部分矯正

部分矯正でマウスピースは選べる?治療の選択肢と注意点を解説

部分矯正でマウスピースは選べる?

部分矯正でマウスピースは選べる?

症例によっては選べますが、全員に適しているわけではありません。 部分矯正は、前歯など気になる一部だけを整える治療方法です。その際に「目立たない矯正をしたい」「できればワイヤーを使いたくない」と思う患者さんに人気なのがマウスピース矯正です。

ただし、歯の動かし方やかみ合わせの状態によっては、ワイヤー矯正の方が適していることもあります。

この記事はこんな方に向いています

  • 部分矯正を考えていて、マウスピース矯正も検討している方
  • 目立たない方法で部分矯正をしたい方
  • 自分の症例がマウスピース矯正に向いているか知りたい方

この記事を読むとわかること

  1. 部分矯正でマウスピース矯正を選べるかどうかの判断基準
  2. マウスピース部分矯正のメリット・デメリット
  3. マウスピース矯正が向いている症例と向いていない症例
  4. 選ぶ際に注意すべきポイント

 

部分矯正でマウスピース矯正は選べるの?

部分矯正にマウスピース矯正を用いることは可能ですが、すべての症例に対応できるわけではありません。前歯の軽度の不正咬合や軽いすきっ歯、ねじれなどであれば、マウスピース矯正は有効な選択肢です。しかし奥歯を大きく動かす必要がある場合や、かみ合わせに複雑な問題があるケースでは、ワイヤー矯正が必要になることがあります。

部分矯正でマウスピースを選べるかどうかは症例次第です。

部分矯正で選べるマウスピースの種類

インビザライン

部分矯正対応の主なマウスピースブランド

インビザラインGo

特徴:世界的シェアを誇る「インビザライン」シリーズの部分矯正特化型。3Dシミュレーションによる精密な治療計画が可能。

  • 適応範囲 → 前歯部を中心とした軽度〜中等度の症例
  • 治療期間の目安 → 3〜7ヶ月程度
  • 費用相場 → 30〜50万円程度

前歯の見た目を整えたい方、信頼性や仕上がりの精度を重視する方におすすめ。

軽度のすきっ歯や歯の重なりを短期間で改善したい方に人気。

その他にも様々な名称のマウスピース矯正があり、歯科医院によって取り扱いが違います。マウスピース矯正はブランドによって特徴が異なります。費用だけでなく「適応症例」「治療の精度」「通院サポート」も確認することが重要です。

マウスピースは自分で選べる?選べない?

基本的な選択の仕組み

患者さんが完全に自由に選べるわけではありません。
理由は以下の通りです。

  • 歯科医院ごとに取り扱いブランドが異なる
  • 症例により適応可能なマウスピースが限られる
  • 精度を保つため、医師が最適なシステムを選択する必要がある

希望を伝えることは可能ですが、最終判断は歯科医師と相談の上で行われます。

選択できるケース

  • 複数のマウスピースブランドを導入している医院
  • 軽度の症例で、どのシステムでも対応可能な場合
  • 費用や治療期間など、患者さんの希望を考慮できる場合

比較的軽い症例では、費用・期間・仕上がりを踏まえて柔軟な選択ができます。

選択できないケース

  • 歯並びの状態が特定のシステムにしか対応していない
  • 医院が1種類のブランドしか扱っていない
  • 部分矯正の範囲を超える不正咬合
  • 全体矯正が必要と診断された場合

医学的に無理のある選択を避けるため、歯科医師の診断に従うことが安全です。

部分矯正でマウスピースを選ぶ際の注意点

1. 安さだけで選ばない

  • 追加費用がかかるケースがある
  • 調整不足による後戻りリスク
  • トータルで見ると高くつくことも

「安い=良い」ではなく、治療の質と結果で判断しましょう。

2. 適応症例を正確に診断してもらう

  • 軽度なら部分矯正で十分
  • 中等度以上は全体矯正が必要な場合も

「部分矯正で治る」と決めつけず、専門医による正確な診断を受けることが第一歩です。

3. よくある失敗例

  • 無理に部分矯正を行って後戻りした
  • 安さ重視で結果が不十分だった
  • 医院選びを誤って再治療費が発生した

治療後の満足度は、最初の選択にかかっています。

4. セカンドオピニオンの重要性

  • 複数の医院で診断を受けることで判断が客観的になる
  • 異なる治療計画を比較することで、自分に合う方法を見極めやすい

どんなケースで部分矯正にマウスピース矯正が向いているの?

マウスピースでの部分矯正に向いている具体的なケース

マウスピース部分矯正が向いているのは「大きな移動を必要とせず、比較的軽度な歯並びの乱れを整えたいケース」です。具体的には、前歯のわずかな重なり、すき間(空隙歯列)、軽度のねじれ、歯の傾きなどです。治療範囲が限定される部分矯正では、マウスピースの特性を活かすことで見た目の改善が可能です。

また、短期間で治療が終わりやすく、仕事や学校生活に支障を出したくない患者さんにも選ばれる傾向があります。

軽度の歯並びの乱れや前歯の見た目改善に、マウスピース部分矯正は適しています。

向いている具体的なケース

  1. 前歯の軽い重なり(叢生)
    → 歯が少しだけ重なっている状態なら、マウスピースで少しずつ歯を動かし整列できます。ワイヤーを使わずに済むため、見た目の負担も最小限です。
  2. 前歯のすき間(空隙歯列)
    → 数ミリ程度のすき間であれば、マウスピース矯正で歯を寄せて改善が可能です。特に「前歯のすきっ歯」は審美的に気になる部位で、部分矯正の需要が高い部分です。
  3. 軽度の歯のねじれ
    → 強い回転では難しいですが、わずかなねじれならマウスピースで矯正可能です。前歯のねじれが解消されると、笑顔の印象も大きく変わります。
  4. 歯の傾きや位置のわずかなずれ
    → 歯が少し前に出ている、奥に引っ込んでいるといった軽度の傾きはマウスピースで改善できます。
  5. 矯正後の後戻りを整えたいケース
    → 過去にワイヤー矯正を受けた後、リテーナーを使わず歯が動いてしまった方には、マウスピースで再び整える治療が適しています。

マウスピース部分矯正が向いている理由

  1. 小範囲の動きに強い
    → 部分矯正は治療範囲が限られているため、マウスピースの特性と相性が良い。
  2. 見た目を気にする部位に対応可能
    → 前歯の乱れやすきっ歯は目立ちやすいため、目立たない装置で治せるのは大きな魅力です。
  3. 治療期間が比較的短い
    → 全体矯正より短期間で結果を出せるため、結婚式や就職活動などイベントに合わせたニーズにも合致します。

マウスピース部分矯正が適しているのは、「前歯のちょっとした見た目の乱れを、できるだけ目立たず短期間で治したい」という患者さんです。軽度の乱れや後戻りの調整には特に効果を発揮します。逆に、歯の大きな移動や噛み合わせ全体の改善を必要とするケースでは不向きなので、歯科医師の診断を受けて適応を見極めることが重要です。

部分矯正におけるマウスピース矯正の適応例と不適応例

症例 マウスピース部分矯正での適応 解説
前歯の軽い重なり(叢生) ◎ 適応しやすい 数ミリ程度の重なりであればマウスピースで整列可能。見た目の改善にも効果的。
前歯のすき間(空隙歯列) ◎ 適応しやすい 数ミリのすき間はマウスピースで歯を寄せて閉じられる。審美的改善が期待できる。
軽度の歯のねじれ(捻転) ○ 条件付きで可能 軽いねじれなら対応可能だが、大きなねじれはワイヤー矯正が必要になる場合もある。
矯正後の後戻り ◎ 適応しやすい 過去に矯正した歯の軽い後戻りはマウスピースで再矯正が可能。短期間で改善できる。
奥歯の噛み合わせに大きな問題がある × 不向き 奥歯を大きく動かす必要がある場合はマウスピースでは対応困難。ワイヤー矯正が適切。
歯を上下・後方に大きく移動する必要がある × 不向き 大きな移動はマウスピースだけでは難しく、ワイヤーなどの補助装置が必要。
歯列全体に強い不正咬合がある × 不向き 全顎的な矯正が必要な場合、部分矯正やマウスピース単独では対応不可。

この表を見ると、マウスピース部分矯正は「軽度の前歯の乱れ」や「すき間」「矯正後の後戻り」に効果的であることが一目でわかります。逆に、大きな動きや噛み合わせ全体の改善を必要とする場合は不向きであるため、歯科医師による診断が必須です。

マウスピース部分矯正に向いていないケースもあるの?

マウスピース部分矯正は万能ではなく、症例によっては不向きです。奥歯の噛み合わせに問題がある場合や、歯を大きく移動させる必要がある場合は、ワイヤー矯正の方が確実に対応できます。

大きな移動や複雑な症例はマウスピース部分矯正には不向きです。

具体例

  • 奥歯の噛み合わせに大きな問題がある
  • 歯を後方や上下に大きく動かす必要がある
  • 歯列全体に強い不正咬合がある

マウスピース部分矯正は万能ではなく、複雑な症例はワイヤー矯正が適していると考えましょう。

部分矯正でマウスピースを選ぶメリットは?

マウスピース部分矯正は、見た目が自然であること、取り外し可能で衛生管理がしやすいこと、通院回数が比較的少ないことなど多くのメリットがあります。患者さんにとって生活の質を落とさず治療できるのが大きな利点です。

目立たず快適に矯正できるのがメリットです。

メリット

  1. 透明で目立たない
  2. 取り外し可能で歯磨きや食事がしやすい
  3. 通院回数が少なめ
  4. 治療の痛みが比較的軽い

マウスピース部分矯正は、美しさと日常生活の快適さを両立できる治療方法です。

部分矯正でマウスピースを選ぶデメリットや注意点は?

マウスピース部分矯正には制限もあります。毎日決められた時間装着しなければ効果が出にくく、自己管理が重要です。また、治療範囲が限定されるため、希望通りの仕上がりにならないこともあります。

自己管理と症例の制限がデメリットです。

デメリット

  1. 1日22時間以上の装着が必要
  2. 自己管理が苦手だと効果が出にくい
  3. 適応できる症例が限られる
  4. 装置の再作成が必要になる場合がある

マウスピース部分矯正は便利な一方、自己管理が欠かせず、適応範囲を理解した上で選ぶことが大切です。

よくある質問(Q&A)

Q1. 自分でマウスピースブランドを指定できますか?


A. 希望は伝えられますが、最終判断は症例に基づいて歯科医師が行います。

Q2. 医院によって選べるブランドは違いますか?


A. はい。医院によって導入しているシステムが異なります。事前に確認しましょう。

Q3. 途中でマウスピースの種類を変更できますか?


A. 症例次第ですが、部分矯正から全体矯正へ移行するケースもあります。

Q4. 一番安いマウスピースを選んでも大丈夫?


A. 軽度の症例なら問題ない場合もありますが、精度や保証を確認して選ぶことが大切です。

Q6. 部分矯正が難しい場合は?


A. 無理に行わず、全体矯正や他の治療方法を検討します。

まとめ

部分矯正でマウスピースを選ぶときの考え方

部分矯正でマウスピース矯正を選ぶことは可能ですが、症例を見極めることが重要です。前歯の軽度な乱れやすきっ歯などには有効ですが、複雑な不正咬合には不向きです。患者さんが快適に治療を進めるためには、歯科医師の診断を受け、自分に合った方法を選ぶことが何よりも大切です。

自分の症例に合うかどうか、必ず歯科医師に相談して判断しましょう。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。歯科医師免許取得後、医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

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