部分矯正

部分矯正は短期間で前歯が動くの?

部分矯正は短期間で前歯が動くの?

大阪矯正歯科グループ 歯科医師 松本 正洋

部分矯正は主に前歯を動かして歯並びの一部のみを整える治療で、短期間で治療が終了するのが特徴です。部分矯正が短期間で歯を動かせることについてご説明します。

部分矯正の基本知識

部分矯正の対象者

部分矯正は、特に前歯の軽い歯並びの乱れを持つ方や、一部の歯だけの限定的な矯正治療を受けたい方に適しています。

  • 前歯のわずかな重なり
  • 既に全体矯正を受けたが、一部の歯が再び動いてしまった
  • 特定の歯のみを速やかに治療したい

部分矯正の方法と種類

部分矯正には、主に以下の2つの方法があります。

1. マウスピース矯正

透明なプラスチック製のマウスピースを使用して、目立たずに矯正が可能です。取り外し可能なため、食事や歯磨きの際の不便がありません。歯をほんの少しずつ動かすため、他の装置と比べて痛みが少ない傾向があります。(※当院では主にインビザラインという装置を使用します)

2. ワイヤー矯正

ブラケットという小さな装置を歯に接着し、ワイヤーでつなぐことによって矯正力をかけて歯を動かします。金属製のブラケットは目立ちますが、セラミック製のブラケットなら、目立ちません。ホワイトワイヤーを選ぶことも出来ます。(※当院ではホワイトワイヤーは別途費用が必要)

3. 裏側矯正

ブラケットを歯の裏側に接着してワイヤーでつなぎます。(※当院では主にインコグニトという名前のオーダーメイドの装置を使用します)

矯正期間とその短縮の理由

部分矯正の魅力の一つは、矯正期間の短さです。実際に治療で動かして行く歯の数が少ないため、全体矯正に比べて治療期間を大幅に短縮できます。多くの場合、数ヶ月から1年程度で治療が完了し、保定期間に入ることが出来ます。

前歯は奥歯よりも早く動くの?

前歯と奥歯では歯の形が全く違っており、歯の根の数も違います。

前歯の歯根は1本だけですが、奥歯の歯根は2~4本あります。歯根の数の違いが、歯の動きやすさの違いに関係しています。

前歯の方が奥歯と比べて動きやすいので、主に前歯を動かす部分矯正の治療期間は、奥歯を動かす場合と比べて短期間になります。

前歯だけの部分矯正の治療期間は?

部分矯正では、主に前歯の気になる部分だけを動かして歯並びを改善します。歯を大きく動かすことがないため、部分矯正は歯全体を動かす全体矯正(全顎矯正)よりも治療期間が短くなります。

早い方で3ヶ月程度、長い方でも1年程度で治療が可能です。

部分矯正の中でも期間が違う理由は、元々の歯並びが比較的整っているかどうかによります。僅かなすきっ歯など、ほんのすこし歯を動かすだけの場合は、治療期間が短くなりますが、歯の重なりがある場合は、少し期間が長くなります。

【動画】お手軽にできる部分矯正とは?

歯はどのくらいの力で動くの?

矯正歯科治療では、歯に力をかけることで位置を動かしていきますが、強い力をかければ早く動くというものではありません。歯が動く時には、歯を支えている骨が溶けたり、新しい骨が出来たりといったことが起こっていますので、大きな力をかけ過ぎてはいけません。

前歯を動かすためには、100g~150g程度の力をかけます。そして、奥歯の場合は、200g~300gの力をかけるのが歯の移動のためには良いとされ、最適矯正力と呼ばれます。

歯が動きやすい人と動きにくい人ってあるの?

もっとも歯が動きやすいのは、成長期の子供です。歯の周囲の組織が柔らかいため、少し力をかけるだけで歯が動いてしまいます。

子供の時期に指しゃぶりや舌で歯を押す癖があると、出っ歯になりやすくなります。子供の歯は動きやすいため、ちょっとした癖で悪くなってしまう代わりに、矯正すれば治るのも早いです。

大人の場合は、健康で新陳代謝が活発な方は、骨が吸収されたり、新しく出来たりするサイクルが早くなり、歯がよく動きます。

部分矯正は短期間で前歯が動くのかに関するQ&A

Q

部分矯正はどのように短期間で前歯を動かすことができるのですか?

A

部分矯正は主に前歯を対象にしており、前歯は歯根が1本しかなく、奥歯は2~4本あります。そのため、前歯は奥歯よりも移動しやすいということがあげられます。また、部分矯正は歯全体を動かす必要がないため、治療期間が短くなります。

Q

歯はどのくらいの力で動くのですか?

A

歯を移動させる際の適切な力は前歯の場合には100g~150g程度であり、奥歯では200g~300g程度です。過度な力をかけると歯を支える骨に悪影響を及ぼす可能性があるため、適切な力を使用することが重要です。

Q

歯が動きやすい人と動きにくい人の違いは何ですか?

A

歯が動きやすいのは成長期の子供で、歯周囲の組織が柔らかく、歯が移動しやすい状態です。子供の歯は矯正が早く効果的です。大人の場合は、健康で新陳代謝が活発な方が歯がよく動きます。しかし、個人差があり、治療の進行速度に影響を与えます。

まとめ

歯のキャラクター

歯全体を動かす全体矯正が2~3年程度かかるのに対して、部分矯正は3ヶ月~1年程度で治療を終えることが出来ます。これは、部分矯正では主に前歯を動かし、前歯は奥歯よりも動きやすいということと、そもそも部分矯正では軽度の不正咬合しか治せないという理由によります。

部分矯正で治療が可能かどうかは、歯科医院で矯正のカウンセリングを受けて矯正担当医に診断してもらいましょう。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

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