小児矯正

子供の矯正を途中でやめるとどうなる?

子供の矯正を途中でやめるとどうなる?

親の転勤や習い事など、様々な理由で子供の矯正を途中でやめるとどんな事が起こるのか、ご説明します。

子供が矯正を途中でやめる場合のデメリット

子供の矯正治療を途中でやめる場合のデメリットについてご説明します。歯は必要な力をかければ動くものですので、途中でやめてしまうとせっかく矯正治療で動かした歯が、元の位置に少しずつ戻る「後戻り」が起こります。

ワイヤー矯正の装置を歯につけたままで治療をやめてしまうと、歯が動きすぎる、お口が不衛生になり易いという問題も起こります。本来の矯正治療は、歯並びがきれいになっても、その後の保定期間(リテーナーという装置で歯の位置を保持)をきちんと守らなければ、元の不正咬合の歯列に戻ります。

また、歯を正しい位置に動かしている途中でやめてしまうと、一時的に歯が噛み合っていない状態になっている可能性が高いため、噛み合わせに問題が起こり、顎関節症のリスクがあります。

後は、来院するタイミングで歯科衛生士によるクリーニングを受けていた患者さんは、次第に口腔内の環境が悪化し、虫歯や歯周病のトラブルを発症する可能性があります。

矯正を途中でやめる事になったが治療再開は可能?

全く歯並びの治療をせずに大人になった方と、子供の時に矯正治療を途中までやっていて大人になった方では、今後の治療期間や治療費に差はありません。治療を中断したポイントからの再スタートは出来ません。

矯正を途中でやめると、歯並びは徐々に元の不正咬合に戻っていく「後戻り」が起こります。つまり、矯正治療を再開する場合には、初めて歯並びの治療を検討された方と同じく、矯正相談や検査を行い、一から治療をスタートする必要があります。

子供の矯正を途中でやめる場合の原因

子供の矯正を途中でやめる場合、原因がどういうものかによって大きく異なります。

転勤や留学で矯正治療を途中でやめた場合

ご両親の転勤でもしくは留学や進学などで他の都道府県に引っ越しをする場合、治療の為に子供が歯科医院への通院をし続ける事が難しくなります。この場合は治療を“途中でやめる”というよりも、“途中でやめざるを得ない”という表現が正確でしょう。

数年単位で引っ越しをされるご職業などもありますので、治療が終了間際でない限りは、他の歯科医院に転院を行うか、治療をやめるかの選択になります。ドクターやスタッフに事情を話して依頼をすれば紹介状を出してもらえるとは思いますが、転院先を患者さんご自身で探さねばならない場合もあり、転院先では新たに治療費が発生する可能性は高いと思われます。

子供の意思により矯正治療を途中でやめた場合

「子供が装置を嫌がる」「長い時間装着するのが難しい」という理由で治療を途中で断念されるケースは時々あります。

また、担当医による歯の動きのチェックやクリーニング、新しい装置(ワイヤーやマウスピース)の交換や調整により、一定間隔ごとに通院しなければいけない為、塾や習い事や部活などで忙しいという状況が重なり、治療を続けられなくなってしまうケースもあります。

子供の矯正とは

子供

子供の矯正の内容は2段階になっています。1期治療、2期治療と呼ばれるものです。

通常、1期治療の対象年齢は5歳位から11歳位までの乳歯と永久歯の混合歯列期、2期治療の期間は12歳以降の永久歯列期です。1期治療では、主に上下の顎のバランスを整え、歯列を広げて歯を並べるスペースを作る事を目的とします。その際に骨格に原因のある反対咬合のケースは上あごの発達を、上顎前突のケースは下あごの発達を促します。

子どもの1期治療に使用する装置

あごのバランスを上下整えると、お顔のバランスがより良くなりやすいというメリットがあります。1期治療に使用する器具は、固定式の拡大装置、急速拡大装置、拡大床、リンガルアーチ、上顎前方牽引装置、T4K、プレオルソ、インビザラインファーストなどです。前突・開咬・叢生・受け口・過蓋咬合、どのお口の状態に当てはまるかを歯科医師が診断し、最適の治療法を提案します。

2期治療は永久歯が全て生え揃ってから行います。1期治療である程度顎のバランスを整えていると、不正咬合でも永久歯の抜歯リスクを低くする事ができます。成人の方と同じような装置(ワイヤー、インビザライン)を全顎に装着し、歯並びや噛み合わせを正しくしていきます。

抜歯

途中でやめる場合の矯正費用

費用

矯正治療を途中でやめる場合の費用の精算については、クリニックの方針や、どの器具を装着しているかなどは、契約内容によってまちまちです。一例としては、ワイヤー・ブラケットで矯正を行っている方は、進捗具合に応じて途中精算を行う事が出来るケースがあります。

ただ、インビザラインなどのマウスピース型装置で矯正を行っている方は、返金対応が難しい場合がほとんどです。カウンセリング後の精密検査や型取り、全てのマウスピース(アライナー)を最初に作製しているからです。

まだお渡しできていないアライナーに関しては、全てお渡しする事は可能な歯科医院が多いと思います。ですが、その後引っ越し先の医院でこのアライナーで続きを行ってほしいと言っても、系列医院ではない限り、難しい場合があります。

子供の矯正を途中でやめたに関するQ&A

Q

子供が矯正治療を途中でやめる場合、どのようなことが発生する可能性がありますか?

A

矯正治療を途中で中断すると、歯の後戻り現象が起こり、歯の位置が元に戻る可能性があります。また、口腔衛生や噛み合わせに問題が生じる可能性もあります。

Q

矯正治療を途中でやめた場合、後で再開することは可能なのでしょうか?

A

矯正治療を途中でやめると、やめた時点から再開することは難しいです。新たな治療プランを検討し、再び治療を始める必要があります。

Q

転勤や留学によって矯正治療を途中でやめる場合、どのような選択肢がありますか?

A

転勤や留学によって治療が難しい場合、転院先を探すか治療を中断するかの選択になります。転院の際には新たな治療費が発生する可能性が高いことに注意が必要です。

まとめ

歯のキャラクター

今回は「子供の矯正を途中でやめるとどうなるか?」という事についてご説明しました。治療を始める際には「最後までしっかり続ける」意思を子供にきちんと確認しましょう。なるべく転勤の時期を外して矯正治療を開始するか、または転院可能であることを治療前に確認しましょう。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

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