小児矯正

矯正治療を受ける子供が増えている理由とは?親が知っておきたい5つの背景

矯正治療を受ける子供が増えている理由とは?

大阪矯正歯科グループ 歯科医師 松本 正洋

子供の矯正治療が増えているのは、見た目の改善だけでなく、健康面や発育への意識が高まっていることが主な理由です。

この記事はこんな方に向いています

  • 子供の歯並びに不安を感じている保護者の方
  • なぜ矯正治療をする子供が増えているのか理由を知りたい方
  • 将来的に子供の矯正を検討している方

この記事を読むとわかること

  1. 子供の矯正治療が増えている背景
  2. 現代ならではの不正咬合の原因
  3. 早期治療のメリット
  4. 医療制度や親の意識の変化
  5. 専門医のアドバイスの重要性

 

子供の矯正治療が増えているのは健康と将来のため

子供の矯正治療が増えている背景には、「見た目」だけではなく、「噛む力」や「発音」、「成長」などの健康的な側面を重視する保護者の考えが広がっていることが挙げられます。

見た目だけでなく、健康を重視した矯正ニーズが高まっています。

  • 不正咬合は虫歯や歯周病のリスクを高める
  • 噛み合わせの不良は消化不良や顎の発育にも影響
  • 発音や呼吸にも影響を与えるケースがある

矯正治療は、単なる「美容目的」の治療ではありません。
「食べる」「話す」「呼吸する」などの基本的な機能を正しく成長させるために、早い段階での治療が注目されているのです。

 

将来的な医療費の負担を軽減できる可能性も

矯正治療を子供のうちに行うことで、将来的に歯のトラブルを未然に防ぎ、医療費の負担を軽くできる可能性があります。

子供の矯正は将来の医療費削減にもつながります。

将来起こりやすいトラブルを防ぐ

  • 歯並びが悪いことで歯垢がたまりやすく、虫歯・歯周病のリスクが高まる
  • 噛み合わせが悪いと、顎関節症や肩こり、頭痛などの全身症状に波及することも
  • 成人してから矯正治療をすると、費用・治療期間ともに大きな負担になる

その結果、子供のうちに矯正治療を行っておくことは、長い目で見て「予防歯科」の一環としても非常に有効だと考えられます。

現代の子供は不正咬合になりやすい生活環境にある

柔らかい食事やスマートフォンの多用など、現代の生活習慣が不正咬合のリスクを高めています。

現代の子供は不正咬合になりやすい環境にいます。

生活習慣の変化による影響

  • 柔らかい食事の増加で咀嚼回数が減少
  • 顎の発達不足により歯並びが乱れやすい
  • 姿勢不良や口呼吸なども影響

これらの要因は、親の世代とは異なる“新しい不正咬合”の原因です。
知らず知らずのうちに、子供の成長を妨げている可能性もあります。

早期矯正には多くのメリットがある

子供のうちに矯正を行うと、成長を利用した治療ができるため、抜歯や大がかりな治療を避けられることが多くなります。

子供の矯正は大人よりもメリットが多いです。

主なメリット

  1. 成長に合わせて自然な治療が可能
  2. 顎の成長をコントロールできる
  3. 抜歯の可能性を減らせる
  4. 大人になってからの矯正より短期間で済むことも

このように、子供のうちに始めることで、より体に負担の少ない矯正が可能になります。

親の審美意識・教育意識の高まりも影響

子供の将来を見据え、「歯並びが良いこと=自信や印象にもつながる」と考える親が増えたことも、矯正治療の増加に関係しています。

保護者の意識の変化が、子供の矯正の増加に影響しています。

親の意識変化の背景

  • 清潔感や第一印象の大切さに注目が集まっている
  • 欧米のように「歯並びの美しさは身だしなみ」と捉える価値観の普及
  • 「いじめ・コンプレックスの防止」の観点から矯正を考える保護者も

このように、教育や就職といった将来のライフステージも見据えて矯正を受けさせる親が増えています。

制度・技術の進化が治療のハードルを下げた

医療技術の進歩や、学校健診での早期発見により、矯正治療のハードルが下がっています。

技術と制度の進化が矯正治療を身近にしています。

背景にある要因

  • 目立ちにくい矯正装置(マウスピース型など)の普及
  • 学校健診での不正咬合の指摘が増加
  • 専門医の紹介がスムーズになった

また、地域によっては子供の矯正治療に一部助成金が出る自治体もあり、経済的なハードルも以前より下がってきています。

矯正装置の種類が増えて心理的な抵抗が軽減

目立たない装置や取り外し可能な矯正器具の登場で、子供も親も「矯正=恥ずかしい」というイメージを持たなくなってきています。

装置の進化で矯正への抵抗感が薄れています。

代表的な装置の種類

  1. ワイヤー矯正(表側) → 最も一般的。近年は細く目立たないものも
  2. 裏側矯正 → 装置が歯の裏側に付き、見た目ではわかりにくい
  3. マウスピース矯正 → 取り外し可能で透明。日常生活に影響が少ない

こうした多様な選択肢により、子供自身が矯正に対して前向きになりやすくなったことも、治療の普及に一役買っています。

子供の矯正治療が増えている6つの主な理由

理由 内容 説明ポイント
① 健康面の意識向上 噛み合わせや発音、呼吸の問題を予防したい 子供の「全身の健康」を考えた選択
② 現代的な生活習慣 柔らかい食事・姿勢不良・口呼吸など 顎の成長が不十分になりやすい環境
③ 早期治療のメリット 成長期に合わせた治療が可能 抜歯を回避できる・治療期間が短いことも
④ 保護者の意識変化 見た目・印象への意識が高まっている 自信や将来の就職にも影響するという考え
⑤ 医療制度・技術の進化 学校健診や目立たない装置の普及 治療開始のハードルが下がっている
⑥ 矯正装置の多様化 マウスピースや裏側矯正などの選択肢 子供自身の心理的抵抗感が減っている

学校健診と歯科医院のスムーズな連携が広がっている

学校での歯科健診で不正咬合を早期に発見し、保護者にスムーズに治療を促す体制が整ってきました。

学校と歯科医院の連携で、矯正開始までがスムーズに。

健診から治療までの流れが明確に

  • 学校健診で「不正咬合の疑いあり」と指摘されるケースが増加
  • 紹介状を通じて矯正専門医への受診が推奨される
  • 定期的な経過観察によって適切なタイミングでの治療開始が可能に

このように、学校と歯科医療機関の連携が強まったことで、親が矯正の必要性に気づきやすくなり、結果として治療を受ける子供が増えているのです。

まずは矯正歯科への相談から始めましょう

「うちの子に矯正は必要?」と迷ったら、まずは歯科医院で矯正のカウンセリングを受けることが大切です。

迷ったら、まず歯科医院に相談しましょう。

相談時のポイント

  1. 子供の歯の生え変わりのタイミング
  2. 噛み合わせや顎のバランス
  3. 日常生活で気になるクセ(口呼吸・舌のクセなど)

専門医の診断によって、「今すぐ必要か」「経過観察でよいか」など、的確なアドバイスを得ることができます。

まとめ

子供の矯正治療が増えているのは、単なる流行ではなく「将来を見据えた健やかな成長」を意識する親や社会の変化によるものです。

早期の対応で、治療負担が少なくなるだけでなく、子供の自信や健康、QOLにも大きく影響します。「気になるな」と思ったら、気軽に歯科医院に相談してみてくださいね。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。歯科医師免許取得後、医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

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