マウスピース矯正しながら運動してもOK?

マウスピース矯正しながら運動してもOK?

歯並びが悪くマウスピース矯正に興味をお持ちの方がおられても、運動を毎日行っている方は二の足を踏むということが多いです。今日はマウスピース矯正のまま運動を行えるかということについてご説明します。

矯正治療とは

矯正治療種類

矯正治療をご紹介いたします。種類としては、ワイヤーブラケットによる矯正と、マウスピース型装置による矯正と主に2つに分かれますが、歯科医院の治療方針や、歯科医師の専門分野により、取り扱っている装置が異なるケースがあります。

子供が乳歯の段階で行う矯正、混合歯列期に行う矯正、永久歯が生え揃い成人になってから行う矯正など、時期も様々ですが、今日は永久歯が生えそろってからの矯正という前提でご案内します。

まず、部分矯正や全体矯正(全顎矯正)など歯を動かす範囲によっても、料金は違います。全体矯正ではなく、部分矯正ならば時間は早く終わります。保険適用外のため、トータルフィー制度を導入している医院、都度管理費が発生する医院などクリニックごとに違いがあるとお考え下さい。

ワイヤー矯正の特徴

例えば、ワイヤーブラケットによる矯正はイメージが湧きやすいのではないでしょうか。ワイヤー矯正の種類も、銀色のワイヤーで歯の動きを促す普通矯正(表側矯正)、白色のワイヤーで歯の動きを促すホワイトワイヤー矯正、裏側にブラケットを装着する舌側矯正(インコグニト)があります。ワイヤー矯正は、マウスピース矯正より治療期間が短く済むことが多く、費用が安いというメリットがあります。特に、重度の出っ歯(前突)に向いています。

マウスピース矯正の特徴

現在、周囲の人に気づかれにくい矯正というニュースをSNSで見かけたことはありませんか。それがマウスピース矯正です。世界的シェアを誇っているマウスピース矯正は、インビザラインというカスタムメイドの矯正装置です。透明なプラスチックで、食事の度にご自身で取り外しが可能なためしっかりと噛むことができ、金属アレルギーの方にも向いています。ワイヤーに食べ物が詰まるなどの心配は必要なく、マウスピースによってはホワイトニングを同時に行えます。特に、歯列のガタガタ(叢生)の治療に向いています。

矯正したまま運動してもOK?

一般的には、運動を行わなくなったタイミング(例:部活動が終了しまもなく社会人になるタイミング)での歯列矯正をおすすめしますが、ワイヤーブラケットによる矯正装置のまま運動が可能かと言われれば、運動の種類により可能です。運動の種類によりと注釈がつく理由は、ワイヤーの端やブラケットが、唇やお口の粘膜や歯肉を傷つけてしまうからです。

ただし、アスリートの中には、表側の矯正を行って競技を続けている方もいらっしゃいます。東京オリンピックの水泳で金メダルを獲得された大橋選手は、ワイヤー矯正中です。推測ですが、矯正装置を覆うためのガードを装着されているか、ワックスをブラケットやワイヤー部分に接着して、運動をされていると考えます。

マウスピース矯正して運動できるスポーツとは

インビザライン装着

矯正治療中に運動を行いたい場合、マウスピース矯正ならばまだ可能性が高いです。尚且つ、口元に影響のない運動でしたら問題ありません。オリンピック競技で言えば、ゴルフやアーチェリー、射撃、身近なところではウォーキング、ランニングなどは他から影響を受けにくいと言えます。では、どのような運動ならばダメか具体的に挙げていきましょう。

顔にボールが当たるスポーツはNG

バレーボール、バスケットボール、サッカー、ホッケーなどは、特に顔にボールが飛んできやすい競技です。ボールが顔に当たると、衝撃が大きいので、マウスピース矯正でもおすすめできません。ボールの衝撃で矯正装置がずれてしまい、口腔内を切ってしまうことが考えられるからです。

体が当たるスポーツはNG

アメフト、ラグビー、ボクシング、柔道などは、体が強くぶつかる競技です。ボディコンタクトの多い競技については、上記と同様で口腔内のけがの恐れがあります。また、歯をぐっと噛みしめる事も多いため、噛みしめによりマウスピースの破損の危険性があります。

運動をするときの注意点

運動を行う際の注意点があります。患者様の歯にぴったりと沿ったマウスピースを作製しても、スポーツ用のマウスピースと強度が違います。矯正を行うためのマウスピース装置であり、口元を噛みしめる強い力に対応できるマウスピース装置ではありません。その点を念頭に置きましょう。

また、マウスピース矯正は、歯に沿ったマウスピースなので、唾液の自浄作用が歯には届きません。つまり、普段よりも虫歯になりやすいというデメリットがあります。運動を行うと体のみではなく精神面も緊張が増すので、緊張が増すと唾液の分泌が減り、ますます口腔内の虫歯リスクが上がります。

食後の歯磨きはマウスピース矯正を行ううえで重要です。歯ブラシだけでなく、フロスや歯間ブラシを使用しましょう。

飲み物を飲むときに注意しよう

通常、運動をすると汗をかきますので、水分補給が必須です。水ではなく、スポーツ飲料で水分補給をされる人が多いですが、スポーツ飲料は糖分や酸が多い飲み物です。虫歯予防、着色予防の点からも、マウスピースを装着しながら飲む場合は、水を飲むようにしましょう。マウスピースを外して飲む場合は、スポーツ飲料でも構いませんが、必ず飲んだ後に口をゆすぐか、歯磨きなどのオーラルケアを行ってください。

まとめ

歯のお悩みは千差万別です。受け口(反対咬合)、上と下の歯に隙間がある(開咬)、咬み合わせが深い(過蓋咬合)、すきっ歯(正中離開)などお悩みを抱えていて、運動をされるという方も一定数いらっしゃると思います。歯並びや噛み合わせが改善すると、パフォーマンスが上がるということも言われています。カウンセリングで歯のお悩みがある方はスタッフやドクターに質問し、相談してみましょう。