部分矯正を上下ともに行うことは可能でしょうか。部分矯正の治療についてご説明します。
目次
矯正を始める動機
- 上の前歯が下の前歯に比べて少し前に出ている(出っ歯・上顎前突)
- 前歯のガタガタや引っ込みが気になる(叢生)
- 前歯と前歯の間に隙間が空いているのが気になる(すきっ歯・空隙歯列)
- 下の前歯や顎が上の前歯より出ている(受け口・反対咬合)
- 八重歯がある(上顎犬歯の低位唇側転位)
- 上下とも前歯が出ている(口ゴボ・上下顎前突)
- 奥歯をきちんと噛み合わせると前歯が噛み合わない(開咬)
部分矯正の治療法
矯正治療には、全顎矯正(全体矯正)・部分矯正(MTM)と二種類があります。MTMは略称で、Minor Tooth Movementが正式名称です。矯正治療の費用はすべて保険適用外で自由診療となるため、医院によって料金の設定は異なります。
全顎矯正では大きく動かすため、小臼歯の抜歯をしてそのスペースを活用しますが、部分矯正ではスペースを作るために歯の大きさを削る処置を行います。これをストリッピング(ディスキング、スライス)と呼びます。
上下の部分矯正と全体矯正の違い
部分矯正とはどのような矯正治療法かについてご説明します。全顎矯正が、前歯・奥歯とも全ての歯に対して正しい位置へ動かすという治療法なのに対して、部分矯正は、部分的に気になる歯だけの歯並びを整える治療です。
- 重度や中程度の不正咬合の症例や、奥歯の噛み合わせも治療するならば全顎矯正
- 軽度の不正咬合の症例を治療するならば部分矯正
部分矯正の矯正装置
歯並びを整える為に装着する装置は、部分矯正でも全顎矯正でも同じで、下記の二種類を取り扱うクリニックが多いです。
- ワイヤー矯正
- インビザライン矯正(マウスピース型矯正)
ワイヤー矯正でも歯のどの位置につけるか等で大きく差があります。それぞれご説明します。
ワイヤー矯正(普通矯正)
- 歯の表側にブラケットという装置をつけ、そこに銀色のワイヤーを通す矯正治療法
- 治療期間が早く、他の矯正法と比較して安いのがメリットだが、審美性と言う点では目立つというのがデメリット
審美矯正(ホワイトワイヤー矯正)
- 歯の表側にブラケットという装置をつけ、そこに歯の色に近い白い色のワイヤーを通す矯正治療法
- 治療期間が早く、普通矯正より目立ちにくいのがメリットだが、近くで話すとワイヤーの装着が見えるのがデメリット ※当院ではホワイトワイヤーは別料金
裏側矯正(舌側矯正)
- 歯の裏側にブラケットという装置をつけ、そこに歯型に沿った銀色のワイヤーを通す矯正治療法
- 他人から装置が見えにくいのがメリットだが、オーダーメイドのワイヤーを海外で作製するため費用が高く、発音や発声に慣れるのに時間がかかるのがデメリット
マウスピース型矯正装置
一般的に人気のあるインビザラインは、患者さんご自身で取り外しが可能なマウスピース型の矯正装置です。人との食事前に外して通常通り噛むことができ、見た目で矯正しているとわかりにくい審美性も特徴の一つです。ただ、1日22時間の装着が必要で、装着時間を守らなければ歯の動きが遅く、治療期間が延びるデメリットがあります。
部分矯正を上下とも行うのは可能?
部分矯正の範囲という点では、1本や2本などほんの僅かな部分だけ治す矯正方法です。最高で8本の前歯の歯並びを治すことが出来ます。
- 1本だけ前へ出ている
- 1本だけねじれている
- 1本だけ奥へ引っ込んでいる
- 歯と歯の隙間が気になる
このようなことが上下で起こっているならば、上下とも部分矯正を行うことは可能です。部分矯正のメリットは、全顎矯正と比べて以下の点が挙げられます。
- 治療期間の短さ
- 費用の安さ
下の前歯は唇で隠れることが多く、他人からはあまり見えません。そのため、上の前歯は裏側矯正・下の前歯は表側矯正で治療をされる方もおられます。
まとめ
部分矯正を行いたいと思われる際は、質問などをしやすい担当医がいる・レントゲンや歯科用CTなどの環境の整った医院・通院しやすいなどを基準に、クリニックを選択しましょう。また、保定の期間もきちんとリテーナー(保定装置)を装着し、歯列が後戻りをしないようにしっかりと固定することも必要です。