口ゴボは、前歯の傾きだけでなく、歯を支える歯槽骨や上下のあごの骨格が前方に位置していることで起こる場合があります。
そのため、矯正で改善しやすいケースと、セットバック手術などの外科的治療を検討した方がよいケースがあります。

口元が前に出ている「口ゴボ」が気になって、人前で笑うことに抵抗がある方は少なくありません。
中には、「矯正をすれば口ゴボは必ず治る」と思っていたのに、思ったほど引っ込まなかったという方もいらっしゃいます。
実は、矯正だけでは治りにくい「骨格的な口ゴボ」があります。
このページでは、口ゴボの原因と、矯正では限界があるケースに行うセットバック手術について、動画とイラストを使って分かりやすくご説明します。
この動画では、口ゴボの原因を「歯並び」だけでなく、前歯を支える歯槽骨やあごの骨格から解説しています。
矯正治療・セットバック手術・両顎手術の違いを比較し、どのようなケースでセットバック手術が選択肢になるのかを説明しています。
骨格的な口ゴボの場合、歯並びを整える矯正だけでは限界があり、
歯を支える骨ごと後ろに下げるセットバック手術という選択肢が生まれます。
「口ゴボ」は、口元全体が前に突き出して見える状態のことを指します。正面から見たときの口元のボリュームだけでなく、横顔で見たときのバランスにも大きく影響します。
原因は一つではなく、次のようなものが組み合わさっていることがほとんどです。
まずは、「歯だけの問題」なのか、「骨格の問題」なのかを見極めることがとても大切です。
一般的な歯列矯正で動かせるのは「歯の位置」が中心です。そのため、原因が前歯の傾きだけであれば、矯正だけで口ゴボが目立たなくなるケースもあります。
一方、歯を支えている骨(歯槽骨)自体が前に出ている場合は、歯だけを動かしても後退量に限界があり、思っていたほど口元が引っ込まないことがあります。
この動画では、口ゴボを矯正治療で改善する場合の限界や注意点について解説しています。
歯を支える歯槽骨の状態を確認せずに無理に歯を動かすと、歯根逸脱や歯根吸収などのリスクが生じることがあるため、CTなどによる正確な診断が大切です。
抜歯矯正などで前歯を後ろに下げても、歯を支える歯槽骨やあごの骨格が前方に残っている場合、鼻の下から口元にかけての膨らみ感が十分に改善しないことがあります。
また、骨格的な原因が強い口ゴボに対して無理に歯だけを後方へ動かそうとすると、歯根吸収や歯根逸脱など、歯や歯根に負担がかかるケースもあります。
矯正後も口元の突出感が残っている方は、歯だけの問題なのか、歯槽骨やあごの骨格が関係しているのかを、CTやセファロ分析などで確認することが大切です。
矯正では限界がある骨格的な口ゴボに対して行うのが、セットバック手術です。
セットバック手術では、前歯とそれを支える骨の一部をまとめて後ろに移動させます。歯だけでなく骨ごと後退させることで、口元のボリュームそのものを減らすことができます。
この動画では、上下セットバック手術における前歯部歯槽骨の変化について、実際の症例をもとに解説しています。
歯槽骨の後方移動だけでなく、傾きや上下方向の位置を調整することで、口元の突出感、フェイスライン、ガミースマイルの改善につながる場合があります。

セットバック手術を行うと、上唇・下唇ともに前方への張り出しが減り、横顔のラインがすっきりして見えるようになります。
特に、
が短くなり、口元のボリュームが減った印象になります。
この動画では、上下セットバック手術によって前歯部歯槽骨が後退することで、上唇・下唇だけでなく、鼻下から口元、あごの立ち上がりにかけての軟組織がどのように変化するのかを解説しています。
矯正治療では変化が出にくい部分も含めて、骨格の変化がフェイスラインに反映される仕組みを症例画像で説明しています。
骨格的な口ゴボやあごのズレが強い場合、ルフォー手術やSSRO(下顎枝矢状分割術)といった両顎手術が行われることもあります。
それぞれの術式には長所と短所があり、どの手術が適しているかは骨格の状態によって異なります。
| 歯列矯正 | セットバック手術 | 両顎手術 | |
|---|---|---|---|
| 主に動かす部分 | 歯の位置・傾き | 前歯と歯を支える前歯部歯槽骨 | 上あご・下あご全体 |
| 向いているケース | 前歯の傾きが主な原因の口ゴボ | 歯槽骨や骨格の前突が関係する口ゴボ | あご全体のズレや噛み合わせの問題が大きいケース |
| 口元の変化 | 歯の移動による変化が中心 | 骨ごと後退させるため、口元のボリューム改善を目指しやすい | 顔全体の骨格変化が大きい |
| 鼻下・あご周りの変化 | 変化が限定的になることがある | 鼻下から口元、あごの立ち上がりまで変化が出る場合がある | 骨格全体の移動により変化するが、設計により仕上がりが異なる |
| 噛み合わせへの影響 | 噛み合わせを整える目的で行う | 前歯部を中心に移動するため、奥歯の噛み合わせへの影響は比較的少ない | 上あご・下あご全体を動かすため、噛み合わせが大きく変わる |
| 検討時の注意点 | 骨格的な口ゴボでは後退量に限界がある | 外科手術のため、腫れ・痛み・しびれなどのリスクがある | 手術範囲が大きく、術前・術後矯正が必要になることがある |
| 当院での考え方 | 歯の傾きが主な原因の場合は矯正を検討します | 骨格的な口ゴボでは有力な選択肢になります | あご全体の骨格や噛み合わせの問題が大きい場合に検討します |
この動画では、上下セットバック手術と両顎手術の違いを、骨の移動範囲・噛み合わせ・オトガイの位置・前歯部歯槽骨の傾きという観点から比較しています。
両顎手術は大きな骨格変化が期待できる一方で、口ゴボの改善に特化する場合は、上下セットバック手術の方が適しているケースがあることを解説しています。
口ゴボといっても、原因や骨格の状態は一人ひとり異なります。

大切なのは、「ご自身の口ゴボが、どのタイプなのか」を正しく知ることです。
その上で、矯正がよいのか、セットバックがよいのか、あるいはその組み合わせがよいのかを一緒に考えていきます。
口ゴボは、矯正だけで改善できるケースもあります。
前歯の傾きが主な原因であれば、歯列矯正によって口元の突出感が目立ちにくくなる場合があります。一方で、歯を支える歯槽骨やあごの骨格が前方に位置している場合は、歯だけを動かしても十分に改善しにくいことがあります。
そのため、まずは歯の傾きだけの問題なのか、骨格的な口ゴボなのかを確認することが大切です。
はい、矯正後に口元の突出感が残っている方もご相談いただけます。
抜歯矯正などで前歯を後ろに下げても、歯槽骨やあごの骨格が前方に残っている場合、鼻の下から口元にかけての膨らみ感が十分に改善しないことがあります。
矯正後も口ゴボが気になる場合は、歯の位置だけでなく、歯根や歯槽骨、横顔のバランスをCTやセファロ分析などで確認することが大切です。
セットバック手術は、前歯と歯を支える骨の一部を後方へ移動し、口元の突出感の改善を目指す外科的治療です。
歯だけを動かす矯正治療とは異なり、歯槽骨を含めて移動させるため、骨格的な口ゴボに対して選択肢となる場合があります。上唇・下唇だけでなく、鼻の下から口元、あごの立ち上がりにかけてのボリューム感の変化を目指します。
セットバック手術は、主に前歯部の歯槽骨を後方へ移動する手術です。
一方、両顎手術は上あご・下あご全体を大きく動かす手術で、あご全体のズレや噛み合わせの問題が大きい場合に検討されることがあります。
口ゴボだけが主なお悩みの場合は、骨を動かす範囲や噛み合わせへの影響を考えながら、セットバック手術と両顎手術のどちらが適しているかを慎重に判断します。
CTやセファロ分析では、歯の傾き、歯根の位置、歯槽骨の厚み、あごの骨格、横顔のバランスなどを確認します。
口ゴボの原因が歯の傾きにあるのか、歯を支える骨やあごの骨格にあるのかを見極めることで、矯正治療が適しているのか、セットバック手術などの外科的治療を検討した方がよいのかを判断しやすくなります。
骨格的な原因が強い口ゴボに対して、歯だけを無理に後方へ動かそうとすると、歯や歯根に負担がかかることがあります。
歯槽骨の状態によっては、歯根逸脱や歯根吸収などのリスクが生じる場合もあります。矯正治療を検討する際は、歯がどの範囲まで安全に動かせるのかを確認することが大切です。
実際には、診察や検査を行い、歯・歯槽骨・あごの骨格の状態を確認した上で判断します。
前歯の傾きが主な原因であれば矯正治療で改善できる場合がありますが、歯槽骨や骨格の前突が関係している場合は、セットバック手術が選択肢になることがあります。
当院では、口元の突出感だけでなく、噛み合わせや横顔のバランスも含めて治療方法をご提案しています。
セットバック手術は外科手術のため、腫れ、痛み、内出血、しびれ、感染、後戻り、噛み合わせの変化などが起こる場合があります。
また、術後の経過や仕上がりには個人差があります。治療を検討される際は、メリットだけでなく、リスクや注意点についても事前にしっかり確認することが大切です。

執刀医:辻 和志
カトレア歯科・美容クリニック院長。医学博士・日本口腔外科学会認定医。
大学病院・総合病院の歯科口腔外科で、口腔内やあごの骨に関わる外科処置を経験してきました。
口ゴボ・出っ歯・受け口など、骨格的な口元のお悩みに対するセットバック手術、オトガイ形成、Vライン形成など、口元とフェイスラインのバランスを考えた輪郭形成を担当しています。