矯正で後戻りした時の4つの原因

矯正で後戻りした時の4つの原因

矯正治療を終えて綺麗な歯列を手に入れたのに後戻りしてでこぼこしてきたというご相談を頂くことがあります。後戻りをした方の多くは矯正治療後にきれいな歯並びを保つための保定装置(リテーナー)をいつの間にか使わなくなってしまったということがわかっています。

後戻りをすると矯正歯科に再度通院し、再治療を行わなければなりません。後戻りの原因はそれ以外にあるのか、後戻りを防ぐにはどうすればいいかをご説明いたします。

矯正の後戻りとは?

矯正治療を終えた後は、今までの装置を外して保定装置というものをつけて頂く保定期間に移行します。

装置が外れたら矯正は終わりだと思われるかもしれませんが、実はきれいな歯並びを保つためには保定期間が大変重要で、保定を怠ると治療前の元の歯並びに少しずつ戻っていってしまいます。

矯正したのに後戻り!?これを「矯正の後戻り」と呼んでいます。

出っ歯(前突)、八重歯やガタガタ(叢生)、受け口、開咬、過蓋咬合、すきっ歯、ガミースマイルなどの不正咬合のお口の状態を、ワイヤーやインビザラインを長い期間つけることでせっかく治したのに、綺麗な歯並びを保てずに元に戻ってしまっては悲しいですよね。

心理的ショック以外にも、高い費用がかかる自費診療に当たりますので、費用の問題、また再治療の為にクリニックへの来院を行う時間的問題も発生します。

矯正の後戻りの原因その1。リテーナー装着を怠った事

リテーナーをつけ忘れないように

ワイヤーによる歯列矯正を未成年の頃に行った方が、歯が動いてしまい、15年経って歯並びに凸凹が出来たという記事が雑誌に掲載されました。叢生なので、この方は歯を並べるスペースを得るために抜歯矯正をされたと思いますが、なぜこのような悪い歯列に戻ってしまったのでしょうか。

せっかく矯正歯科に通院して歯列矯正を頑張ったのに、歯列が後戻りしてしまう一番多い理由は、リテーナーと呼ばれる保定装置の使用を怠ったという事です。リテーナーには固定式と取り外し式のものがあり、ここでいうリテーナーは後者の方です。

動的治療と専門的に呼ぶ歯を動かす治療を終えたら、次は、きれいになった歯並びを安定させ、維持するリテーナーの装着期間が必要です。この期間を保定期間と呼びますが、リテーナー装着を怠ると、後戻りのリスクが格段に高くなります。ブラケットやマウスピースでの矯正を終了して約1年位は、骨(歯槽骨)の中で歯が固まっていない為、リテーナーがないと動いてしまうのです。つまり、矯正治療によって見た目はきれいになっても、歯が骨の中で定着するまで時間がかかるという事ですね。

矯正の後戻りの原因その2。歯並びを悪くした原因である舌癖等がまだ残っている

保定装置をしっかりと装着していたけれど、後戻りをした方の場合は、次のような事が考えられます。

頬杖、指しゃぶり等のクセが歯並びを悪くする歯並びを悪くする原因がまだお口の環境で残っている場合です。頬杖やうつぶせ寝、横に向いて寝るなどの癖がある方、噛む力が大きい方、親知らずが横向きに生えているなどに心当たりはありませんか。
お子様の場合はこれらの項目以外に指しゃぶりも後戻りの原因として挙げられます。

お口の癖がある方のケースでは、舌を前に押し出したり、頬杖を突いたりという事で歯を前に動かしてしまうのです。後は、子どもの患者さまのみでしょうが、指しゃぶりをしていると、指が前歯を押して出っ歯になってしまいます。悪い癖=悪癖については下記のリンクをご参照くださいね。

噛む力が大きいケースでは、歯はもともとわずかに前に傾いて生えているため、力がかかると前に動いてしまいます。

親知らずが骨の中で横に生えている方のケースでは、歯はどうしても生えてこよう(萌出しよう)とする性質なので常に親知らずが前方へ動こうとする力が働いて、前歯がガタガタになる症例が多いのです。

矯正したのに後戻り!舌癖の改善
歯列矯正をしたのに後戻りして歯並びが再び悪くなってしまうという...

矯正の後戻りの原因その3。親知らず

親知らずの生え方のタイプ

子供時代に矯正治療をされた方で、大人になってから親知らずが生えてくることがあります。親知らずが斜めや横向きに生えて他の歯に常に力をかけるような状態であると、親知らずに押されて歯並びが悪くなり、後戻りの原因となります。

成人矯正では矯正治療の前に親知らずの抜歯をすすめられることが多いと思いますが、それは将来的に親知らずが原因で歯列の後戻りが起こる可能性があるからです。そうならない為に、先に親知らずを抜歯します。

ただ、親知らずを抜歯した場合としなかった場合で、歯並びに差はなかったという論文が発表されており、親知らずが歯列に及ぼす影響の科学的根拠については、歯科医師の間でも意見が分かれるところです。

矯正の後戻りの原因その4。加齢による歯並びの変化

シニア

加齢による変化は身体だけでなく口腔内にも起こってきます。

・歯と歯の隙間に食べ物が詰まりやすくなった
・歯と歯の間や、歯と歯茎の間がデコボコしてきた
・歯が黄色く見えるようになってきた
・歯茎が痩せて歯が長く見えるようになってきた

このような加齢に伴う歯肉の退縮や歯の移動は、どなたにも多少は起こってきます。一般的に歯は加齢によって前方に動く傾向がある為、若いころはきれいに並んでいた前歯が少し重なってきたという歯の移動が起こりがちです。このような加齢変化も後戻りの原因となります。

矯正で後戻りした場合どうすればいいの?

リテーナー

後戻りの原因として、前述した舌の癖などがある場合は、まずこれをなおすことが必須となります。
原因となる癖をなおした上で、後戻りには2つの対処法があります。それは「再治療」と「リテーナーを今から使用する」という手段です。

リテーナーを紛失してしまった方は、通院されていた歯科医院のドクターやスタッフにご相談くださいね。有償ですが、担当医による診療を行ったうえで、新しいリテーナーの再作製は可能と思います。

リテーナーを無事に手に入れられたら、装着時の注意点に気を付け、装着時間をしっかり守りましょう。

リテーナーにはどんな種類がある?

リテーナーには固定式と可撤式(取り外し可能)の二種類があります。

固定式のリテーナー(固定式保定装置)

固定式のリテーナー

固定式で有名なリテーナーはフィックスリテーナーというものです。細いワイヤーを歯の裏側に専用の接着剤で付けて歯を保定します。固定式ですのでご自身では外せません。そのため後戻りに対しての抑止力が強く、後戻りしやすい前歯にこれを長くつけることが好ましいです。

一方で小さなものとはいえ、歯の裏に装置をつけますので、しっかりブラッシングをしないと虫歯や歯周病になりやすい環境になります。定期的に歯科医院で歯のクリーニングを受ける必要があります。

取り外し式のリテーナー(可撤式保定装置)

リテーナー

可撤式で有名なリテーナーは、ベッグタイプ、ホーレータイプ、ソフトリテーナーというものがあります。ベッグタイプ、ホーレータイプ(床タイプ)は、ワイヤーで表側から歯を抑え、舌側は透明なプラスチックで、着脱が可能なものです。

これらのリテーナーは食事や歯磨きの際に取り外しが可能なので、お口をより清潔に保てるということがメリットです。厚みがあり慣れるまでは喋りにくいこととワイヤーが人から見えることがデメリットです。

取り外し式のリテーナー

後は、ワイヤーではなくマウスピース型のクリアリテーナー(別名:インビシブルリテーナー・トゥースポジショナー)も良く使われています。取り外し式のリテーナーは患者さんご自身に装着を積極的に行っていただく必要があります。

後戻りの再治療について

「綺麗な歯並びをもう一度手に入れたい」と再治療を選択する方は、どのような治療法があるのでしょうか。

一度矯正治療を受けておられるので、後戻りしたと言っても、治療前の状態というわけではないと思います。少しの不正咬合を治すためには、部分矯正を行います。部分矯正なら全顎矯正と比べて費用と治療期間が少なく済み、早い方で3ヶ月程度で歯並びがきれいになります。

部分矯正に使う矯正装置は、ワイヤーとブラケットによる歯列矯正、マウスピース型矯正装置による歯列矯正が考えられます。周囲の人に気づかれにくい審美性でインビザラインを選択される方や、安くていい表側からのワイヤー矯正、ホワイトワイヤーで遠くからわかりにくいワイヤー矯正、歯の裏側にブラケットを装着するインコグニト(舌側矯正)など、種類があります。

以前に治療を受けた矯正歯科に相談して頂くのが一番の近道です。当時の担当医に不満がある場合は、いくつかの医院で矯正のカウンセリングを受け、セカンドオピニオンを得た上で、一番納得のいく歯科医院を選んで治療を受けられると良いと思います。

まとめ

いかがでしたか。今回は「矯正で後戻りする4つの原因と対処法」についてご紹介いたしました。矯正治療が終了しても保定期間中にリテーナーをしっかり装着することを怠らなければ、後戻りの確率が低くなります。

保定期間も大切な治療の期間です。綺麗な歯列と正しい咬み合わせの状態をキープ出来れば、顎関節への負担が減ります。是非大切な歯の為にも、保定装置の使用をしっかりと行ってくださいね。