隙間が空いている歯並びの方が、歯科矯正を行うと綺麗な歯列になるのか、後戻りしないのか、今日はこの点についてご紹介いたします。
目次
矯正で治せるすきっ歯とは
すきっ歯と聞いても、ピンとこない方が多いかもしれません。一般的にすきっ歯とは、上下の歯列のいずれかの歯と歯の間に隙間が空いている状態の不正咬合です。専門的には空隙歯列(くうげきしれつ)、特に、前歯同士の歯間に隙間があることを正中離開(せいちゅうりかい)と呼びます。
昔の日本の迷信で正中離開は、幸せやお金が逃げていくと言われていました。特に前の歯の隙間は見栄えの面で周囲の人に気づかれることが多く「大きな口を開けて笑えない」と手でお口を隠すように笑う方、食事中に食べ物が詰まりやすい方も多いです。
遺伝や先天性による原因
このようなすきっ歯になる方は、遺伝や先天性による原因が多くを占めます。
歯が少ない場合
乳歯の場合は20本、12歳頃に全て生え変わる永久歯は28本が通常の歯の本数です。これに親知らずを含めると最大32本となりますが、親知らずが生えない方や親知らずを抜歯を行う方もおられるため、永久歯は28本となります。
通常よりも歯の本数が少ないケースを欠損歯と呼びます。欠損歯の方は、歯列にスペースが余るため、すきっ歯になりやすいです。
歯が小さい場合
歯の大きさが他の方よりも小さく生えてしまうケースを矮小歯と専門的に呼びます。矮小歯の方も、欠損歯と同様にスペースの余剰があるため、すきっ歯になりやすいです。
歯が多い場合
特に前歯がすきっ歯の方で多いのが、歯が多いケースで、専門的には過剰歯と呼びます。過剰歯が原因の前歯のすきっ歯の場合、正中埋伏過剰歯と言います。
歯茎の下には歯槽骨がありますが、その中に小さな過剰歯が前歯と前歯の歯根の間にあることで、隙間が空いてしまうことに起因します。過剰歯かどうかにつきましては、歯科医院でレントゲン撮影などの検査を行い、抜歯を行わないと治療ができません。
癖がある場合
●舌で前歯を押す癖
●舌先が前歯に触れる癖
●上下の歯や唇の間から出してしまう舌突出癖
●頬杖をつく癖
●指しゃぶりなどの癖
これらの悪癖がある場合、すきっ歯以外にも、出っ歯(上顎前突)、八重歯や歯列のガタガタ(叢生)、上と下の歯の噛み合わせがバラバラの状態(交叉咬合)、奥歯で噛んだら前歯が開いている状態(開咬)などになる可能性があります。不正咬合以外にも「噛み合わせが悪いため特定の歯で咬み、その歯の負担が大きくなり痛む」「はっきりと発音がしにくい」など様々な問題が起こります。
すきっ歯はどのように治す?
すきっ歯の治療は、保険適用ではなく、自費診療です。通院されるクリニックによって、価格以外にも、治療方法や治療方針が異なります。大まかに分けると以下の二種類です。
矯正歯科で治療する
●矯正器具による部分矯正
ワイヤーブラケット矯正や、インビザラインによるマウスピース矯正です。治療期間がセラミックに比べて長いというのがデメリットですが、健康な歯を削らずに動かすことができ、歯の健康を保てるというメリットがあります。
審美歯科で治療する
●セラミックによる審美的治療
セラミックを被せる(ラミネートべニアの場合は付ける)ため、歯を部分的に削り、被せ物やラミネートべニアをする治療です。
①セラミッククラウン
歯を削るということがデメリットですが、治療期間は歯列矯正に比べて長くなく、また変色が起こらないセラミックが材質であるということがメリットです。
②ラミネートべニア
セラミッククラウンより料金が安いというメリットはありますが、被せ物に比べて安定性という面でデメリットがあります。
●ダイレクトボンディング
歯科用の白いプラスチック(コンポジットレジン)を隙間に足すことで、歯の隙間が見えなくなる治療です。歯を削らず白い樹脂をくっつける簡単な治療で費用が安いというメリットはありますが、定期的に研磨を行わなければならず、また自分自身の歯の色と樹脂の色が合うとは限らない点がデメリットです。
すきっ歯は後戻りしやすい?
矯正治療によりすきっ歯を治療すると選択し、きれいな歯並びになっても、後戻りを起こすケースがあります。主な原因としては、
●癖が治っていない
●保定装置を担当医の指示通り装着していない
●むし歯や歯周病などの口腔内のトラブルが起きた
これらにより、安定していた歯が動いてしまうことがあります。
保定装置をしっかり着用して後戻りリスクを防止しよう
ワイヤーブラケット矯正、もしくはマウスピース矯正で歯を動かす動的治療を終えた後、歯を正しい位置に維持する静的治療の時間が重要です。リテーナー(保定装置)には固定式と可動式と主に二種類に分かれていますが、いずれも保定期間にきちんとリテーナーを装着し、歯槽骨に埋まる歯の定着を待つことが目的です。
このリテーナーを怠ると後戻りのリスクは格段に上がります。すきっ歯などの悪い歯列に戻ってしまい、再度矯正を行わなければならなくなります。
まとめ
正中離開を矯正治療で行う場合、部分矯正で行えますので、全顎矯正ほどの高い治療費はかかりません。とはいえ、患者様のお口の状態は様々で、それぞれ違いますので、すきっ歯の治療の必要性を感じたならば、医院選びは慎重に行いましょう。
クリニックが行う無料カウンセリングを予約し、ドクターやスタッフに歯やお口の悩みをご相談ください。きちんとした歯科医院ならば、お口の状態を診察したうえで、治療の流れや費用、ご希望によっては症例などの質問にも対応し、細かく説明してもらえます。何院か複数回り、CTや検査機器など必要な機器を兼ね備えている医院で、計画説明などが明確な歯科医師に治療を受けてください。