インビザラインでの治療が難しいケースはあるの?

インビザラインでの治療が難しいケースはあるの?

大阪矯正歯科グループ 歯科医師 松本 正洋

マウスピース矯正はワイヤー矯正とは全く異なった治療方法なので、治療の階梯やゴールについては、先生方の間でも様々な意見があります。

マウスピース型矯正装置のインビザラインはどんな不正咬合でも治療出来るのかどうかについてご説明します。

目次

インビザラインでの治療方法

インビザライン

インビザラインは透明なプラスチック製のマウスピースを7~10日毎に付け替えて、マウスピースの形に従って歯を動かしていく矯正方法です。

とても目立ちにくいので人気のある矯正方法ですが、1日22時間以上の装着が推奨されていますので、治療計画通りに治療を進めるためには、毎日の装着時間をきちんと守ることが必要不可欠となります。

インビザラインで治りにくいのはどんな場合?

インビザラインの治療計画は、クリンチェックと呼ばれるソフトウェア上で設計します。

まずiTeroと呼ばれる光学スキャナーで患者さんのお口の中をスキャンし、3Dのデータとして保存します。

クリンチェックで患者さんの口腔内データをソフトに読み込ませ、治療終了までの歯の動きをアニメーションで表示させながら、担当医が変更を加えていき、最終的な治療計画が完成します。

クリンチェックでは、理論上は全ての症例の治療が可能です。しかし、コンピューター上で歯を動かした理論上の治療計画と、患者さんの実際の歯の動きが一致しない例は多くあります。

特に外科矯正の適応となる骨格性の出っ歯や受け口の場合は、インビザラインのみで治療することは事実上は不可能です。加えて、インビザラインでの治療が難しいとされるのは、抜歯を伴うケースです。

抜歯して歯を大きく動かす場合に、インビザラインの装置と歯の間にずれが起こってくることが多くあります。その場合はアライナー(マウスピース)が歯に合わなくなる度に作り直さねばならず、アライナーの到着までは、歯が動かないようにマウスピースで固定させながらの待ち期間となります。つまり、全体の治療期間が予定よりも長くなってしまいます。

インビザラインでの治療が困難になりやすい症例は?

  1. 外科矯正
  2. 前歯の咬み合わせが深い(過蓋咬合)抜歯矯正
  3. 前歯が内側に倒れている(舌側傾斜)抜歯矯正
  4. 重度の出っ歯(上顎前突)
  5. 重度の受け口(下顎前突)の小児矯正
  6. 顎に左右のズレがある小児矯正

インビザラインで小児矯正を行う場合に難しいケースはあるの?

インビザラインファースト

インビザラインには小児矯正専用の「インビザラインファースト」というラインナップがあります。近年、小児矯正をマウスピースで行う子供たちが増えています。

小児矯正では顎を適切な大きさに成長させながら歯を並べていきますが、マウスピースでは難しいケースは以下のようなものです。

  1. 歯が大きく捻じれている
  2. 埋伏歯がある
  3. 骨格を大きくする必要がある
  4. 大臼歯を大きく移動させる必要がある
  5. マウスピースを規定時間装着できない場合

奥歯の噛み合わせの大きなずれを伴う、重度の出っ歯や受け口の子供や、あるいは奥歯や顎に左右方向のずれがみられる子供の場合は、インビザラインでの治療は難しいです。

まとめ

インビザライン

インビザラインは一般的に、歯を大きく水平移動させたり、歯を上下方向に動かしたり、歯のねじれを治したりするのが苦手です。装置の種類を患者さんの不正咬合に合わせて選ぶことが、スムーズな矯正治療に繋がります。