よくある質問

矯正したのに後戻り。舌癖を改善するには?

矯正したのに後戻り!舌癖の改善

大阪矯正歯科グループ 歯科医師 松本 正洋

歯列矯正をしたのに後戻りして歯並びが再び悪くなってしまうということが稀に起こります。「子供の頃に矯正治療をしてきれいな歯並びになったのに、また歯並びが悪くなってきた」という方の中には、舌癖などの日常的なクセが原因の方もおられます。

矯正したけど後戻り。舌癖のせい?

矯正の治療後は歯列が元の位置に戻らないように、リテーナー(保定装置)を2~3年間つけて頂きます。リテーナーをつける期間は歯科医師によって様々ですが、平均すると2~3年間というケースが多いです。歯並びが戻ってしまうのを予防するために、もっと長い年数リテーナーをつけ続けることをおすすめする場合もあります。

矯正後に歯列が後戻りしてしまった方で多いのは、子供時代に矯正をしていたけれど大人になったら少しずつ歯が元に戻ってきたというケースです。 日常的な習慣の中に、歯の後戻りを引き起こす原因があって後戻りを起こした場合があります。今からご紹介する舌癖(ぜつへき)と呼ばれる悪いクセ、皆さんは行っていませんか?

舌癖が理由の後戻りは自分で治せるの?

後戻りした歯並びについては、自分自身で方法を見つけてなんとかしようとはせず、まず矯正歯科へ相談しましょう。ほんの小さな力でも、ずっとかかりつづけていることで歯が動いてしまうこともあります。

矯正のための費用が惜しいからと、患者さんご自身で強い力で無理やり歯や歯ぐきを押さえつけると、デメリットしかありません。歯がぐらついてきたり、歯髄と呼ばれる歯の神経を痛めてしまうトラブルを起こす可能性があるからです。

そのため歯並びの後戻りに気づいたら、必ず歯科医院を受診して保定装置を再作製してもらい、歯を正しい位置に戻す処置を受けましょう。 前歯数本が前に出てきたり、歯列がガタついたりという場合は、部分矯正を行えば再びきれいな歯並びに戻すことが出来ます。

https://www.osaka-kyousei.com/kyousei5.html

舌癖そのものを治す方法

舌癖があって歯並びに影響を与えている場合は、MFTと呼ばれる口腔筋機能療法というトレーニングを行うことも一つの方法です。毎日少しでも訓練を行う事により、舌癖を改善して、舌や頬の筋肉などを正常な位置へ戻して、歯並びに悪影響がないようにすることが可能です。

MFT(口腔筋機能療法)とは、舌癖を改善するために開発されたお口の周りの筋肉を鍛えるトレーニング方法です。 舌の位置を正しくすることで舌や唇の筋肉をしっかり使えるようになり、正しい飲み込み方や正しい発音が出来るようになります。その結果、舌で前歯の裏側を押すような癖がなくなり、歯並びを悪くしないということに繋がります。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/dokyo/13/1/13_KJ00007360800/_article/-char/ja/

舌癖とは?

舌で歯を押す癖 舌癖、ぜつへきと読みます。 本来存在すべき位置に舌がなかったり、常に舌で歯を押していたりして、歯並びに影響を与えます。

どのような癖が多いかと言いますと、気づかないうちに歯の間から舌が出る癖、舌を歯の裏側にぴったりつけて常に前歯の裏側から前へ押し続ける癖、口呼吸などで唇の締まりが悪いなどがあります。

舌癖は出っ歯や開咬などの原因になるだけでなく、発音にも影響を及ぼすと言われています。

舌癖の種類

  • 上の前歯を舌で押す
  • 下の前歯を舌で押す
  • 上下の歯を舌で押す
  • 歯の間から舌を出す

無意識のうちにこのように舌で歯を押し続けると歯の位置が移動して、結果として悪い歯並びになってしまいます。

舌癖の原因

指しゃぶり

指しゃぶり 指しゃぶりをしている時は、指を上顎につけて舌を指の下につけた状態になります。これによって舌の筋肉のバランスが崩れ、ツバの飲み込み方もおかしくなります。

親の悪い癖を真似る

親の悪い癖をまねる 親が口を開けてテレビを見たり、食事の時に音を立てていたりすると、子供は親のしていることをそのまま真似て悪い習慣を覚えてしまいます。

唇を噛んだり吸ったりする癖

常に唇を噛んだり吸ったりしていると、舌の位置がおかしくなります。

食べ物を噛まずに飲み込む

噛まずに飲み込む 噛まずに飲み込むと、舌がきちんと使われていない状態になります。離乳食が始まる時期におかしな食べ方を覚えてしまうと、それが習慣として身についてしまいます。

https://ir.tdc.ac.jp/irucaa/bitstream/10130/3121/1/98_137.pdf

お口の中での舌の正しい位置はどこ?

正しい舌の位置 写真の白い丸の部分がスポットです。 この丸の位置に舌をつけるようにすると、正しい位置に置くことが出来ます。 舌が前歯に触れないようにしながら上顎にぴったりと付くように置きます。

スポットの位置に舌をずっと置くのが難しい方は、日ごろから少し舌の位置が下がり気味になっています。今後はなるべく気を付けて、舌を上顎のスポットの位置につくようにしましょう。 舌がスポットの位置にあると、舌の力で歯を押して歯列を乱すことはありませんし、唾液の蒸発を防いで免疫を強化することに繋がります。

矯正後に後戻りする原因の舌癖を改善に関するQ&A

Q

矯正後に歯列が後戻りする原因は何ですか?

A

矯正後に歯列が後戻りする原因の一つは、舌癖と呼ばれる舌の癖で歯を押していることです。舌が正しい位置にないことによって、歯の位置が移動してしまうためです。

Q

舌癖が原因の後戻りは自分で治せるのですか?

A

舌癖が原因の後戻りについては、自己治療ではなく矯正歯科の専門医に相談することが重要です。無理な力で歯を押さえつけることは逆効果であり、歯を傷つける可能性があります。

Q

舌癖を改善する方法はありますか?

A

舌癖を改善する方法として、口腔筋機能療法(MFT)というトレーニングがあります。MFTは舌や周囲の筋肉を鍛えることで、舌癖を改善し、正しい舌の位置や飲み込み方、発音を促進します。矯正歯科で行われることが多い方法です。

まとめ

歯のキャラクター

 今回は、舌癖が原因で矯正した歯並びが後戻りする場合があるということをお伝えしました。せっかく矯正治療を続けて正しい位置に歯を移動させても、少しの悪いクセで元の不正咬合に戻ってしまうことがあるので注意が必要です。

自分にも舌の癖があると思われた方は、できるだけ改善するように注意すると、歯並びの悪化を防ぐことができます。 また、矯正治療後の歯列の後戻りには他の原因もあります。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

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