参考になります。

1. Ganta et al. (2021) の研究によると、マウスピース矯正は異なる熱可塑性素材で作られ、歯を所望の位置に移動させるための圧力をかける装置です。この治療法は、特に成人患者の間で美的な選択肢として人気が高まっています。ただし、マウスピース矯正は、装置の設計、素材、そして歯の移動に影響を及ぼすさまざまな要因によって、その効果が左右される可能性があります。【Ganta et al., 2021

2. Kiran et al. (2020) のケースレポートでは、成人患者におけるマウスピース矯正の有効性が示されています。この報告では、重度の前突と上下顎の一般的なスペーシングを持つ成人女性患者がマウスピース矯正で治療され、予測された結果として前突の減少、スペーシングの閉鎖、満足のいく顔のプロファイルが得られました。【Kiran et al., 2020

これらの研究から、マウスピース矯正は成人の矯正治療において有効であり、特に審美的な観点から選ばれることが多いことが分かります。しかし、治療の有効性は装置の設計や素材、患者の特定の歯の状態など、多くの要因に依存することを理解しておくことが重要です。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

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