裏側矯正の装置は外れやすいの?

裏側矯正の装置は外れやすいの?

大阪矯正歯科グループ 歯科医師 松本 正洋

歯の裏側にワイヤー、ブラケット等の矯正装置をつける裏側矯正は、外れやすいと言われます。どういう理由で外れやすいのか、また気をつける点はあるのかについてご説明します。

目次

裏側矯正で装置が外れやすい理由

裏側矯正が表側矯正(ワイヤー矯正)と比べて装置が外れやすい理由は、以下の通りです。

1.装置の歯への接着面が狭い

歯の表側と裏側では、表側の方が面積が広いため、装置の接着面の広さの問題で、どうしても裏側矯正は装置が外れやすくなります。

また、前歯が重なっている場合は、接着面が極端に少なくなる場合があります。

ただし、当院ではインコグニトという装置を使用しており、インコグニトはオーダーメイドで患者さんの歯の形にぴったりと合わせた形のブラケットを作製し、接着面も広いため、装置の脱落は比較的少ないです。

2.ワイヤーに強い力がかかりやすい

ワイヤーとブラケットを使った矯正では、曲げられたワイヤーが元に戻ろうとする力を利用して歯を動かしていきます。

裏側矯正では表側矯正よりもワイヤー自体が短くなり、ワイヤーに強い力がかかるため、装置が引っ張られて外れやすくなります。

3.上の前歯の装置が下の前歯とぶつかってしまう

裏側矯正の装置を歯に付けて奥歯をギュッと咬むと、上顎の前歯の裏についている装置が、下顎の前歯とぶつかることがあります。その際に、噛んだ力によって装置が外れてしまいます。

それを避けるために、奥歯の咬合面に樹脂を盛って、歯の高さを少し上げる処置をします。しかし、噛んでいるうちに樹脂が削れてきて、再び上の前歯の裏の装置と下の前歯が当たって、装置が外れてしまいます。

そこで調整の時に矯正担当医が樹脂を奥歯に盛り足して、噛み合わせの高さの調節を行います。

装置が外れた時にはどうしたらいいの?

インコグニト

裏側矯正のブラケットが歯から取れてしまった時は、取れた歯が治療計画通りに動かなくなりますので、出来るだけ早く歯科医院に行き、装置をつけなおしてもらうようにしましょう。

当院で使用しているインコグニトという裏側矯正装置は、治療計画に従ってロボットがワイヤーを曲げ、一度に納品されてきます。

そのため、途中で装置の脱離が起こって歯が予定通りに動かない状態になると、その後の治療計画が狂ってくる可能性があります。治療期間のロスが発生しないよう、ブラケットが外れた時はなるべく早い来院をお願い致します。

ブラケットが外れやすいのはどんな人?

ブラケットが外れやすい人と、殆ど外れない人がいます。どのような場合にブラケットが外れやすくなるのかご説明します。

1.噛み合わせが深い

過蓋咬合

噛み合わせが深い過蓋咬合と呼ばれるタイプの不正咬合の方は、噛むと歯がブラケットに当たってしまうことが多いので、特に治療の初期段階でブラケットが外れてしまうことがあります。

2.硬いものを噛んでしまった

大豆

矯正治療を始めた後は、今までよりも柔らかいものを選んで食べるなどの工夫が必要です。もし、固い豆やお煎餅、果物などを噛んでしまった時に、ブラケットが外れてしまう場合があります。

3.歯ぎしり、噛みしめ、食いしばりがある

朝起きたら外れていた場合は、寝ている間に歯ぎしりをしている可能性があります。歯ぎしりによって歯が揺すられたり、上の前歯の装置に下の前歯が強く当たり続けたりすると、ブラケットが外れることがあります。

4.被せ物をした歯がある

セラミッククラウン

ブラケットは歯に接着剤で付けますので、被せ物によっては接着しにくく、ブラケットが外れやすくなることがあります。何度も同じ被せ物でブラケットが外れてしまう場合は、一時的に被せ物を外して仮歯にする場合もあります。

5.ブラケットの周りに汚れがついたままになっている

歯磨きがうまく出来てなくて、ブラケットの周囲に汚れがたくさんついている場合はブラケットが外れやすくなることがあります。歯磨きを丁寧に行うことで解決します。

まとめ

女性

何度か装置が外れると、その度に急いで歯医者に行くのは大変だと思います。しかし、そのまま次回の調整まで放っておくと、ブラケットが外れてしまった歯だけが動いていないという状態になりますので、出来るだけブラケットを付けなおすようにしましょう。