大人の矯正と子供の矯正の違いを教えて

大人の矯正と子供の矯正の違いを教えて

子供の矯正治療は、1期治療、2期治療の2つに分かれています。乳歯列期および混合歯列期の治療を「1期治療」といい、永久歯が全て生えそろった状態の治療を「2期治療」といいます。1期治療は顎を大きく育てることが主な目的ですが、大人の矯正では顎の成長は終わっているため、歯をきれいに並べることが主な目的となります。また、大人の矯正治療と子どもの2期治療はほぼ同じ内容になります。

大人の矯正と子供の矯正の大きな違い

不正咬合の大きな原因の一つは、顎が小さくて全ての歯が並びきらずに重なったり斜めになったりするというものです。

子供はまだ成長期にあるため、子供の矯正では顎の骨を歯が並びきる程度に成長させることを目的としています。顎が十分に発育して入れば、歯は自然ときれいに並ぶものだからです。

子供の矯正では、一期治療と呼ばれる矯正治療で顎の骨の拡大をし、二期治療で実際に歯列を整えていきます。

片や、大人の矯正では、顎の発育はもう終わっていますので、今の顎の大きさに歯をきれいに並べることが目的となります。そのため、大人の矯正では抜歯をして、そのスペースを利用して歯を並べていく方法を取ることが多いです。

子供の矯正の治療内容の特徴

子供の矯正の1期治療は、子供の顎骨などの成長を利用して、歯がきれいに並ぶように顎の大きさを整えるということを目的にしています。また、顎の歪みをなくしたり、将来抜歯しなくても永久歯がきれいに並ぶようになることも、子供の矯正の特徴としてあげられます。

顎骨の成長は12歳頃に止まりますので、顎骨へのアプローチはそれまでに終える必要があります。

1期治療(子供の矯正)

子供

乳歯列期および混合歯列期の矯正治療のことを「1期治療」といいます。「1期治療」は、子供が成長中で永久歯への生えかわり時期であり、顎骨の成長がすすむ時期に行うため、子供の発育を見ながら成長を利用して顎骨の発達を促進するような治療になります。

担当医にとっては治療中や治療後の成長予測が難しいのですが、いつどのような治療を行うべきかを慎重に判断しなければなりません。

1期治療は主に前歯の永久歯が生えたタイミングで行う場合が多く、1期治療を行うことで顎骨の成長が促され、2期治療で歯を抜かなくてもいいように、治療する程度が少なくてすみ、期間も短くなるように治療を進めていきます。

1期治療ではあごの成長コントロールを行いながら、歯や顎に大きな影響を与えるような習癖(指しゃぶり、舌癖)をやめるように促していきます。

2期治療(子供の矯正)・大人の矯正

永久歯が全部生えそろった状態で始める矯正を2期治療といいます。治療内容としては、子供の2期治療と成人矯正は共に永久歯を扱いますし、歯並びを治すための装置も同じ種類のものを使用します。

子供の1期治療では顎の骨の成長に重点が置かれましたが、大人の矯正歯科治療(2期治療を含む)は、1期治療とは異なり、叢生などの歯を移動させ、歯並びの見た目の改善すると同時に、噛み合わせの機能の改善を目的に治療を行うことを特徴としています。

きれいな歯並びになることで、歯の重なりがなくなって歯磨きがしやすくなります。そのためお口の中の清掃性が向上し、虫歯・歯周病のリスクを低減することができます。また、歯並びをきれいにすることで、顔貌のバランスもよくなります。

子供の矯正(1期治療)のメリット

  • 子供の成長を利用して治療ができる
  • 2期治療での抜歯の可能性が減る
  • 横顔をきれいに整えることが出来る
  • 顎の歪みを抑制できる

子供の矯正をしないことのデメリット

  • 抜歯が必要になる可能性が高くなる
  • 成長が終わってしまうと受け口は治らないため、外科手術が必要な場合がある
  • 横顔はあまりきれいにならない場合がある

子供の矯正と大人の矯正の装置はどう違う?

子供の矯正装置

ムーシールド

ムーシールド

受け口の子どもに対しては、ムーシールドというマウスピース型の装置を使用します。受け口の治療は早く始めた方が治しやすく、3才から治療を行うことが出来ます。受け口を治さないまま大人になってしまうと、顎骨を切る外科手術が必要になる場合もあります。

受け口の原因は遺伝もありますが、舌の位置が低く口呼吸になっている場合もあります。マウスピースを入れることで舌の位置を矯正し、上顎にぴたりとつく正しい位置に導きます。

プレオルソ

プレオルソとT4K

同じく早期治療のためのプレオルソ、T4Kと呼ばれる装置もあり、こちらは受け口だけでなく、歯並びが悪い原因である骨格や、お口の周りの筋肉バランスを改善します。受け口(反対咬合)の場合は3~5才、顎が小さく永久歯が生えてくる隙間がないお子さんは6~10才位までが治療に適した期間となります。

プレオルソ・T4Kを使ったマウスピースでの治療は、昼間の1時間と、夜寝てる時にマウスピースをお口に入れるだけで歯並びを治します。診療の際にはお口の周りの筋肉を動かす簡単なアクティビティをする場合もあります。

プレート(拡大床)

小児矯正プレート

拡大床(プレート)は取り外しの出来る装置で、中心部分にネジがあり、そのネジを定期的に回して装置の幅を大きくしていくことで子供の顎を大きくしていきます。

着脱可能で痛みが少ないためお子さんへの負担が少ない装置です。

急速拡大装置

急速拡大装置

急速拡大装置は拡大床を固定式にしたようなタイプの装置で、中央のネジ部分を1日に1/4回転させて大きくすることで上アゴ自体の幅を横に広げて同時に歯列の幅も横方向に広げます。

永久歯がきれいに並ぶためのスペースが足りない場合に、顎を横方向に大きくします。固定式なので確実に顎を広げます。

インビザラインファースト

インビザラインファースト

インビザラインファーストは小児矯正用のマウスピース型装置です。マウスピースの装着時間は1日20時間以上と少々長めですが、歯列弓を拡大し、同時に歯並びも整えていきます。

大人の矯正装置

インビザライン(マウスピース型矯正)

インビザライン模型

人気のマウスピース型の装置で、スマートトラックと呼ばれる新しい素材で作られた透明なマウスピースを1週間程度毎につけかえて、少しずつ歯を動かしていきます。

歯にアタッチメントと呼ばれる突起をつけることで、動きにくい歯にも効果的に力を加えることが出来ます。マウスピースは1日20時間以上つけて頂く必要があります。

ワイヤー矯正

ワイヤー矯正

歯にブラケットと呼ばれるボタンのようなものをつけ、そこにワイヤーを通して歯を動かすための力をかけます。

当院のブラケットは白いセラミック製なので目立ちにくく、ワイヤーも白いもの(別料金)を使うことでより目立たなくなります。

インコグニト(裏側矯正)

裏側矯正インコグニト

歯の裏側にブラケットとワイヤーを取り付けるのが裏側矯正です。インコグニトは極力ブラケットを薄く歯に添わせた形でオーダーメイドされます。歯の裏側に装置をつけますので口腔内がやや狭くなり、装置を初めて付けた時は違和感を感じる方もおられます。

まとめ

子供の矯正と大人の矯正の違いには、治療の目的や開始時期、装置の違いなどがあります。共に保険は適用されませんので、ご注意ください。大人と子供の矯正は大まかには年齢によって区分されますが、お子さんの成長スピードは個人差が大きいため、担当医にご相談くださいね。