裏側矯正

裏側矯正の虫歯のなりやすさはどう?

裏側矯正は虫歯になりやすい?なりにくい?

大阪矯正歯科グループ 歯科医師 松本 正洋

一般的に矯正装置を歯につけると、歯磨きがしにくくなって虫歯になりやすいといいますが、装置の種類によって虫歯のなりやすさは変わります。裏側矯正は意外や虫歯になりにくいので、ご説明します。

裏側矯正の潜在的なリスク

裏側矯正は、見た目を気にせずに歯並びを改善することができる素晴らしい方法です。しかし、それには適切なオーラルケアが不可欠であったり、裏側矯正ならではのリスクがいくつか存在しますので、ご説明します。

1. デンタルケアの難しさ

歯の裏側に装置があるため、歯ブラシでの清掃が表側の矯正よりも難しくなります。これが原因で、歯垢の蓄積が起こりやすく、虫歯や歯周病のリスクが高まる可能性があります。

2. 慣れるまでは違和感が強い

裏側矯正は、特に治療初期に舌の動きが制限されたり、舌が装置に触れることで、違和感や痛みを感じることがあります。これは、時間と共に減少しますが、最初の数週間は不快感を覚えることがあります。

3. 発音しにくい音がある

裏側矯正は歯の裏に装置をつけるため、舌を歯の裏側に当てて発音する「サ」「ザ」「タ」「ダ」「ナ」「ラ」等の音が発音しにくくなります。裏側矯正の場合、これらの音を出そうとすると必ず影響がありますので、違和感なく話せるようになるまで発音の練習をする必要があります。

裏側矯正は比較的虫歯になりにくい

歯の表側に矯正装置をつけるワイヤー矯正では、装置が付いている部分に歯垢がつきやすく、上手く歯垢が落とせないために虫歯になってしまうことがあります。

裏側矯正の場合は、歯の裏側に装置をつけますので、表側の矯正と同じように、歯の裏側に歯垢がたまり、歯磨きで落としにくいという状態になります。

しかし、歯の裏側は唾液の洗浄作用や殺菌作用が働きやすく、常に唾液で洗われている状態です。また、歯の裏側のエナメル質は、表側と比べると3倍くらいの厚みがあって、虫歯になりにくいといえます。

そのためワイヤー矯正と比べて、裏側矯正は虫歯になりにくいということになります。

装置の種類に関わらず、しっかりと歯磨きすることが大事

矯正装置によって虫歯になりやすい、なりにくいということはあるものの、基本的にはしっかりと歯磨きが出来ていれば、どの矯正装置を使っていても、虫歯のなりやすさ、なりにくさは変わりありません。

矯正治療中はどうしても装置のまわりに食べ物がひっかかったり、食べかすがたまりやすくなります。そのため、見えにくい場所は歯科用の小型のハンドミラーを使用して、磨いている部分を確認しながら歯磨きをしましょう。

裏側矯正の歯磨きはどうやるの?

歯の裏側に矯正装置が付くと、自分では見えないため、鏡の前で、小さな歯科用のミラーで歯の裏側を映しつつ、丁寧に磨いていきましょう。毎日の丁寧なセルフケアが、虫歯を出来にくくします。

矯正装置をブラッシング

裏側矯正では、歯の裏側に接着されているブラケット(ボタンのようなもの)を磨くつもりで、歯ブラシを動かしましょう。

ブラケット自体にも汚れがつきますし、ブラケットと歯の境目も汚れがたまりやすい場所です。

歯とワイヤーの間は歯ブラシを斜めに入れる

ワイヤーが通っているところ、つまり歯とワイヤーの間の部分は、歯ブラシの毛先が届きにくいため歯ブラシを斜めにして上から差し入れて磨いたり、逆に下から差し入れて磨いたりします。

歯と歯の間は、装置がついていなくても汚れがたまりやすいため、同じく歯ブラシを斜めに入れて、丁寧に磨きます。

あらゆる角度から歯ブラシを当てるようにしましょう。

歯と歯茎の境目も歯ブラシを斜めに入れて磨く

歯と歯茎の境目は、装置を付けていない人でも、歯垢がたまって炎症を起こして歯周ポケットが作られやすい場所です。歯周病や虫歯になりやすいので、日頃から丁寧に歯垢を除去しなければなりません。

装置をつけていると磨きづらいですが、歯ブラシの先を斜め45度に傾けて、歯茎の内部にも毛先が届くようにして磨きましょう。

裏側矯正の虫歯のなりやすさに関するQ&A

Q

裏側矯正はなぜ虫歯になりにくいのですか?

A

裏側矯正は虫歯になりにくい主な理由は、歯の裏側に装置をつけ、その部分が唾液で洗われることと、エナメル質の厚さにあります。歯の裏側に装置があると、唾液が洗浄・殺菌しやすく、エナメル質が厚いため、虫歯にくらべて発生しにくいといえます。

Q

裏側矯正をしている場合、歯磨きの注意点はありますか?

A

裏側矯正を受けている場合、歯磨きの注意点は、歯の裏側を確認しながら小さな歯科用ミラーを使い、毎日丁寧に磨くことです。装置のまわりに食べ物がたまりやすいため、セルフケアが虫歯予防に重要です。

Q

歯とワイヤーの間の歯磨き方法はどのように行うべきですか?

A

歯とワイヤーの間は歯ブラシの毛先が届きにくいため、歯ブラシを斜めにして上から差し入れて磨くか、逆に下から差し入れて磨く方法を用います。この箇所も丁寧に磨くことが必要です。

まとめ

歯のキャラクター

歯の裏側は表側よりもエナメル質が分厚いため、ワイヤー矯正(表側矯正)よりも虫歯になりにくいともいえます。しかし、虫歯になるかどうかは、セルフケアがしっかり出来るかどうかにかかっていますので、毎日の歯磨きを丁寧に行いましょう。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

▶プロフィールを見る