子供の矯正を途中でやめるとどうなる?

大阪矯正歯科グループ 歯科医師 松本 正洋

子供の矯正を途中でやめるとどうなる?

子供の矯正を途中でやめると、歯並びが元に戻る「後戻り」や、噛み合わせの乱れ、虫歯・歯周病リスクの増加などが起こる可能性があります。
ただし、転勤や留学、習い事、部活などの事情で通院が難しくなることは珍しくありません。大切なのは、自己判断で通院を止めてしまうのではなく、まず担当医に相談し、転院や一時中断、保定装置の使用など、できる対策を確認することです。

子供の矯正は、あごの成長や永久歯の生え方を見ながら進める治療です。そのため、途中でやめるタイミングによっては、せっかく広げた歯列や整えかけた噛み合わせが安定せず、将来的に再治療が必要になることもあります。

この記事では、子供の矯正を途中でやめた場合に起こりやすいこと、治療再開の考え方、中断する理由別の対応、費用面の注意点についてわかりやすくご説明します。

この記事はこんな方に向いています

  • 子供が矯正装置を嫌がっていて、続けるべきか悩んでいる方
  • 転勤・留学・進学などで通院が難しくなりそうな方
  • 子供の矯正を途中でやめると、歯並びにどんな影響があるのか知りたい方
  • 治療を中断したあと、再開できるのか不安な方
  • インビザライン・ファーストやワイヤー矯正の費用精算について気になっている方

この記事を読むとわかること

  1. 子供の矯正を途中でやめた場合に起こりやすいデメリット
  2. 後戻りや噛み合わせの乱れが起こる理由
  3. 転勤・留学などで通院できなくなった場合の対応方法
  4. 子供本人が矯正を嫌がる場合に考えたいポイント
  5. 治療再開や費用精算について知っておきたい注意点

 

子供が矯正を途中でやめる場合のデメリット

子供が矯正を途中でやめる場合のデメリットの図解

子供の矯正を途中でやめると、まず起こりやすいのが「後戻り」です。矯正で動かした歯や広げた歯列は、治療途中ではまだ安定していないため、装置を外したままにすると少しずつ元の位置へ戻ることがあります。

また、歯を動かしている途中で中断すると、一時的に噛み合わせが不安定な状態で止まってしまう可能性があります。その結果、食べ物を噛みにくい、特定の歯に負担がかかる、顎に違和感が出るなどのトラブルにつながることもあります。

さらに、固定式の装置をつけたまま通院をやめてしまうと、装置の周囲に汚れがたまりやすくなり、虫歯や歯ぐきの炎症のリスクも高まります。

デメリット 起こりやすいこと
後戻り 動かした歯や広げた歯列が元に戻りやすくなる
噛み合わせの乱れ 歯が中途半端な位置で止まり、噛みにくさが出ることがある
虫歯・歯肉炎 装置周囲に汚れが残り、口腔内環境が悪化しやすい
再治療の可能性 再開時に一から検査や治療計画が必要になる場合がある

子供の矯正は、あごの成長や永久歯の生え方を見ながら進める治療です。途中でやめたい事情がある場合でも、自己判断で中断するのではなく、まず担当医に相談し、保定装置の使用や転院などの方法を確認することが大切です。

子供の矯正を途中でやめるた場合に治療再開は出来る?

子供の矯正を途中でやめた場合でも、将来的に治療を再開することは可能です。ただし、以前の治療の続きからそのまま再開できるとは限りません。矯正を中断している間に、歯並びが後戻りしたり、あごの成長や永久歯の生え方が変化したりするため、再開時には改めて検査を行い、現在のお口の状態に合わせた治療計画を立て直す必要があります。

特に子供の矯正は、成長のタイミングを利用してあごのバランスや歯が並ぶスペースを整える治療です。そのため、中断期間が長くなると、1期治療で得られるはずだった効果が十分に活かせない場合もあります。

中断後の状況 再開時に考えられる対応
短期間の中断 状態によっては、調整後に治療を再開できることがある
後戻りがある 再検査を行い、新しい治療計画を立て直す必要がある
永久歯が生えそろっている 2期治療としてワイヤー矯正やマウスピース矯正を検討する
転院して再開する 紹介状や過去の資料を持参すると診断の参考になる

治療再開を考えている場合は、以前の装置を自己判断で使い続けるのではなく、必ず矯正歯科で相談しましょう。少し厳しい言い方をすると、「前に途中までやったから大丈夫」と考えるのは危険です。再開時のお口の状態を正しく確認することが、無駄な治療期間や費用を増やさないためにも大切です。

子供の矯正を途中でやめる場合によくある原因とは?

子供の矯正を途中でやめる場合、原因がどういうものかによって大きく異なります。

転勤や留学で矯正治療を途中でやめた場合

ご両親の転勤でもしくは留学や進学などで他の都道府県に引っ越しをする場合、治療の為に子供が歯科医院への通院をし続ける事が難しくなります。この場合は治療を“途中でやめる”というよりも、“途中でやめざるを得ない”という表現が正確でしょう。

数年単位で引っ越しをされるご職業などもありますので、治療が終了間際でない限りは、他の歯科医院に転院を行うか、治療をやめるかの選択になります。ドクターやスタッフに事情を話して依頼をすれば紹介状を出してもらえるとは思いますが、転院先を患者さんご自身で探さねばならない場合もあり、転院先では新たに治療費が発生する可能性は高いと思われます。

子供の意思により途中でやめた場合

「子供が装置を嫌がる」「長い時間装着するのが難しい」という理由で治療を途中で断念されるケースは時々あります。

また、担当医による歯の動きのチェックやクリーニング、新しい装置(ワイヤーやマウスピース)の交換や調整により、一定間隔ごとに通院しなければいけない為、塾や習い事や部活などで忙しいという状況が重なり、治療を続けられなくなってしまうケースもあります。

子供の矯正とは

子供

子供の矯正の内容は2段階になっています。1期治療、2期治療と呼ばれるものです。

通常、1期治療の対象年齢は5歳位から11歳位までの乳歯と永久歯の混合歯列期、2期治療の期間は12歳以降の永久歯列期です。1期治療では、主に上下の顎のバランスを整え、歯列を広げて歯を並べるスペースを作る事を目的とします。その際に骨格に原因のある反対咬合のケースは上あごの発達を、上顎前突のケースは下あごの発達を促します。

子どもの1期治療に使用する装置

あごのバランスを上下整えると、お顔のバランスがより良くなりやすいというメリットがあります。1期治療に使用する器具は、固定式の拡大装置、急速拡大装置、拡大床、リンガルアーチ、上顎前方牽引装置、T4K、プレオルソ、インビザラインファーストなどです。前突・開咬・叢生・受け口・過蓋咬合、どのお口の状態に当てはまるかを歯科医師が診断し、最適の治療法を提案します。

2期治療は永久歯が全て生え揃ってから行います。1期治療である程度顎のバランスを整えていると、不正咬合でも永久歯の抜歯リスクを低くする事ができます。成人の方と同じような装置(ワイヤー、インビザライン)を全顎に装着し、歯並びや噛み合わせを正しくしていきます。

抜歯

途中でやめる場合、費用の精算はどうなる?

費用

矯正治療を途中でやめる場合の費用の精算については、クリニックの方針や、どの器具を装着しているかなどは、契約内容によってまちまちです。一例としては、ワイヤー・ブラケットで行っている方は、進捗具合に応じて途中精算を行う事が出来るケースがあります。

ただ、インビザラインなどのマウスピース型装置で行っている方は、返金対応が難しい場合がほとんどです。カウンセリング後の精密検査や型取り、全てのマウスピース(アライナー)を最初に作製しているからです。

まだお渡しできていないアライナーに関しては、全てお渡しする事は可能な歯科医院が多いと思います。ですが、その後引っ越し先の医院でこのアライナーで続きを行ってほしいと言っても、系列医院ではない限り、難しい場合があります。

治療を再開する場合、費用はどうなる?

子供の矯正を途中でやめたあとに治療を再開する場合、費用は「以前の治療費の続き」ではなく、新たに発生することが多いです。中断している間に歯並びや噛み合わせ、あごの成長状態が変わっているため、再開時には改めて検査や診断を行い、新しい治療計画を立てる必要があります。

特に別の歯科医院で再開する場合は、初診料・検査料・診断料・装置代などが新たにかかる可能性があります。以前の医院から紹介状や治療記録、レントゲン画像、使用していた装置の情報などをもらえる場合は、転院先での診断の参考になりますが、費用がそのまま引き継がれるとは限りません。

再開のケース 費用の考え方
同じ医院で再開する場合 契約内容や中断期間によって、追加費用や再検査費用が発生することがある
別の医院で再開する場合 新規治療として扱われ、検査料・診断料・装置代がかかることが多い
後戻りが大きい場合 治療計画の作り直しが必要になり、費用も増える可能性がある
マウスピース矯正の場合 アライナー作製後は返金が難しい場合が多く、再作製費用が必要になることもある

費用面で後悔しないためには、中断前に「返金の有無」「再開時の追加費用」「転院時の資料提供」「装置代の扱い」を確認しておくことが大切です。少し厳しく言うと、矯正は“やめたら一度リセット”になりやすい治療です。だからこそ、迷った段階で早めに相談することが、余計な出費を防ぐ近道になります。

子供の矯正を途中でやめたに関するQ&A

Q

子供が矯正治療を途中でやめる場合、どのようなことが発生する可能性がありますか?

A

途中で中断すると、歯の後戻り現象が起こり、歯の位置が元に戻る可能性があります。また、口腔衛生や噛み合わせに問題が生じる可能性もあります。

Q

矯正治療を途中でやめた場合、後で再開することは可能なのでしょうか?

A

途中でやめると、やめた時点から再開することは難しいです。新たな治療プランを検討し、再び治療を始める必要があります。

Q

転勤や留学によって矯正治療を途中でやめる場合、どのような選択肢がありますか?

A

転勤や留学によって治療が難しい場合、転院先を探すか治療を中断するかの選択になります。転院の際には新たな治療費が発生する可能性が高いことに注意が必要です。

まとめ

今回は「子供の矯正を途中でやめるとどうなるか?」という事についてご説明しました。治療を始める際には「最後までしっかり続ける」意思を子供にきちんと確認しましょう。なるべく転勤の時期を外して矯正治療を開始するか、または転院可能であることを治療前に確認しましょう。