小児矯正

大人の矯正と子供の矯正の違いを教えて

大人の矯正と子供の矯正の違いを教えて

子供の矯正治療は、1期治療、2期治療の2つに分かれています。乳歯列期および混合歯列期の治療を「1期治療」といい、永久歯が全て生えそろった状態からの治療を「2期治療」といいます。1期治療は顎を大きく育てることが主な目的ですが、「2期治療」では顎の成長は終わっているため、歯をきれいに並べることが主な目的となります。また、大人の矯正治療と子どもの2期治療はほぼ同じ内容になります。

大人の矯正と子供の矯正の大きな違い

不正咬合の大きな原因の一つは、顎が小さくて全ての歯が並びきらずに重なったり斜めになったりするというものです。

子供はまだ成長期にあるため、子供の矯正では顎の骨を歯が並びきる程度に成長させることを目的としています。顎が十分に発育して入れば、歯は自然ときれいに並ぶものだからです。

子供の矯正では、一期治療と呼ばれる矯正治療で顎の骨の拡大をし、二期治療で実際に歯列を整えていきます。

片や、大人の矯正では、顎の発育はもう終わっていますので、今の顎の大きさに歯をきれいに並べることが目的となります。そのため、大人の矯正では抜歯をして、そのスペースを利用して歯を並べていく方法を取ることが多いです。

抜歯

大人の矯正治療と子供の矯正治療には、いくつかの重要な違いがあります。これらの違いは、年齢による生物学的な要因、治療の目的、および治療方法に関連しています。

成長と発達

1. 子供の矯正

・子供の顎骨は成長途中で柔軟性があり、顎の成長に合わせて矯正治療を行うことが出来ます。
・成長を利用して顎の過成長や劣成長などの異常を矯正することが可能です。
・永久歯の生える場所を誘導し、理想的な歯並びと咬み合わせを形成するための処置が行われます。

2. 大人の矯正

・大人の顎骨はすでに成長を終えており、もう大きくなりません。
・大人は成長を利用した治療は不可能なので、歯の位置の調整を主に行います。
・重度の出っ歯や受け口などで、骨格の問題がある場合、外科手術が必要になることがあります。

治療の目的

1. 子供の矯正

– 早期に治療を行うことで、将来的に複雑な矯正治療をする必要性を減らすことができます。
– 顎の成長を利用して、顎の骨格的な問題を予防または修正します。

2. 大人の矯正

・主に審美的な理由や、噛み合わせの改善を目的として行われます。
・顎関節症や歯周病など、大人になってから発生した問題への対処が必要なことがあります。

治療方法と期間

1. 子供の矯正

・顎の成長を利用するため、治療期間は比較的長くなることがあります。
・成長期の間に段階的に治療を行うことが一般的です。

2. 大人の矯正

– 成人の歯と顎骨はより固定されているため、治療には力を強くかける必要があります。
– 治療期間は子供より短いことが多いですが、成人の場合は歯周病などの他の口腔問題が影響することもあります。

### 審美性と快適性

1. **子供の矯正**:
– 一般的な金属製ブラケットやワイヤーが多く用いられます。

2. **大人の矯正**:
– 審美的な懸念から、目立ちにくい矯正方法(例:セラミックブラケット、リンガルブラケット、透明なマウスピース)が好まれることがあります。

### 総合的な考慮

– 子供の場合、保護者のサポートと指導が必要ですが、大人の場合は自己管理が重要です。
– 大人の治療では、歯周病や歯の摩耗など、年齢に関連する他の口腔問題を考慮に

 

子供の矯正の治療内容の特徴

子供の矯正の1期治療は、子供の顎骨などの成長を利用して、歯がきれいに並ぶように顎の大きさを整えるということを目的にしています。また、顎の歪みをなくしたり、将来抜歯しなくても永久歯がきれいに並ぶようになることも、子供の矯正の特徴としてあげられます。

顎骨の成長は12歳頃に止まりますので、顎骨へのアプローチはそれまでに終える必要があります。

1期治療(子供の矯正)

子供

乳歯列期および混合歯列期の矯正治療のことを「1期治療」といいます。「1期治療」は、子供が成長中で永久歯への生えかわり時期であり、顎骨の成長がすすむ時期に行うため、子供の発育を見ながら成長を利用して顎骨の発達を促進するような治療になります。

担当医にとっては治療中や治療後の成長予測が難しいのですが、いつどのような治療を行うべきかを慎重に判断しなければなりません。

1期治療は主に前歯の永久歯が生えたタイミングで行う場合が多く、1期治療を行うことで顎骨の成長が促され、2期治療で歯を抜かなくてもいいように、治療する程度が少なくてすみ、期間も短くなるように治療を進めていきます。

1期治療ではあごの成長コントロールを行いながら、歯や顎に大きな影響を与えるような習癖(指しゃぶり、舌癖)をやめるように促していきます。

子どもの1期治療に使用する装置

2期治療(子供の矯正)・大人の矯正

永久歯が全部生えそろった状態で始める矯正を2期治療といいます。治療内容としては、子供の2期治療と成人矯正は共に永久歯を扱いますし、歯並びを治すための装置も同じ種類のものを使用します。

子供の1期治療では顎の骨の成長に重点が置かれましたが、大人の矯正歯科治療(2期治療を含む)は、1期治療とは異なり、叢生などの歯を移動させ、歯並びの見た目の改善すると同時に、噛み合わせの機能の改善を目的に治療を行うことを特徴としています。

きれいな歯並びになることで、歯の重なりがなくなって歯磨きがしやすくなります。そのためお口の中の清掃性が向上し、虫歯・歯周病のリスクを低減することができます。また、歯並びをきれいにすることで、顔貌のバランスもよくなります。

子供の矯正(1期治療)のメリット

  • 子供の成長を利用して治療ができる
  • 2期治療での抜歯の可能性が減る
  • 横顔をきれいに整えることが出来る
  • 顎の歪みを抑制できる

子供の矯正をしないことのデメリット

  • 抜歯が必要になる可能性が高くなる
  • 成長が終わってしまうと受け口は治らないため、外科手術が必要な場合がある
  • 横顔はあまりきれいにならない場合がある

子供の矯正と大人の矯正の装置はどう違う?

子供の矯正装置

ムーシールド

ムーシールド

受け口の子どもに対しては、ムーシールドというマウスピース型の装置を使用します。受け口の治療は早く始めた方が治しやすく、3才から治療を行うことが出来ます。受け口を治さないまま大人になってしまうと、顎骨を切る外科手術が必要になる場合もあります。

受け口の原因は遺伝もありますが、舌の位置が低く口呼吸になっている場合もあります。マウスピースを入れることで舌の位置を矯正し、上顎にぴたりとつく正しい位置に導きます。

プレオルソ

プレオルソとT4K

同じく早期治療のためのプレオルソ、T4Kと呼ばれる装置もあり、こちらは受け口だけでなく、歯並びが悪い原因である骨格や、お口の周りの筋肉バランスを改善します。受け口(反対咬合)の場合は3~5才、顎が小さく永久歯が生えてくる隙間がない子供は6~10才位までが治療に適した期間となります。

プレオルソ・T4Kを使ったマウスピースでの治療は、昼間の1時間と、夜寝てる時にマウスピースをお口に入れるだけで歯並びを治します。診療の際にはお口の周りの筋肉を動かす簡単なアクティビティをする場合もあります。

プレート(拡大床)

小児矯正プレート

拡大床(プレート)は取り外しの出来る装置で、中心部分にネジがあり、そのネジを定期的に回して装置の幅を大きくしていくことで子供の顎を大きくしていきます。

着脱可能で痛みが少ないため子供への負担が少ない装置です。

急速拡大装置

急速拡大装置

急速拡大装置(Hyrax)は拡大床を固定式にしたようなタイプの装置で、上顎の拡大に使用します。上顎の4本の歯に固定して、中央のネジ部分を1日に1/4回転させて大きくすることで上顎自体の幅を横に広げて同時に歯列の幅も横方向に広げます。

永久歯がきれいに並ぶためのスペースが足りない場合に、顎を横方向に大きくします。固定式なので確実に顎を広げます。子供の場合はかなり早いペースで顎の大きさを拡げることが可能です。

インビザラインファースト

インビザラインファースト

インビザラインファーストは小児矯正用のマウスピース型装置です。マウスピースの装着時間は1日20時間以上と少々長めですが、歯列弓を拡大し、同時に歯並びも整えていきます。

大人の矯正装置

インビザライン(マウスピース型矯正)

インビザライン模型

人気のマウスピース型の装置で、スマートトラックと呼ばれる新しい素材で作られた透明なマウスピースを1週間程度毎につけかえて、少しずつ歯を動かしていきます。

歯にアタッチメントと呼ばれる突起をつけることで、動きにくい歯にも効果的に力を加えることが出来ます。マウスピースは1日22時間以上つけて頂く必要があります。

ワイヤー矯正

ワイヤー矯正

歯にブラケットと呼ばれるボタンのようなものをつけ、そこにワイヤーを通して歯を動かすための力をかけます。

当院のブラケットは白いセラミック製なので目立ちにくく、ワイヤーも白いもの(別料金)を使うことでより目立たなくなります。

インコグニト(裏側矯正)

裏側矯正インコグニト

歯の裏側にブラケットとワイヤーを取り付けるのが裏側矯正です。インコグニトは極力ブラケットを薄く歯に添わせた形でオーダーメイドされます。歯の裏側に装置をつけますので口腔内がやや狭くなり、装置を初めて付けた時は違和感を感じる方もおられます。

大人の矯正と子供の矯正の違いに関するQ&A

Q

大人の矯正と子供の矯正の主な違いは何ですか?

A

大人の矯正と子供の矯正の主な違いは、顎の発育段階と治療の目的です。子供の矯正は成長期に行われ、顎の成長を促進し、歯を並びきらせることが目的です。大人の矯正は顎の発育が終わっており、歯を既存の顎に整えることが目的です。大人の矯正では抜歯が一般的です。

Q

子供の矯正の1期治療は何を重点的に行う治療ですか?

A

子供の矯正の1期治療では、主に前歯の永久歯が生えたタイミングで行われます。この治療では顎骨の成長を促進し、将来的に歯を抜かなくてもいいようにすることが重要です。また、矯正中に習癖(指しゃぶり、舌癖)を改善するのも目的の一つです。

Q

子供の矯正の2期治療と大人の矯正はどう違いますか?

A

子供の矯正の2期治療と大人の矯正は、永久歯がすべて生え揃った状態で行われます。2期治療では歯列を整え、外見の美しさだけでなく、噛み合わせの機能も改善します。大人の矯正も歯を整える点では共通ですが、子供の2期治療よりも総合的な治療が含まれることが特徴です。

まとめ

歯のキャラクター

子供の矯正と大人の矯正の違いには、治療の目的や開始時期、装置の違いなどがあります。共に保険は適用されませんので、ご注意ください。大人と子供の矯正は大まかには年齢によって区分されますが、子供の成長スピードは個人差が大きいため、担当医にご相談ください。

大人と子供の矯正治療にはいくつかの違いがあります。

1. 大人の矯正治療の特徴
大人の矯正治療は子供の治療と異なります。大人の場合は包括的な治療や限定的な目標(補助的矯正治療)を持つことができます。補助的治療は一般歯科医の範囲内であり、歯周病や修復的ニーズを持つ大人の管理において非常に重要です。大人の患者の治療に関連する要因についての概要が提示されています。【Ho, 1994

2. 大人と子供の治療ニーズの違い
歯科矯正治療のニーズは、子供の人口ではよく評価されていますが、大人や若い大人の人口での国際的に認められた指標を使用した研究はほとんどありません。この研究は、スペインの若い大人の人口の矯正治療のニーズを、歯科美容指数(DAI)、矯正治療ニーズ指数(IOTN)、患者自身が認識するニーズを用いて決定しました。【Bellot-Arcís et al., 2012

これらの研究に基づき、大人の矯正治療は子供のそれと異なり、包括的なスコープを持つか、または限定的な目標を持つことができます。また、大人の治療は、一般的に補助的なアプローチを含むことが多いことが示されています。大人と子供の矯正治療のニーズには明確な違いがあり、治療の決定は、社会経済的、心理的要因、価値観、原則によって影響を受ける可能性があります。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

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