出っ歯を治す前にまず出っ歯の原因である癖をなおすべき?

出っ歯を治す前にまず出っ歯の原因である癖をなおすべき?

大阪矯正歯科グループ 歯科医師 松本 正洋

出っ歯を自力で治すことは困難ですが、出っ歯の原因が口呼吸や舌で歯を押す癖である場合は、癖を治すことで出っ歯がこれ以上ひどくなるのを食い止めることが出来ますので、ご説明します。

目次

出っ歯の原因は?

出っ歯には様々な原因があります。そのうちのいくつかは癖によるものです。

  1. 親からの遺伝によるもの
  2. 舌で前歯を押す癖によるもの
  3. 指しゃぶりの癖によるもの
  4. 口呼吸の癖によるもの
  5. 柔らかいものばかり食べている
  6. 猫背である
  7. 親知らずによるもの

遺伝による出っ歯は矯正治療が必要

親からの遺伝で出っ歯になっている方の多くは、骨格性の出っ歯です。骨格性の出っ歯の場合は、上顎の骨が過成長して前に出ていますので、矯正治療で歯の向きを変えても、骨格まで大きく変えることは出来ません。

その場合は、セットバックと呼ばれる外科矯正の適用となり、顎骨を切って短くする手術を行います。当グループのカトレア歯科ではセットバックの日帰り手術を行っていますので、骨格性の出っ歯でお悩みの方は、こちらをご覧ください。

親知らずで出っ歯になる?

親知らずが生えてくる時には、他の歯を押しながら生えてきます。既に親知らずが生えるスペースがなかったり、親知らずが斜めに生えてきたり、水平になった状態で歯ぐきの中に埋まっていることもあります。

現代人は親知らずが斜めに生えているか、歯茎に埋まったままの人が多く、親知らずが真っ直ぐに生えてくる人は少ないといわれます。

親知らずが歯列全体を押しながら生えてくると、前歯が押されてガタガタになってしまう場合があります。その場合は、親知らずを抜歯するべきかどうか、歯科医院にご相談下さい。

癖を治すことで食い止められる出っ歯とは?

今の状態がかなり重度の出っ歯であれば、矯正治療をおすすめします。しかし、やや出っ歯に見える程度の軽度の出っ歯の場合は、癖を治せば、それ以上出っ歯になることを食い止めることが可能です。しかし、出っ歯を引っ込めたい場合は、癖をなおすと共に矯正治療が必要です。

前歯の裏を下で押す癖

無意識に前歯を舌で押しているかもしれませんので、舌が定位置であるスポットに当たっているかどうか、確認してみましょう。

正しい舌の位置は?

食事の時以外は、舌は「スポット」と呼ばれる位置に収めるようにしましょう。スポットは、上顎の前歯のつけ根よりもやや喉の奥側の、僅かなへこみのある所です。スポットを意識しながら舌全体を上顎にくっつけます。

舌で前歯を押すと、僅かな力であっても継続して押すことで、少しずつ出っ歯になってしまいます。そのため、舌で前歯を押す癖を治すことが大切です。

指しゃぶりの癖はないですか?

大人になっても指しゃぶりをする方はおられないと思いますが、2~3歳くらいのお子さんで指しゃぶりをしている場合は、癖を治さないと、永久歯が出っ歯になってしまいます。

指しゃぶりをすると、親指で上の前歯を前に押す力がかかるからです。

口呼吸の癖

鼻で息をせずに、常に口で息をしている状態を口呼吸といいます。口呼吸の方は、舌の位置が下に下がっていることが多く、舌や頬の筋肉が発達していないために上顎が小さく、舌が収まるだけのスペースがないために口が開いてしまうというケースもあります。

子供の口呼吸を改善する装置としては、マウスピース型の矯正装置があります。主に夜に装着して、昼間はほんの数時間付けるだけなので、お子さんにあまり負担をかけずに口呼吸を治すことが出来ます。

その他には、お口の周りの筋肉の動きを改善するためのガムを使ったトレーニングや「あいうべ体操」も効果的です。

まとめ

女性

出っ歯の原因には様々ありますが、癖によるものが多くありますので、まず出っ歯を引き起こすような癖がないかチェックし、出っ歯の原因になりそうな癖は治すようにしましょう。癖をそのままにしておいては、せっかく矯正治療で出っ歯を治したとしても、また出っ歯になってしまいます。

癖以外の原因で出っ歯になっている場合は、その原因によって治療方法が違ってきますので、担当医にご相談ください。